音楽制作ディレクター・今村圭介が立ち上げた実験的新人発掘プロジェクト『IMALAB』による第1回オンラインライブ『IMALAB LIVE EXPERIMENT #01』が9月28日にツイキャスにて無料配信され、アーカイブ含め2400人が視聴した。※9月30日時点
コロナによる状況の変化を踏まえ、従来のやり方とは異なる新しいライブのあり方を模索しながらの開催となった今回の配信ライブ。ラインナップはこれからの活躍が期待されるサヨナラの最終回、blondy、NIYOCOの3バンドだ。
オープニングでは主宰の今村圭介、そして今村と親交の深い沢田チャレンジ(ザ・チャレンジ)がMCとして登場し、今回のイベント立ち上げにまつわる経緯について語った。
ふたりのトークが終わり、いよいよライブスタート。トップを飾ったのは2019年12月結成の3ピースバンド、NIYOCO。まだ数本というライブ経験にもかかわらず、爆発的な熱量のパフォーマンスが炸裂した。誰もいないフロアに配置された一体のマネキンを観客に見立て、今この瞬間の命を削るかのように歌う川瀬(Vo&Gu)。彼のあふれ出る衝動を解き放った激しいライブアクトと、少年のような無邪気な表情のコントラストも強烈だ。“マフエル”や“存在ビーム”といったこの世の生きづらさや人の痛みを拾い上げる歌と、一瞬も見逃せない劇的なステージングで観る者を圧倒。最高のライブで見事にトップバッターとしての役目を果たした。
続くblondyは事前に収録されたライブの映像を配信。ライブはライブハウスのステージではなくフロアで行われ、椅子に座り本を読む女性をメンバーが囲むというセッティングで展開していく。“動”のNIYOCOとは対照的な“静”のblondy。奥野陸(Vo&Gu)の透明感あふれる声と浮遊感を帯びたギターに、濱田大地(Dr)の軽やかでダイナミックなドラミング、木下茜(Ba)の大人びたベースプレイが絡み合う。そんな彼らの演奏と本を読む女性役の老月ミカによる朗読シーンが絶妙な化学反応を起こし、彼らの息遣いが聴こえてくるようなカメラワークと相まって、日常と幻想の世界を行き来するような文学的なライブを演出していた。
ラストの大役を担ったのはサヨナラの最終回。“才或る兎は侮らなゐ”MVで見せたアニメスキルをライブにも導入し、“拝啓、10年前の僕へ”というコンセプトのもと、アニメーション映像とライブパフォーマンスを融合させる演出でオンラインライブの新しい扉を開くステージを展開した。アクションも感情も抑え、メッセージをしっかり届けようと真摯に歌うシバタカヲル(Vo&Gu)。MCでは、視聴者ではなく10年前の“一番最悪だったとき”の自分に向けて“この世界は地獄だけど、歩いて地獄の先に行くんだ”と語りかけ、ラストの“RECORD”へと繋ぐ。最後は笑顔で《君が笑える明日へ行こうぜ》と歌い、EDのアニメとともにライブは幕を閉じた。
ただライブハウスのライブを中継するのではなく、オンラインだからこそやれることを考え、様々な工夫が施されていた今回の配信ライブ。各バンドがライブや音楽に込めた思いを存分に注いだステージはとても素晴らしく、それぞれの個性が見事に表現されていたと思う。バンドメンバーはもちろん、道具、キャスト、映像を駆使したアイデアたっぷりの演出、そして臨場感だけでなくドラマ性をも生み出したカメラワークや、ライブに欠かせない照明、音響等スタッフの存在も重要な役割を担っていた。
今回のイベントを企画したIMALABは、主宰・今村圭介の“もう一度、新しいアーティストやクリエイター、スタッフに出会いたい”という想いから立ち上がったチームだ。ワクワクするような新しいアーティストが120%のパフォーマンスを披露し、彼らを支えたいという思いを抱いたクリエイターやスタッフが力を合わせて作り上げた『IMALAB LIVE EXPERIMENT #01』。今回の配信は、多くの人にとっても素晴らしい出会いの場になったのではないだろうか。
ライブの模様はアーカイブとして10月4日(日)まで視聴可能なので、見逃した方はぜひチェックしてみてほしい。
【セットリスト】
■NIYOCO
1.オールドオアダイ
2.ロックンロールなんて
3.マフエル
4.夏風邪
5.存在ビーム
■blondy
1.サマードリーム2.White
3.日常の中で
4.この街を出て
5.向日葵
■サヨナラの最終回
1.あなたが読む物語
2.才或る兎は侮らなゐ3.I’m i
4.RECORD
■『IMALAB LIVE EXPERIMENT #01』
配信期間:9月28日(月)20:00~10月4日(日)24:00
出演:サヨナラの最終回 / NIYOCO / blondy
料金:無料
■【主宰・今村圭介 コメント】
「発掘からライブまでたった2ヶ月。フォロワー数でもチャンネル登録数でもなく、“耳だけ”で新人アーティストを見つけ、そんな、まだまだ知られていないアーティストたちと、同じくオンラインで2ヶ月前に出会ったスタッフとクリエイターが集まった完全に無名なプロジェクトが、音楽に対する夢や希望を信じて、時間がない中でここまでの景色を魅せることが出来たこと、めちゃくちゃドキドキしましたし、まだまだみんなでやれることがたくさんある!と思いました。
出演頂いた、NIYOCO、blondy、サヨナラの最終回の皆さん、最高でした。ありがとうございました。
もう、第2回目がやりたいです。。笑」
【出演アーティスト】
■サヨナラの最終回
物語を綴る、空想ロックバンド。歌とイラストを担当するシバタカヲルを中心に結成。
「誰のものでもない物語は、時にして、誰の物語にもなりえる。」という信念のもと、まだ見ぬアナタに物語を届ける。
■blondy
2018年結成の大阪出身の3ピースロックバンド。90年代オルタナティブ・ロックを彷彿とさせるような、浮遊感のあるクリーントーンと轟音の中から優しく真っ直ぐ聞こえてくるメロディーは、観るものに懐かしさ、心地よさを見せる。
■NIYOCO
2019年12月2日、ホームレスで無職で引きこもりのボーカル川瀬を中心に結成。
力強く疾走するバンドサウンドに、印象的な声。中毒性のあるメロディーと、嘘偽りのない言葉。ドン底から「未来はここにある」と、存在ビームを発射する3人組バンド。
【関連リンク】
サヨナラの最終回、blondy、NIYOCOが新人発掘プロジェクト『IMALAB』第1回オンラインライブに出演
サヨナラの最終回まとめ
blondyまとめ
NIYOCOまとめ
死んだ僕の彼女、5曲入りミニアルバム『shaman’s daughter』をリリース