9人組ミクスチャーユニットのSUPER★DRAGONが、オンライン廃工場ライブ『SECRET BASE』を7月26日に開催した。6月のスタジオライブに引き続いて、生配信ライブはこれが2度目となる彼らだが、今回は結成初期の撮影でも使用した彼らの“原点”とも言える廃工場を舞台に、ワイルドな大人の男からピュアな少年まで、幅広い表情を見せながらエモーショナルなライブを展開。新曲「SAMURAI」の初披露に5周年ライブの開催も発表して、ファンと一緒に最高の夏の思い出を創り上げた。
開催に先立ち、メンバーが“廃工場というシチュエーションを最大限に活かした、生配信でしかできない演出で驚かせる”と断言していた言葉は、幕開けから現実のものとなった。開演時刻になると、なんと車で現場に乗りつけた9人が画面に映り、ニヤリと手招きする志村玲於から順に一人ずつ降り立って、重低音響く「Strike Up The Band」でライブをスタート。薄暗がりの中、廃工場の荒んだ光景とブチ上がる炎をバックに、力強く拳を掲げてステップを踏む9人の男らしさときたら半端なく、初っ端から釘付けになる。
“画面の向こうも声出していこうぜ!”と煽ったジャン海渡は、続く「hide-and-seek」でも高速ラップを放ち、鋭い眼差しでボーカルを取る古川毅と絶妙なコンビネーションで魅了。全員柄シャツにカラーパンツという治安の悪そうな出で立ちも、今日この場所にこそふさわしく、そこに重なる幾何学模様のライティングと相まって、底知れぬダーク&ディープな世界観を醸し出してゆく。
メンバーが工場内の方々に散らばって、自由自在なフォーメーションで魅せたレゲエ曲「ゲットレジャーニー」では早くもタオルをぶん回し、その後のMCで“僕が珍しく汗かいてます!”と柴崎楽が報告したほど。そして“ここが俺たちの秘密基地です”と古川が告げた通り、以降、魅惑の空間が次々に出現してゆく。“君”への情欲を全英詞でぶつける「BLOODY LOVE」では、セクシーなボーカルを聴かせる古川、ジャン、池田彪馬を筆頭に、艶めかしく蠢く9人に万華鏡を思わせるプロジェクションマッピングが被さって、秘めておきたい妖しのムードを演出。雑踏の音から松村和哉のセリフで導いた「My Playlist」も、9人が工場内で1階と2階の二手に分かれる立体的なフォーメーションで、画面は一つしかないのに“目が足りない!”という状態を引き起こしてしまう。
また、9人という大所帯を活かしたフレキシブルな構成も特筆すべきところだろう。「Set It Off」では積み上げられた資材の上に腰かけて挑発的なラップを放つジャン、田中洸希、松村の3MCと、志村、飯島颯、伊藤壮吾、柴崎によるダンスシーンが交互に入り乱れ、最後は2組が合流して憤怒の赤に燃える照明の中で怒涛のパフォーマンスを展開。そこか一瞬にして画面が真っ青に染まり、今度は古川、池田のボーカル組がバルコニーから階下へと移動しながら、愛の終わりを歌う「Remedy For Love」を神秘的に綴ってゆく。廃工場という空間をフルに活用した、まさしく“ステージでは無いからこそ”できる演出に巧みなカメラワーク、そして楽曲世界に応じて次々と移り変わる情景には度肝を抜かれるばかり。ライブ前“いくつものカメラが多種多様に動く、オンラインライブならではの楽しみ方ができる”とジャンは予告していたが、ここまでとは誰も想像していなかっただろう。
SUPER★DRAGONのロゴを大きく映したフラッグを背に、MCでは4年前のライブで使用したドラマ映像をココで撮影したことに触れて懐かしみつつ、視聴者のコメントをリアルタイムでチェック。リクエストに応えて“ここだけの秘密”とメンバーが次々にセクシーポーズを繰り出し(鉄オタ伊藤による発車アナウンスをアレンジした愛の告白は爆笑!)、後半ではTikTokでサビのみ先行公開されていた新曲「SAMURAI」の振り付けを視聴者に指南してくれた。サムライの兜や刀をイメージし、寿司を握る振りまで取り入れた通称“サムライダンス”を踊る志村と松村を、TikTokerの田中が撮影&投稿すれば、視聴回数はあっという間に四桁を突破。そして初披露された「SAMURAI」は、ホーンで幕開けて淡々と刻まれるエレクトロなビートに、“将軍”“忍者”“諸行無常”など和を滲ませるリリックが重なる摩訶不思議なナンバーで、ともするとコミカルに転びがちなところを、しっかりクールに仕上げてくるのだからさすがだ。
一転、前回の配信ライブで初披露されたセルフタイトルの新曲「SUPER★DRAGON」を爽快に叩きつけ、疾走感たっぷりのサウンドで昇り龍の勢いを彷彿させると、曲後半では紫のスモークをハンドレーザーの緑の光で切り裂いて、“俺達が時代を変える”とエモーション全開に。さらに、松村がデスヴォイスを放つゴリゴリのメタル曲「BADASS」では、工場内に散らばるメンバーをカメラが次々に追いかけ、エネルギーを全放出して歌い踊る彼らを接写する。そこから初期曲「The Survivor」に雪崩れ込み、噴き上がる炎が彩るダークな世界から、光の中へと飛び出してゆくドラマティックな展開も鳥肌モノ。ダイナミックなフォーメーションダンスを繰り出し、“生き残るのは俺たちだ”と拳を突き出して決意を新たにする9人の姿は実に凛々しく、“何がSUPER★DRAGONなのか、SUPER★DRAGONとはどういうグループなのかを、今回は空間全体で皆さんに伝えたかった”という古川のMCにも納得するほかない。
さらに“この汚い感じ、崩れた感じがSUPER★DRAGONに合うよね”とジャンが漏らせば、古川も“こんなところでやるの俺らしかいない。1年目、2年目はずっとこういうところで撮影していたから、こういう場所が原点”と返答。つまり、この『SECRET BASE』はある意味で彼らにとっての原点回帰であり、そこで進化した今の姿を見せる今日のライブは、間違いなく意義深いものだ。飯島が“スタッフさん、観てくれてるファンの皆さんと、スパドラチームで創り上げたライブが楽しい”と感謝を述べると、ジャンは“観てる人にとっても、この夏一番思い出に残るライブになったと思う”と断言。古川も“どんな形であれ、これからも良い作品、良いパフォーマンスを届けていきたい。今年で5周年ですけど一人も欠けずにやってこれているのは皆さんの応援のおかげなので、一緒に面白いものを作っていけたらなと思います”と約束してくれた。
そして最後に贈られたのは、3年前に発表された「BROTHERHOOD」。ジャンと田中がヒューマンビートボックスでバトルし、仲間との絆を歌う感動的なナンバーでSUPER★DRAGONを表すハンドサインを掲げる光景は、これまで数えきれないほど見せてきたものだ。しかし、そんな原点とも言える曲を、原点の場所で披露する9人は心も身体もパフォーマンス力もグッと成長して、ダンスの振り付けまでバージョンアップ。最後は全員で円になり、拳を突き出して変わらぬ絆を誓ってくれた。そんな青臭い少年らしさもまた、間違いなく彼らの魅力なのだ。
ステージを固定する必要がなく場所を自由に変えられるという、無観客の配信ライブだからこその利点を最大限活かし、結成からの5年で行われたライブの中でも一番新鮮でドラマティックなライブを創り上げてくれた彼ら。曲数のボリュームも先月の7曲から12曲に大幅アップし、さらに前回と被っていた曲は「SUPER★DRAGON」のみと、不自由な状況下で少しでも多くの曲を進化させたいという彼らの意志も見て取れた。また、8月28日にはアーティストブック『S★D File~Deluxe Edition~』を発売し、結成日の9月27日に結成5周年の記念ライブを、11月15日には毎年恒例の企画イベント『DraFes2020』を開催することもライブ中に発表。この日、9人が全力でぶつけたSUPER★DRAGONの夏が終わり、そして、より熱い秋が始まる。
photo by 笹森健一
text by 清水素子
【セットリスト】
M1. Strike Up The Band
M2. hide-and-seek
M3. ゲットレジャーニー
M4. BLOODY LOVE
M5. My Playlist
M6. Set It Off
M7. Remedy For Love
M8. SAMURAI
M9. SUPER★DRAGON
M10. BADASS
M11. The Survivor
M12. BROTHERHOOD
【解禁情報詳細】
・9月27日(日)5周年記念ライブ開催決定!
・11月15日(日)『DraFes2020』開催決定!
・SUPER★DRAGON ARTIST BOOK『S★D File〜Deluxe Edition〜』8月28日(金)発売決定!
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