BARKS、OKMusic、Pop’n’Roll、全日本歌謡情報センターという媒体が連携する雑誌として立ち上がったmusic UP’s だからこそ、さまざなテーマを掲げて、各編集部員がトークセッションを繰り広げる本企画。第七回目も特別編! 新型コロナウィルスの影響で窮地に立たされている中、クラウドファンディングを実施し、現状を打破するため日々経営存続へ向けた対策に取り組むライヴハウス2店舗に、今の想いを語ってもらった。
座談会参加者
■烏丸哲也
ミュージシャン、『GiGS』副編集長、『YOUNG GUITER』編集長、BARKS編集長を経て、現JMN統括編集長。髪の毛を失った代わりに諸行無常の徳を得る。喘息持ち。
■広瀬弘行
京都・都雅都雅店長。調理師、整備士、電機屋、カラオケ屋、トラック野郎、バンドマン等々多彩な職種を経て現在都雅都雅に至る。離婚歴3回! BENZとFenderとワンパンマン好き。
■森本真一郎
下北沢MOSAiC店長を経て、2020年より有限会社ミュージアムコーポレーション取締役に就任。ライヴハウスとリハーサルスタジオを運営する傍ら、次世代アーティストが集う下北沢のサーキットフェス『KNOCKOUT FES』を主催。1978年10月7日生まれ、B型、兵庫県出身、関西育ち。
■石田博嗣
大阪での音楽雑誌等の編集者を経て、music UP’s&OKMusicに関わるように。編集長だったり、ライターだったり、営業だったり、猫好きだったり…いろいろ。
■千々和 香苗
学生の頃からライヴハウスで自主企画を行なったり、実費でフリーマガジンを制作するなど手探りに活動し、現在はmusic UP’s&OKMusicにて奮闘中。マイブームは韓国ドラマ。
■岩田知大
音楽雑誌の編集者、アニソンイベントの制作、アイドルの運営補佐、転職サイトの制作を経て、music UP’s&OKMusicの編集者として活躍中。元バンドマンでアニメ好き。
■今年の12月までは 利益のことは考えてられない
石田
「このコロナ禍の中、前々回は自粛要請が発令されて苦境にあるライヴハウスの方に参加してもらい、前回はライヴハウスを支援しているアーティストに登場してもらったのですが、今回はコロナに立ち向かっている東西のライヴハウスの方に現状をうかがいたく、おふたりに参加していただいたのですが、自粛要請が出てから2カ月ほど経った今 の状況はどんなものですか?」
森本
「通常営業はずっとできていないですね。3月は半分ほどライヴがなくなり、4月と5月はまったくで、6月もほぼ全滅な感じです。」
広瀬
「京都は3月後半が全部なくなって、非常事態宣言が発令されるまでは4月も少し営業していました。発令後は5月末日まで完全休業ということでしたが、ミュージシャンから“演奏がしたい!”という声があがっていたので、無料配信のために会場を貸しながら細々と営業をしていましたね。京都は6月1日から全面解禁となったので、その6月1日からは客席を設置して、お客さんは25人などの人数制限をしつつ営業しています。」
石田
「都雅都雅のキャパは50人〜200人ということなので、25人は少ないですよね。」
広瀬
「収益になるということはありませんね。しかし、今年の12月までは利益のことは考えてられないと思ってるんですよ。営業しても赤字が出るだろうけども、開けないわけにもいかないのでね。ライヴハウス自体が怖いところと思われてしまってるから、人が少なくても開け続けることで、ライヴハウスをもっと認知してもらえたらいいかなと思っています。私もいい歳なので、職業を変えることもできないですし、これしかやっていけないと思うと、もう一度ライヴハウスのイメージを築き直していくべきかなと。」
石田
「動くことは大事ですよね。ライヴハウスが動くことでアーティストの意識も高まるでしょうし。」
広瀬
「そうですね。あと、自粛中の間もみんな“STAY HOME”ということで自宅から配信をしてみたり、車の中からも配信してて、音楽を観せる場所がそういうシステムに取って代わられちゃう危険性も感じてたりするんですよ。“もうそれでいいじゃない”ってMVなどの映像を流しておけば、みんな喜んでくれるんじゃないかってことで落ち着いてしまう気がして。そうなるとライヴハウス自体が必要なくなってしまうので、人と人とが触れ合う場所という意味でもライヴハウスは辛抱しながらやっていかないとあかんかなと思ってます。」
森本
「下北沢にあるライヴハウスは配信などを結構頑張ってやっていますね。MOSAiCもYouTubeチャンネルがあるんですけど、クオリティーを気にするスタッフが多いのであんまり前のめりにやれてないんですが(笑)。個人的にも配信は大事だと思ってますね。でも、大きくお金が動くものではないので、お客さんを制限してでも生のライヴを早くやりたいという気持ちのほうが強いです。6月もほとんどのイベントがなくなっていますが、6月20日以降はできそうなライヴは10人でも入れて、ライヴハウスが動き出しているということを伝えていきたいと考えているところです。」
■大きい音を出すことに飢えてる アーティストが多いんです
石田
「“配信”というワードが出てきましたが、これから配信というツールを打ち出していくべきという意見も過去の対談でありました。そこに関してはどう考えていますか?」
森本
「これからはライヴを生で観るチケットとは別で、配信チケットも売るような時代になるんだろうなということは思っています。コロナがきっかけかもしれませんが、会場には行けないけど、配信で安めのチケットを買って自宅で楽しむということが多くなるのかなと。」
岩田
「都雅都雅はYouTubeチャンネルの登録者数を増やす動きが見られますが、配信ツールにも力を入れていく予定ですか?」
広瀬
「力を入れているというよりは、ライヴハウス自体を“音楽を楽しみたい人以外の人たち”に知ってもらうきっかけにしたいんですよね。コロナが流行して、家族に引き留められてライヴを観に行けなかったというお父さんたちの話を結構聞いてるんで。家族の方はきっとライヴハウスがどんなところか知らないから危ないと思うんかなと。ライヴハウスでの三密というのがどういうものなのかということを映像でも観て知ってほしいんですよ。当店はもともと椅子とテーブルがあって、食事をしながらライヴを観るお店なので、これだけ隙間があって、椅子もあって、ちゃんとお客さんとの間隔を確保できてる状態でライヴを観れる場所にお父さんは行ってるんだよと、YouTubeを通して家族の人に伝えるきっかけにしたいんです。」
岩田
「映像を通じてイメージが変わるかもしれませんからね。」
広瀬
「それに併せて、年内は演者さんの許可が出る限りは配信もしていこうと思います。こう言い出すとカメラを3つも4つも置いたりとか、音声もインターフェイスを入れたりしないといけないってことになりますが、そこはライヴハウスに来れない人への救済処置としてギリギリのラインで行なって、音質などは最低限は確保するので我慢して観てもらえたらと思ってます。」
千々和
「配信していくことに対してアーティスト側から何か聞いていることはありますか?」
広瀬
「やっぱり目の前にお客さんがいないというのが、アーティストとしては一番テンションが上がりづらいところなので、そこが厳しいみたいですね。ライヴハウスが営業してる時みたいに照明をしっかりと立てて、まるで目の前に人がいるようなシチュエーションを作ってあげたりしながら一緒にやってますけど。」
森本
「当店に出演してくれる子たちの多くは月に何本もライヴをやってたので、大きい音を出すことに飢えてるという感じでしたね。だから、会場を使って配信をやってることを教えてあげると“やりたい!”って言ってくれて…しかも、観せ方にも力を入れてる子たちばかりなんです。だから、映り方とかを気にしながらMVを撮影しているかのように楽しんでいる印象がありますね。カメラの向こうに向けて演奏をしているので、なかなかの芸達者に見えました(笑)。」
千々和
「ライヴができないということで配信が出てきましたけど、私は観る側としてライヴハウスでライヴをやるとことは、他に代えが効かないんだなと改めて感じました。」
石田
「生のライヴの重要性を実感するよね。」
森本
「そうですよね。」
■生活を懸けてるバンドと そうでないバンドとの差が見えた
岩田
「都道府県ごとにライヴハウスの営業に対する基準が違うと思いますが、全国のライヴハウス同士で情報交換など交流を取られたりしていますか? 他の店舗と相談をしたりとか。」
広瀬
「地方のライヴハウスの人が遊びに来てくれたり、逆に他所に遊びに行ったついでに何軒かのライヴハウスに挨拶をしに行ったりとかの交流はありますが、この状況下で“こんなことをやってるからそっちでもどう?”みたいな連絡は直接していないですね。でも、都雅都雅のFaceBookを観てくれて“それどうなんですか?”というようなやり取りはありますよ。再開してから受付をする際にサーモグラフィーでお客さんの体温を測ってるんですけど、結構な値段がするわりには精度がいまいちなんですよ。そういう話とか(笑)。」
森本
「下北沢は『下北沢にて』というライヴイベントチームがクラウドファンディングを立ち上げました。この話も下北のライヴハウスがもう少し感染対策に対して共通の対策方法を打ち出していけば、同時に営業も再開して全国に安心感を与えられるんじゃないという想いから始まってるんで、下北はライヴハウス同士のミーティングを結構やってるほうではないですかね。サーキット形式のイベントも多いし、制限を設けていつから再開していこうかという話には前々からなっていました。」
千々和
「私が知っている中だと、街全体で動いているという話を東京で聞いたのは下北沢が初めてだったんですね。そういう街の特徴などもニュースやライヴハウスから直接連絡をもらって知って。コロナのおかげとは思いたくないですけど、ひとつのきっかけとして街やバンドなどの特色が見えてきているというのはありますよね。」
森本
「そうですね。下北は本当にライヴハウス同士の距離も近いので、そういうのがやりやすいんでしょうね。」
烏丸
「先ほど、広瀬さんから“ライヴハウスを知らない人に、ライブハウスの実情を伝えたい”とありましたが、ライブハウスという存在が“バンドシーンや日本の音楽シーンを育む極めて重要な文化資産である”ことも、一般の人に伝えていきたいですよね。音楽業界に従事する者は音楽エンターテイメントにとって大切な場所を失いそうだという危機感を募らせているのに、その現実が一般の方に伝わっていないことにもどかしさを感じませんか?」
広瀬
「まぁ、誰も死にたくはないですからね(苦笑)。たまたま大阪のライヴハウスでクラスターが出たことで、ライヴハウスという名前がすごく表に出ちゃいましたけど、ひとつ間違えれば全然違うところから始まったかもしれないのに、ライヴハウスが目の敵に挙げられて、音楽の文化というものが深刻な状態になった時に二の次にされてしまう日本の社会風情というのを感じて寂しい想いをしました。」
烏丸
「一方で、アーティスト自身が“ライヴハウスを救おう”という動きをし始めたことに関しては、どのような思いを抱かれましたか?」
森本
「自分は率直に“何が救うやねん”と思ってしまいましたけどね(笑)。チャリティーのTシャツなど協力してくれたバンドがいて嬉しかったですけど…。MOSAiCは都雅都雅さんと比べるとまだまだ若いバンドが多く出てくれてるんですよ。コロナの問題がいろいろと起き始めた頃、生活が懸かってないバンドほどライヴハウスに出たがらないことが多かった…お客さんの安全を考えてとかいろいろ言ってるバンドもありましたけど、本当は自分たちが叩かれるのが嫌なだけなんかなと思ったり。だから、逆に変に思いました。インディーズでも音楽でしっかりと生活しているような人たちほど、こんな時だからこそより一生懸命に歌う姿勢が感じられたりしたので、その動きの差に違和感を覚えましたね。その結果、ライヴハウスを救うというのは嬉しいんですけど、やっぱり一番は演奏してくれることが嬉しかったりするので…とても複雑な気持ちでした。」
千々和
「生活を懸けてやっているバンドとそうでないバンド然り、他にもさまざまなかたちで音楽活動をしているバンドがいて、それぞれで動きが全然違うのは感じました。配信でも何でもいいから曲を作って届けようと毎日SNSにアップしているバンドがいれば、逆に寄付やマスクなど音楽に関係ない方向で動いているバンドもいて。リスナーが喜ぶことは音楽を発信することだとは思うのですが、バンドよってここまで活動内容が違うとは今まで感じたことがなかったので驚きました。」
■ライヴハウスならではの 本質は絶対に見失いたくない
岩田
「そんな中、両店舗はクラウドファンディングを実施されていて、OKMusicでもライヴハウスの活動を紹介するページを掲載させてもらっていますが、そもそもクラウドファンディングを始めようと思ったのは代表のおふたりからだったのですか?」
森本
「MOSAiCはアルバイトスタッフからの発信でした。私はクラウドファンディングにあまりいい印象を持っていなかったし、よく分かってなかったので全部スタッフに任せて。ただ、悲痛なムードは嫌なので“前向きな感じだったらいいよ”とだけは言ってました。」
岩田
「クラウドファンディングで商品の販売などもされていますが、その企画自体もスタッフの方が考えて?」
森本
「はい。スタッフ同時で案を出し合ってネーミングから全部決めてもらいました。」
石田
「その前向きなところから『リメンバー・コロナフェス』につながっていくんですか?」
森本
「そうですね。無料のフェスやサーキットなども当店主催でやったりすることがあったので、その延長線上のものをコロナが終息してるしてないにかかわらず、とにかく前向きに取り組んでいることを伝えたいという話になったんです。」
広瀬
「当店の場合はクラウドファンディングを同じ京都のCLUB METROというクラブが先に始めたんですけど、私は全然始めようと考えていなかったんですよ。でも、3月もライヴができないし、どうしようかなと考えていた時に、友人ミュージシャンから“広瀬さん、都雅都雅のためにクラウドファンディングを立ち上げていいだろうか?”と言われたんです。“都雅都雅がなくなると困るし、なくなってほしくないから、こちらの名義でやったらどうかと思って”とね。でも、“いや、それは待ってくれ”って。“アーティストが店舗のために動くんだったら、都雅都雅主導で動くんで”って。そのことがあって立ち上げたという流れです。ミュージシャンがライヴハウスのために立ち上げて、店舗へ寄付するというのは本末転倒な気がしたし、店舗を応援してくれるファンの人たちに感謝をしたいという気持ちもありましたから。実際、レコ発のタイミングだったミュージシャンたちが出来上がったCDの売れた分を寄付してくれたり、“Tシャツを作ったから送ります! 売って足しにしてください!”って送ってきてくれたりとか、クラウドファンディング以外のところで支援してもらっていますね。」
岩田
「クラウドファンディングのページでは、アーティストの声も掲載されていますが、企画をスタートしてから感じたアーティストとのつながりで嬉しかったことはありますか?」
森本
「思っていたより応援してくれるんだなということは強く感じました。今でも目標額を達成するのはそんな甘くないと思ってるんですけど、応援してくれてるコメントを見るとそれだけでも十分に嬉しいですね。」
広瀬
「京都のホームだという認識を持ってツアーで回って来てくれるミュージシャンが何組かいるんですが、そういう人たちが“コメント書くよ”とか“Twitterで拡散したら足しになるんじゃない?”とか言いながらも、“クラウドファンディングのサイトを通すと手数料がかかるからな”って直接口座に援助金を振り込んでくれたりしてくれましたね。だから、電話がかかってくるたびに泣いていましたよ。」
石田
「そこは28年の歴史ですね。」
広瀬
「いやいや、たかが28年ですよ。でも、日頃はライヴハウスの親父なんでミュージシャンには偉そうに話してますけど、今回ばかりはみんなに助けられて頭があがらないと思っています。本当にありがいたいですよね。」
岩田
「ライヴハウスの方にアンケートをお願いしていると、これからクラウドファンディングを始めようとしている店舗も多いので、おふたりの話は貴重なご意見になると思いますね。」
広瀬
「6月に入ってから今日(6月4日)まで2本のライヴをやったんですけど、合計3組のミュージシャンがライヴをして、全員がライヴ終わりに店で号泣するんですよね。“人前で歌える楽しさってここにあったよね”と話しながら。ライヴハウスならではの本質というのは絶対に見失いたくないなと思っているので、2021年になったら両手を振って営業できたらいいなと思います。」
森本
「そうですよね。何とか秋くらいから平常運転に本当はできたらいいんですけど、2020年は難しいかもしれませんね…。」
千々和
「クラウドファンディングのコメントを見ていても前向きなものがほとんどだと思うのですが、少し心配になる部分もあって。ライヴができないという状況が影響して音楽活動に対してマイナスに考えてしまう人もいるんじゃないかと。アーティストから相談を受けたりすることはありましたか?」
森本
「私に関しては、そこまでマイナスな相談は今のところないですね。」
広瀬
「当店に出てるミュージシャンはほとんどが音楽で飯を食べている人ばっかりなので、“半年仕事ないんだけど、どうしたらいいかな?”みたいな話はありますね。でも、音楽を続けるかどうかという悩みは聞いてないかな。」
岩田
「配信などの話もありましたが、それぞれの店舗でこれから挑戦したいことや考えている新たな施策はありますか?」
森本
「いろいろ考えてはいますが、どれもお金にならなそうなんですよね(笑)。音楽番組をライヴハウスから発信していくようなこととか考えてみたんですけど、なかなか…。」
岩田
「都雅都雅はライヴが始まったと言えども、何かありますか?」
広瀬
「今日まさしくそんなことをあるミュージシャンと電話で話していました。ライヴをキャンセルするのも申し訳ないから何かおみやげになるものはないかと言われて。“なら、MVみたいな映像を作って送ってください! 3曲分でいいので送ってくれたら有料で流すから、それで稼がせてくださいよ”と(笑)。快く引き受けていただきました!」
森本
「それはありですよね!」
広瀬
「普段は観れないようなメンバーとセッションしてもらったりね。今はスタジオで集まって撮影とかできないと思うので、オンラインミーティング用のソフトか何かで顔だけ映した映像に音楽を入れてもらったら売り物になるんじゃないかと思ってるんですよ。」
烏丸
「まさにアーティストとライヴハウスとの信頼関係/絆があってこその取り組みですね。そんな映像、お金で入手できる類のものではないですから。」
広瀬
「そうそう。本当にその通りです。」
烏丸
「今回のコロナ騒動を通し、逆に得たもの、気付いたこと、確信したことなどはありますか?」
森本
「うーん…お金は残しておいたほうが良かったとすごく思いました(笑)。雇用に関しても労働基準法に従って見直す点もいろいろ見つかりましたし。あと、助成金を申請するためにも。アルバイトを減らすことなくずっと休業手当も出しているんですけど、その点も取り組んでおいて良かったとも思ってますね。コロナがきっかけで見直すことがいっぱいありました(笑)。」
広瀬
「当店は一年に一回程度しか使ってもらえないミュージシャンがほとんどなんですけど、そんな人たちがとても大切な人たちなんだと改めて思えました。それだけでなく、そういうミュージシャンを観るために都雅都雅に来てくれるお客さんたちが思いのほか店のことを考えてくれてるというのは、とても感慨深いものがありましたね。ドリンクを渡す時に愛想なく渡したことがありましたけど、今度からはちゃんとニコッと笑って渡さなあかんなと思いましたよ(笑)。」
全員
「(笑)。」
広瀬
「人間、こうなったら助け合いが全てということを強く思いますね。最近は感謝ばっかりしてます。」
■新しい経営の仕方など 施策を考えなくてはいけない
石田
「クラウドファンディングには期間がありますが、終了後はどんなことをやっていきたいと思っていますか?」
広瀬
「クラウドファンディングは個人的にするつもりがなかったことなので、いろんなところに還元していきたいなと思っています。店の経営に関しては助成金やいろんなところからほぼ利息のない状態でお金を借りられたので、年内はなんとか持つだろうと。そして、ちゃんと立て直した時には今まで以上にみんなが楽しんでもらえることを、人と人とのやさしさを分かってもらえるような接客ができればいいかなと思います。」
烏丸
「ドリンクを渡している時も笑顔が増えるということですね(笑)。」
広瀬
「今までだったら温かいドリンクがないかって訊かれた時、“ありません”って断ったこともあったけど、しっかり用意したいと思います!(笑)」
森本
「あははは。当店もいきなり潰れるということはないんですけど、やれる範囲で生ライヴにこだわりながらやっていきたいと思います。安心して来てもらえる環境をいち早く整えて発信していけたらと。」
石田
「話は少し変わりますが、例えばライヴハウスでバーのような経営を始める店舗などもありますが、目先を変えた営業を考えたりは?」
広瀬
「実は6月から昼営業をしてるんですよ。私がもともと調理師だったこともあり、昼飯を作って食べに来てもらおうかなと。そんな感じで近所の方たちもうるさいだけの店じゃなくて、美味しいものも食べれる場所と思ってもらえると、ライヴハウスへの視野も広がっていくのかなと思ってますね。」
森本
「当店はバー営業などできていないんですが、やりたいという気持ちはありますね。ただ、上の階のお店がお好み焼き屋さんでランチをやってるんですが、昼間は人通りが少ない街なんでなかなか売れないと聞きまして…。だから、やり方をしっかり考えないと。」
千々和
「確かにMOSAiCの周りは住宅街じゃないから大変ですよね。」
烏丸
「ライヴハウス経営が厳しいことに変わりはありませんが、おふたりの話を聞いて、信念や笑顔は失われていないことがとても嬉しいです。」
千々和
「クラウドファンディングってどこかカッコ悪く見えるというイメージが少しあったのですが、最近その概念が自然と崩れていきました。ライヴハウスを潰さないというのは大前提にあるとしても、店舗ごとでやり方は違うし、使いようでいいものになっていくんだと思えましたね。」
岩田
「私も千々和さんと同じように、どこかマイナスなイメージがありましたが、ライヴハウスのみなさんからコメントを集めているとポジティブな言葉や感謝の想いがたくさんあって、使う側も参加する側もポジティブなツールなんだと、おふたりの話も聞いて感じられました。」
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