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首振りDolls、ショーン・ホラーショー(Ba)にソロインタビューを実施

4月にはSEX MACHINEGUNSとの全国対バンツアーや、バンド初となるバースデー企画ライヴを予定していた首振りDolls。しかし、その全ては誰も想像することが出来なかった新型コロナウィルス感染症の拡大を受け、中止となった。

世界的な問題となっている状況下で、何よりも大切にされるべきは命であることはもちろん、私たちは今まで“当たり前”になっていた存在や事柄、気持ちや場所の大切さを、改めて噛み締めることができている。1日も早い終息を願い、今は自粛という時間の中で可能な範囲での音楽の力を、精一杯届けて行けたらと思う。

今回は、4月16日に誕生日を迎えたショーン・ホラーショー(Ba)に、自らにとって音楽がどれほど大切な存在であるかを語ってもらった。

■首振りDollsにはいろんな人の 心を掴む音楽があると思う

――人生初のソロインタビュー?

「ですです(笑)。お察しの通り緊張しまくってます(笑)」

――ステージでは1ミリの緊張も見えないけどね(笑)。

「ステージでは緊張しないんですよ。うん、緊張したことないですね、むしろ」

――全く? 袖からステージに出て行くときも?

「はい。わりと平常心です」

――どこでスイッチが入るの?

「ステージに上がって、最初の音を出した瞬間ですね。それまでは至って平常心です。緊張することもなく。ステージ袖で気合い入れしてステージに向かうときも普通なんです。緊張することなく。でも、インタビューはダメですね〜(笑)。話すということが無理(笑)。上手く話せないんです」

――アーティスト肌だね、ショーンは。もともとアーティスト志向なの? プレイヤー志向なの?

「あ〜、どっちかというと昔はプレイヤー志向だったかもです。途中からアーティスト志向になった感じというか」

――なるほど。今回は、そんなショーンに、音楽との出逢いまで遡った話をパーソナルで聞いていこうと思うので、よろしくです。

「はい! こちらこそ。よろしくお願いします!」

――最初に音楽に興味を持ったのは?

「最初は自分からというより、両親にピアノを習わせられたところからでしたね。幼稚園の年少の頃から小学校の高学年までずっとやってたんです。練習しなくちゃいけないのも本当に嫌で。イヤイヤやってたんです。でも、友達も一緒に通っていたので、それだけが唯一楽しいって思えてたかな。あとは、ピアノをやっていたおかげで、小学校の音楽のテストだけはめちゃくちゃ簡単に出来てたのも、やってて良かったって思ってたとこでしたね(笑)」

――結局最後まで興味は持てず?

「ですね。ただ、今となってはやってて良かったと思えるし、今は全然弾けなくなっちゃったので逆に学びたいです。その点両親にとても感謝しています。それから6年生の頃に、知り合いでドラムを教えてる人と出逢って、ピアノよりドラムに興味が出て、親に言ったら、両親は音楽は続けさせたかったみたいで、そこから何となくドラムを習いに行くようになったんですよね。ちゃんと音楽を意識的に聴きだすようになったのはその先のことで、中学1年の頃でした。小学校の頃からギターやってる友達と、中学1年のときに同じクラスになったんです。その友達がめちゃくちゃGLAY好きで。そこから意気投合して2人でいろいろ音楽で遊ぶようになっていったんです」

――最初はドラムってこと?

「いやいや、そこまで本格的ではないですよ。そのときはバンドも組んでいなかったし。その子の家に行って、いろんな音楽聴かせてもらって、ずっと音楽の話してました。その頃に好きになった音楽は今も永遠ですね。Dragon Ashとかまさにそうです。そこでベースの馬場育三さんを見て、自分もベースがやりたい!って思い、そこからベースを買ってもらって。毎日のように弾いてましたね。最初に買ってもらったベースは、馬場育三さんモデルのベースでした。それくらい憧れてました」

――そこがショーン・ホラーショーのルーツ?

「ですね。馬場育三さんとJIROさんが自分のルーツです。そこからはずっとベース一筋です」

――ショーンは長男だもんね。お兄ちゃんとかお姉ちゃんの影響はないから、きっかけは、小学校の頃に仲良くなったギターやってた友達ってこと?

「完全に音楽に興味を持ったのはその友達がきっかけでしたね」

――バンドを始めたのはいつだったの?

「中学1年の後半くらいから2年のときですね。周りに音楽好きな友達が増えていって。友達の家の倉庫みたいなところで練習してたんです。そこにドラムセットもあったんで、楽器持ち寄って。まさにガレージロックですよね(笑)。その頃は、GLAYとかDragon AshとかRIZE とか19とかのコピーやってました」

――19!?

「ちょっと毛並み違いますけど、結構バンドっぽい音なんですよ」

――なるほど。洋楽は全く?

「いや、好きでしたよ。Slipknotとかもよく聴いてましたし、ポップ・パンクも好きだったんで、Sum 41とかBlink-182とかも好きでしたね。GLAY好きな友達の影響でDeep Purpleとかも聴いてましたし」

――おっと、そこでジョニー・ダイヤモンド(首振りDollsギター)との共通点が!

「あははは(笑)。そうですね。なんとなく3人のルーツが重なる部分があるんですよね、首振りDollsって」

――そうだね。胸を打つポップなメロディと60、70年代のハードロックを彷彿とさせるサウンドを個性とするジョニーと、剥き出しの情念を乗せた昭和歌謡テイストとしたおどろおどろしさとハードコアが漂うナオの作る曲と、妖しげなファンキーさとグルーヴ重視のショーン曲がいい具合に共存しているのが首振りDollsの音楽だもんね。

「本当にそうですね。交わるところが不思議とあって。自分はJamiroquaiとかもすごく好きだったりするので、そういう要素も今の首振りDollsにはあると思うし、本当に首振りDollsの音楽性って幅広いと思うんです。だからこそ、ロックが苦手っていう人にもすんなり受け入れてもらえるんじゃないかなって思うんですよね。激しいだけの音楽ではないから。3人作曲するから、全部色が違うんです。だから、10曲くらい聴いてもらわないと、首振りDollsの音楽はわかってもらえないんじゃないかなって思いますね。きっと、いろんな人の心を掴む音楽があると思います。きっと好きな曲あると思うんですよね。なかなか“大衆的な音楽です!”とは言い切れないのかもしれないけど、大衆性って、後から付いてくる言葉なんじゃないかなっていう気もしていて」

――たしかにそうかもしれないね。アニメのテーマ曲とかメタル系の楽曲が多かったりするけど大衆的だったりするからね。

「そうそう。自分たちも、たくさんの人に聴いてもらいたいと思ってはいますけど、最初から大衆性を求めて作ってはいないから。おのずと後から付いてくるものなんじゃないかなって思いますね」

――そうだね。3月22日の無配信ライヴで初披露した、まだ現時点では未発表(※5月20日リリースの音源に収録される「Welcome to Strange Night」)のショーンが作ったインストは、大衆性のある激しさだと思うからね。テクニックが炸裂した攻め曲だけど、本当に引き込まれる。

「ありがとうございます! 嬉しいです! 往年のファンクフレーズは入れてますね。『首振人形症候群―REVISITED―』に入っているナオくん作詞作曲の「NO!NO!NO!」とかも、ちょっとアレンジ変えたらアニソンみたいだなって感じてるんですよね。そう思うと、本当に振り幅広いなって思います」

――そうだね。ショーンが加入して、その振り幅が更に大きくなっていると思うからね。既存曲のノリにも変化が生まれたなって思うし。ナオの個性が200%出まくっている「鏡地獄」で客席からクラップが起こるようになったのも、ショーンのベースプレイが導いたところであると思っているし。

「あのノリは嬉しいですね。いつか過去曲も自分のベースで作品として残してみたいですね」

■音楽は自分の想いを1番素直に 表現出来るもの

――今、首振りDollsのメンバーとして作詞作曲する上で、バンドのイメージというのは意識して作品作りしている感じ?

「いや、全くしてないです。加入して最初の頃は、考えるべきかなって思ったりもしたんですけど、今は、もう全く。自分が思うままに作ったとしても、ナオくんとジョニーさんの個性が加わることによって、自然と首振りDollsになるので、本当にそこは信頼してますね。なので、すごく自分の個性をそのまま出せてる感じです」

――なるほど。そういえば、少し前にTwitterで、“10代の頃に故郷を思って作った曲です”って弾いて動画をアップしてたよね?

「してましたね(笑)」

――すごく優しくていい曲だったけど、あの曲のタイトルは?

「タイトルは特に付けてなかったんですけど、アップしたとき、今の状況を思い、コロナの1日も早い終息を願って『PRAY』って付けました。みんなの元に、早くいつもの日常が戻ってくるように祈りを込めて」

――そうなんだね。すごく優しくていい曲だった。10代の頃に作った曲が今、この現状に響く曲になるとはね。

「そうですね。そんなこと思いもしなかったけど。なんかすごくしっくり来たので、みんなに届けられたらいいなと思って」

――やっぱり音楽と心情はリアルに繋がっているんだね。

「うん。自分にとって音楽は、自分を支えてくれたり、感動を与えてくれるものであると同時に、自分の想いを1番素直に表現出来るものなのかなって思います。口下手なだけに、音楽では全てが晒け出せる気がします。言葉では無理なんで(笑)」

――オリジナルを作るようになったのは、いつ頃からなの?

「オリジナルを作るようになったのは、だいたい高校2年の頃かなと。地元が宮崎なんですけど、実家があるのが宮崎の田舎の方なんですよ。それまで周りに何もないところだったのが、市内に近い高校に通うようになって。そこで見つけた海外カルチャーを詰め込んだような服屋さんを見つけて通うようになって。そこでバイトしていた店員さんが同じ歳で意気投合してバンドを始めて、そこからオリジナルを作るようになったんです」

――なるほど! ショーンの服好きはそこから来てるのか。

「ですね。ワッペンとかステッカーが好きなのもそこからなんだと思います。デカめな半ズボンにハイソックスとか履いてました。今のライヴキッズっぽい感じよりはチカーノファッションに近かったですが(笑)。その辺りから洋楽をそれまで以上に聴くようになって。ベースのレジェンド達のプレイを掘り下げて、ひたすらコピーしまくってました」

――最初から指弾き?

「いや、最初はピックと両方でした。指弾きになったきっかけは、ベースのレジェンド達のプレイを掘り下げていくうちに、スラップとかを覚えてやるようになって、そこからですね。とにかく弾くのが好きだったので、練習を苦痛に思うこともなく。とにかく毎日夢中で弾きまくってました。とにかく、いろんな奏法が出来るようになりたくて。もしかしたら、その頃はプレイヤー志向だったのかもですね」

――なるほどね。高校の頃に組んだバンドはなんて名前だったの?

「KrowNです。つづりは違うのですが王冠っていう意味とピエロっていう意味を持たせたバンド名。宮崎のライヴハウスを中心に活動してました。上京してからは月何本も都内のライヴハウスに出るようになって。そのバンドで20歳くらいまでやってたのかな? 高校卒業して進学で上京したんですけど、バンドメンバーも一緒に上京したんです。KrowNでプロ目指してました」

――その辺りからアーティスト志向に?

「そうですね。憧れていたベーシストを探究していくうちにステージングにも目がいくようになって。とにかく動き回りながら弾くようになったんです。KrowNでライヴをしていた頃、初めてやらせてもらうライヴハウスに行ったとき、そこの店長さんに“君のこと覚えてるよ。他のライヴハウスに観に行ったときKrowNが出てて、すごくステージングが華やかなベーシストだなって思って印象に残っていたから”って言われたんです。その言葉がすごく嬉しく印象に残って。そこからよりライヴパフォーマンスを意識するようになりました」

――まさに今もそれよく言われているよね。“弾いてる姿見て、あ、この子!って思った”って、声かけられてるのをよく見るから。

「嬉しいです。印象に残ってもらえるって、本当に嬉しいことなので」

――そうだね。でも、本当にショーンのステージングは印象に残る派手なプレイが特徴だからね。特に首振りDollsはボーカルであるナオがドラムボーカルだから動けないというのもあって、ジョニーとショーンが動く必要性があるからね。

「ですね。でも、動くことは自分的には本当に苦ではなくて。むしろ動き回りたい方だから全然苦痛じゃないんです。ステージが広くなればなるだけ楽しいというか、動きやすいし」

■音を支える存在でありながらも、 目立つ役割で居たい

――2ndアルバム『アリス』のジャケットを手掛けてくれたカネコアツシさんが、初めて首振りDollsを観てくれたとき、ナオがドラムを叩きながら拘束された状態で唄う姿を見て、“女郎みたいで衝撃的だった。なんだ、このカッコイイバンドは! って、ゾクゾクしたよ!”って言っていたのが、すごく印象的だった。

「嬉しい表現ですよね。やっぱりバンドって、楽しませるのが役目だと思うんです。みんなを楽しませる為にやってるから。自分もライヴを観に行くときって本当にそうなんです。楽しむ為にそこに行く。自分が見る立場で感じることを、自分が届ける側になったときにやってあげたいというか。ちなみに、カネコさんに自分は、“悪い妖精みたい”って言われました(笑)」

――あははは(笑)。『アリス』のジャケットのショーンは、まさしく“悪い妖精”だったもんね(笑)。

「死神でしたね(笑)!」

――そうだね(笑)。ところで、話を前に戻すけど、KrowNの音楽性はどんな感じだったの?

「ポップ・パンクとかミクスチャー的な音楽性で。Beastie Boysっぽい感じのもありましたね。バンドサウンドに緩いラップ入れたりとか。でも、自分が本格的に作曲をし始めたのは、その次のバンドのGROOMYからです」

――GROOMYは宮崎で活動していたバンドでしょ? 上京していたのに、どうやって?

「GROOMYに誘われて、GROOMYをやる為に東京から宮崎に戻ったんです。しばらく宮崎で活動して、それからまた上京したんです」

――なるほど。その先に首振りDollsのベーシストとしての未来があった訳だけど。

「はい。宮崎で活動していたときに福岡のイベントで首振りDollsと対バンして、そこで仲良くなったんです」

――そこが出逢いだったんだね。ショーンは、バンド内のベーシストの役割って何だと思う?

「しっかりと音を支える存在でありながらも、ちゃんと音でも存在としても目立つ役割で居たいなと思ってますね」

――ショーンの足元はギタリスト並みのエフェクターボードだからね。

「いやぁ、まだまだですけどね(笑)。もっと増やして行きたいんで」

■やりたいことはたくさんあるので、 こんなところで挫けてる場合じゃない

――最初に買ったエフェクターは何だったの?

「シンセ系のエフェクターでした。足音とかの効果音みたいなのをベースで出してみたくて。基本の音はフレーズを引き立たせるためにローミットが好きなんですけど、いろんな音を出せるベーシストでありたくて。シンセ系のエフェクターは、今の音の原点になっているところでもあると思いますね」

――唯一無二なベーシストだと思うよ、ショーン・ホラーショーは。

「いやいや、嬉しいです。まだまだなんで頑張ります!」

――今回、新型コロナウィルスの影響でSEX MACHINEGUNSとのツアーも延期になり、初のバースデーライヴだったショーン企画のライヴも延期になってしまった訳だけど。

「残念で仕方ないですね。SEX MACHINEGUNSとのツアーも本当に楽しみにしていたし、自身のバースデーライヴも、セットリストを始め、企画から全部任してもらって計画していたので。本当に残念で」

――バースデーライヴはPLASTICZOOMSとの対バンだったんだよね。

「はい。憧れでもある存在のバンドなんです。PLASTICZOOMSを知ったきっかけはSHOさん(SHO ASAKAWA=PLASTICZOOMSのボーカリストで、全楽曲の作詞作曲、アートワークを手掛けている)だったんです。ネットを通じて、ファッション関係の情報からSHOさんを知って、そこからPLASTICZOOMSを知ったんです。日本にはあまりないニューウェーブな感じの音楽性にすごく惹かれたんです。ライヴとかにも行くようになって。アートワークとサウンドの融合が素晴らしくて。ライヴはクラブみたいなんです。ずっと踊っていられる感じというか。本当に時間が過ぎるのが早くて。踊っていると気づいたら終わってる、みたいな感覚なんです。本当に自然と体が動かされるんです。本当に素晴らしいなって思いますね。今回念願叶っての対バンだったので、すごく残念でしたね。SHOさんも延期になってしまったことを残念に思って下さって、この状況下の中で出来る限りのことをして対談とか配信しようかって提案して下さっていたりもしたんですけど、感染が拡大してしまっている状況だったこともあり、またちゃんと対面して対談出来るときを待って、みんなが安全に楽しめる時を待ってベストな状態でライヴしようって言って下さったんで、焦らず、今はみんなの健康と安全を願うばかりです」

――バースデーライヴでは、ショーン監修のオリジナルTシャツも発売される予定だったからね。

「はい。すごくこだわって作ったTシャツだったんです。色合いもデザインも僕の要素や意見を取り入れてもらって。通販サイトで当日から販売スタートしたんですけど、すごくたくさんの人達が買ってくれて、本当に嬉しかったです」

――ソールドしてたよね。

「ありがとうございます。お陰様で。でも、リクエストが多かったら再販も考えているので。本当にカッコイイので、みんなに着てもらいたいです。またそれ着て、延期になってしまったPLASTICZOOMとの対バンに集まって欲しいなって思ってます。またみんなで集まって一緒に楽しい空間が作れることを願ってます」

――最近、どうしてるの?

「家に居ます。家でベース弾いたり、猫と遊んだり、首振りDollsのぬいぐるみで遊んだりしてます(笑)。みんなぬいぐるみ買ってくれて、洋服とかも作ってくれたりしてTwitterにアップしてくれているので、クオリティの高さに驚きつつ、それ見ながら癒されてます。ライヴがなくて会えなくても、こんなにみんな応援してくれているんだなって思ったら嬉しくて。本当に早くライヴで会いたいなって思ってます」

――この先、ショーンが首振りDollsのベーシストとして、エンタテイナーとして目指すべきところは?

「やっぱり、みんなを引き込めるような良い音楽を作り続けて、みんなを楽しませることが出来るライヴをしていくことですね。とにかく今は、1日も早くライヴがしたいです。まだまだやりたいことはたくさんあるので、こんなところで挫けてる場合じゃないし。今、可能な限りでやれることを頑張って、ライヴが再開出来る日を待ちたいと思っています」

text by 武市尚子

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