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PRIZMAX、無観客ライブで魅せた有終の美

PRIZMAXがCDデビューの記念日である3月27日に、無観客での解散ライブ『PRIZMAX Live Level 0 ~FINAL~』を日テレらんらんホールにて開催した。デビューから丸7年、それ以前の活動を含めれば15年にもわたる歴史を締めくくる大切なラストライブということで、チケットはもちろん即日完売。開演前の囲み会見で、リーダーの清水大樹が「大きな節目であり、全員が新たな道に進むにはベストのタイミング」と語った通り、この日付に強いこだわりを持って解散を決めた彼らだったが、新型コロナウィルス感染拡大防止のため、当日はニコニコ生放送での配信ライブという想定外の形で決行されることとなった。それに対し、島田翼は「コロナのバカ野郎!って感じ」と語気を強めながらも、「自分たちの信じるものを素晴らしい映像コンテンツとして、世の中に届けていくことが僕たちの使命なのではないかと思い、無観客でもやるという決断をした」と説明。森崎ウィンも「正直、悔しいです」と唇を噛みつつ、「今まで応援してくれたホリック(PRIZMAXファンの名称)に、感謝を届けたい気持ちは変わらない」と言い切ってみせた。事実、ファンからの人気投票結果を元に組んだセットリストに、在宅ホリックたちとのコミュニケーションまで実現させたライブは、無観客ならではの演出も数多く取り入れられ、ホリックたちへの愛があふれるものに。平時ではないからこその心に刻まれる忘れられないフィナーレで、それぞれの新しい旅立ちを見送った。

2015年の『Level 1』に始まり、昨年末の『Level 9』まで積み重ねられてきた、PRIZMAXのワンマンライブ。本来であれば『Level 10』となるはずのラストライブは、「僕たちの一番のオリジナル、元の姿を意識して見せたい」(清水)という想いから、『Level 0』と名付けられたという。それら歴代のライブ映像がダイジェストで流れると、時計の針が刻む音から、ちょうど7年前に発表したデビュー曲「Mysterious Eyes」で、PRIZMAX最後のライブは幕を開けた。ボルドーをベースに花柄をあしらったフォーマルな出で立ちの6人が、いつものようにステージ上で躍動すると、森崎、ケビン、森英寿のボーカルトリオによる甘い歌声が清水の快活なラップと相まって、PRIZMAX特有のスタイリッシュで成熟したムードを創り出す。ニコ生の画面にあふれるのは、当然“カッコいい!”の文字だ。

続いて「こんな大事な日に、会場にホリックを呼ぶことができなかったのが本当に辛くて、寂しいんですけれど……僕たちPRIZMAX、このライブをもちまして解散することになります。どんな形であっても、みなさんの心にしっかり届けるライブをお送りするので、みなさん最後まで見届けてください!」と、さっそく清水が決意表明。その言葉通り、以降ワンカットの映像で見せる配信ライブだからこその表現手法を次々に展開して、画面越しのホリックたちを魅了していった。「加入前から印象深かった曲なので、今日みんなで披露できるのが嬉しい」と会見で語った小川史記が元気なラップを放ち、クラップを煽った「OUR ZONE」や、切ない恋物語を森崎の芳醇な歌声を軸に届ける「Never」では、シンクロ率の高いダンスパフォーマンスを画面いっぱいに映して、カメラの向こうをダイナミックに圧倒。一転、ステージで踊る6人の中にカメラが入った「Someday」では、メンバーそれぞれを接写で映して画面越しに親密な空気を醸し、最後は無人の客席にターンするというドラマティックなカメラワークで魅せる。さらに「ホリックの代わりに席を活用しましょう!」と、「Pleasure」ではメンバー全員が客席に下りて、まるで目の前にホリックたちがいるかのように「ニコニコ配信まだまだイケるよ!」とはしゃぐ場面まで。そのまま全員でPCモニターをチェックして、ニコ生視聴者からのメッセージを拾ってくれるのも嬉しい。トドメとばかり「デビュー前からずっと僕たちを支えてくれた楽曲を久しぶりに、そして、今の6人バージョンで初めてお届けしたいと思います」というMCから、幻の名曲「HANDS UP」まで披露! ヒップホップ色の強い自己紹介ナンバーを6人でエネルギッシュにラップリレーする間に、他のメンバーは衝立の向こうでラフなニット衣装へと、なんと次々に生着替えしてゆくのだからたまらない。ニコニコ生放送の画面には“大好き”“可愛い”といったコメントが流れ、続く「Lonely summer days」の曲中では、なんとメンバーも投稿に参加するという前代未聞のアクションも。配信ライブの性質を考え抜き、まるで全員が最前列にいるかのように感じられる数々の演出から、チームPRIZMAXのホリックたちに対する想いの熱さが伝わってくる。

ここからは、PRIZMAXの豊かな歌心とハーモニーをたっぷりと堪能させるパートへ。ケビンがジェントルにピアノをプレイし、ドリーミーなダンスがファンタジックな空間を創り出す「夢唄」に続いて、「春空」では森崎のアコギに森のパーカッションも加わり、3人の歌声が砂漠のオアシスのような瑞々しさを生み出してゆく。森が感極まって声を詰まらせるシーンもありつつ、最後は3人でピタリと声を揃えて、観る者の心を優しく抱擁。曲が終わると白&シルバーのスポーティーなスタイルに着替えたダンサー陣が登場し、「らんらんホールで泣いちゃうのはPRIZMAXが初めてじゃない?」と突っ込みながら、無人の客席を前にして「みんなから生で貰うエネルギーって、すごく大きかったんだなって気付かされる」と島田は呟いた。

「PRIZMAXらしい曲で、加入してからの活動の中では一番思い入れのある曲」と、ケビンが会見で語った最新シングル「愛をクダサイ」からは、最新のPRIZMAXが持つ静と動をフィーチャー。情感の籠もった歌とダンスで、しっとりと観る者の心を濡らし、最後のラップを清水が“ありがとう ホリックNo.1”と歌い替えたかと思いきや、赤いライトが激しく瞬いて、怒涛のメドレーを叩きこむ。アグレッシブなダンスに森崎のロングトーンがパワフルに轟く「Beginning」から、一糸乱れぬタフな動きで圧倒する「DADADADADADA」、さらに、ソロダンスも交えた巧みなフォーメーションダンスで繋いで、ボーカル/ダンサーの対比も美しい「Light The Night」へと雪崩れ込む展開は圧巻! 客席上を低空飛行してステージに迫るマイクロドローンからのスリリングな映像も、まさしく配信ライブだからこそ見られる景色だ。

ここで日本、ミャンマー、アメリカ、フランス、ルーマニア、スペイン等、メンバーのルーツにちなんだ国のビールで乾杯しながら、ファンの人気投票結果をネタにピザパーティーする映像が流れ、その間に6人はピンクベージュの衣装にチェンジ。そして「ここからTOP3の発表です。まず第3位はこちら!」というMCから、流れ始めたのは「HUG & KISS」だ。ステージを行き交いながらハッピーな空気を振りまき、2位の「カフェオレ」でもメンバー同士じゃれ合いながら笑顔でカメラにアピールする。ライブ鉄板の愛らしいラブソングを遊びの利いたパフォーマンスで並べて、キュートな振り付けを「一緒に!」と繰り出す様は、いつものPRIZMAX。メンバー自身、曲を終えると口々に「楽しい!」と漏らして、“これが最後”だとは微塵も感じさせないが、1位の発表を前に、ここでメンバーが順に想いを語り始めた。

1年前にオーディションを経て加入した小川、ケビン、森の3人は、口々にPRIZMAXというグループへの感謝を語り、小川は「15年もの歴史があるグループに入ることができたのは奇跡。PRIZMAXは永遠です。僕の心の中でずっと生き続けます。一生忘れることのない素敵な1年間でした」と一礼。ケビンは「ずっと一人で曲を作って歌っていた僕が、このグループに入ることで新しい音楽の楽しみ方を感じることができました。僕は絶対に音楽を辞めることはないので、僕の中でPRIZMAXは生き続けています。それを大事にして、僕は全力で音楽を突き詰めていきたいと思ってます」と清々しく述べた。森も「ダンスや歌が上手くなった、成長したねと言われますけど、それは皆さんの支えがあってこそ。最後にわがまま言うと、アーティストとしても人としても未熟な部分もたくさんあるので、これからも森英寿を支えてもらいたいです」と、末っ子らしく甘えてみせる。

さらに「PRIZMAXにいて本当に幸せだった」と伝えたのは、「人生の半分以上PRIZMAXだった」という島田と、「14年間PRIZMAXと走ってきた」という清水。島田は「みんながいてくれたから俺らがいるし、俺らがいたからみんながいる。ホリックは仲良しだと聞いて、僕は誇らしかったです。だから、その友情はこれからも続けてほしい。そして僕らの話をしてほしい。みんなからもらった幸せを、今度は身近な人々に分け与えられる人間になれるように、そして表現者としても精進していきたいです」と約束する。続いて清水も、リーダーという裏方の苦労をメンバーが察してくれていたと語り、「心優しいメンバーがいるから、そういうホリックが集まるんだろうなと思う。明日以降はそれぞれ光り輝く先に向かって走っていくけど、俺はもう少し、しっかり自分だけを見れるような生き方をしたい。これからもメンバーみんなよろしくお願いします!」と、最後までリーダーとしての責任を全うした。

最後に森崎は、何度も「全然まとまらない!」と言い淀みながら、「赤裸々に言うと……ホントに感謝してます。PRIZMAXってホントに帰ってくる場所なんだなって、毎回実感しながら、PRIZMAXという現場にいました。僕が音楽に出会ったのは、好きになったのは、このグループのおかげです。こんなに親友ができたのも、このグループのおかげです。僕の人生振り返ったら、PRIZMAXナシでは全く語れません。そんな中で今日という日を迎えてるんですけど……メチャクチャ怖いです」と素直な気持ちを吐露。そして、PRIZMAXに関わった全ての人々に「ありがとう」と告げ、「何よりも、PRIZMAXを今日という日まで信じてくれたホリック、本当にありがとうございました。人生というものは続くので、その中でまた、みんなに何か分け与えていけるようなエンターテイナーになりたいと思います」と、精一杯の決意表明をしてくれた。

そして、「しんみりして終わりたくないから! 楽しく終われるセットリスト持ってきたから!」と清水が煽り、「音楽がしたいんだよ、俺は!」と島田が檄を飛ばして発表された栄えある1位は、2014年のリリース以来、ホリックとの絆を繋いできたポップチューン「Three Things」。ニコ生の画面には“やっぱりね”“きた!”というコメントが並び、最後に“I could die for you!”と全員で歌うと、キャノン砲から金銀のテープが! 加えて、真っ赤な客席一面には“I Love U”の白文字が浮き上がり、ラストライブのフィナーレを華やかに飾る。さらに、画面に浮かぶ“アンコール!”の文字に応えて、「本当に本当のラスト1曲!」と再登場した6人は、これまで数えきれないほどライブでホリックを笑顔にしてきた「my girl」を投下。最後に「ホリックのみんな、本当に!」という清水の掛け声を合図に、全員で「ありがとう!」と声を揃えて、PRIZMAXという歴史の幕を閉じた。

「今までたくさんの幸せ、たくさんの愛情をありがとうございました。これからも僕たち、PRIZMAXは消えません。みなさんの心の中に、僕たちの心の中にも残り続けます。これからそれぞれ羽ばたいていきますが、PRIZMAXに恥じぬような人間、そしてエンターテイナーになっていけるよう、日々精進してまいります」

そう森崎が締めくくると、「Find the way ―卒業―」をBGMに流れるエンドロールの上に、無数の“ありがとう”が現れる。ホリックと愛し、愛された15年。そこで得た想いを糧に歩み続ける彼らの行く先が、光にあふれたものであることを切に願いたい。

photo by 笹森健一

text by 清水素子

【セットリスト】

M1:Mysterious Eyes

M2:OUR ZONE

M3:Someday

M4:Never

M5:Pleasure

M6:HANDS UP

M7:Lonely summer days

M8:夢唄

M9:春空

M10:愛をクダサイ

M11:Beginning

M12:DADADADADADA

M13:Light The Night

M14:HUG & KISS

M15:カフェオレ

M16:Three Things

EN1:my girl

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