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『ROCK AX Vol.4』、全4組が熱演を繰り広げた2デイズ!

“今、目撃するべき本物のライブを、体験”をコンセプトに日本テレビが立ち上げたライブイベント『ROCK AX』。その第4弾が2月18日、19日の2日間、Zepp Tokyoで開催され、両日ともに対照的とも言える2組がぶつかりあい、会場を大いに盛り上げた。

■<DAY 1> 現場(ライブ)至上主義の2組が対決!

メンバー全員のシンガロングから演奏になだれこむ1曲目の「うるさい」から、先攻のSUPER BEAVERは満員のフロアをぐいぐいと盛り上げていった。

“しょっぱなからどんどん行きましょう! 最高の日を、我々4人では心許ないので、あなたと作りたい!”そう序盤で宣言した渋谷龍太(Vo)がそれぞれの曲に込めた思いを真っ直ぐに語りながら、この日、SUPER BEAVERが演奏したのは全10曲。その中で「うるさい」をはじめ、彼らがライブハウス・シーンでめきめきと頭角を現してきた頃の曲を多めに演奏したのは、対バン相手となるSiMを意識していたのか、いなかったのか。

ともあれ、がむしゃらな勢いで戦っていた頃の曲を演奏しながら、この日のライブでアピールしたのは、ホールやアリーナのステージにも立つようになった現在の彼らが獲得した、観客を一人も置いていかない包容力だ。客席の最後列はもちろん、隅々まで“見えているよ”というアピールを、渋谷は終始忘れない。

ダンサブルで、よりアンセミックな「irony」「予感」がバンドのスケールアップを物語る。その一方で、白熱する演奏が観客のダイブを誘った「正攻法」は、ライブハウスで叩き上げてきたバンドの闘争心を見せつけた。そして、観客とバンドの交歓とも言えるコール&レスポンスが会場中に響き渡った「秘密」から、「ありがとう」「嬉しい涙」に繋げ、感謝と祝福を表現したクライマックス。ステージの4人は観客と真摯に対峙する姿勢をダメ押しで印象づけ、1時間の熱演を締めくくった。

【セットリスト】

01. うるさい

02. 閃光

03. 証明

04. irony

05. 人として

06. 正攻法

07. 予感

08. 青い春

09. 秘密

10. ありがとう

11. 嬉しい涙

対する後攻のSiMは、1曲目の「Get up, Get up」から暴れたくてウズウズしている観客の気持ちに火をつけると、序盤からモッシュ、ダイブが止まらないフロアにSiM流のラウドロック・ナンバーを、アンコール含め全14曲、次々と投下。

全員がモンキーダンスを踊り狂った「GUNSHOTS」をはじめ、スカ、レゲエの要素も取り入れ、ダンサブルな魅力を加えたところが、彼らならではなのだが、MAH(Vo)による人を食ったMCも含め、観客に対して挑戦的なライブのおもしろさは、ある意味、対照的とも言えるSUPER BEAVERとの対バンの中で、いつも以上に際立っていたんじゃないか。“SUPER BEAVERとSiM。なかなかのブッキング。いいところを突いてくる”とMAHも満足げだ。

中盤では、《K-I-L-L-Y-O-U》と観客にシンガロングさせたパンク・ロックの「BASEBALL BAT」とスカパンクの「Devil in Your Heart」という新曲も披露。本編ラストの「KiLLiNG ME」では、テレビで放映されることを意識して、“ライブハウスにまだ来たことがないおまえ! いつでもかかってこい! 待ってるぜ!”とカメラに向かって叫ぶ。

そして、アンコールはシンガロング必至の「Blah Blah Blah」、観客によるウォール・オブ・デスがクライマックスを印象づけた「f.a.i.t.h」というお馴染みの2曲をたたみかけ、ダメ押しで盛り上げた。

【セットリスト】

01. Get up, Get up

02. A

03. Amy

04. Foll in Love With You

05. GUNSHOTS

06. DiAMOND

07. BASEBALL BAT

08. Devil in Your Heart

09. The Sound Of Breath

10. MAKE ME DEAD!

11. WHO’S NEXT

12. KiLLiNG ME

<ENCORE>

1. Blah Blah Blah

2. f.a.i.t.h

■<DAY 2> 2020年ブレイク必至の2組の貴重な共演

“両極端。めったにできない組み合わせ”とNovelbrightの竹中雄大(Vo)が言ったとおり、『バズリズム』の「これがバズるぞ2020」の2位に選ばれたニガミ17才と1位のNovelbright ——音楽性、バンドの佇まいともに1ミリもダブらない2組の対バンは、確かに他のイベントでは、なかなか見られないものだったかもしれない。

先攻のニガミ17才はシーケンスで流したトラックに合わせ、メンバー4人が4脚の丸椅子の上で踊る「A」でスタート。一体、どんなバンド⁉ と意表を突いたオープニングに面食らうが、“ライブハウスへようこそ”という岩下優介(Vo&Gu)の挨拶からバンドがたたみかけるように演奏した曲の数々は、超絶テクに裏打ちされた本格派のサウンドなんだから、再び面食らう。

そういう曲を、彼らは曲名からもうかがえるシュールなところもあるユーモアセンスとともに聴かせるわけだが、紅一点の平沢あくび(Key&Vo)がティッシュを巻き散らした「ねこ子」のパフォーマンスやジャズ・ロックなんて趣もある「湯切り少女とイクツカの妄想」の白熱するバンドの演奏が観客を圧倒するさまは痛快の一言。

この日、演奏した全10曲中、圧巻はラスト・ナンバーの「かわきもの」。5拍子と4拍子を織りまぜながら、“好きなように体感してください。それが音楽”とロック調の曲を、ヒップホップ、ボサノバ、演歌と変化させる変幻自在の演奏を観客のクラップ参加型で大いに沸かせ、岩下が最後に言ったのは、“音楽には、さまざまなジャンルがあるが、どれもカッコいい。僕らの名前は覚えなくてもいい。ただ、音楽は素晴らしい、楽しいものだという事実だけ持って帰ってください!” だった。誰もがニガミ17才の強烈な個性を記憶に焼き付けたに違いない。

【セットリスト】

01. A

02. おいしい水

03. ただし、BGM

04. ねこ子

05. 湯切り少女とイクツかの妄想

06. 幽霊であるし

07. 町の変態

08. ゴーゴーエアロバイク

09. 化けるレコード

10. かわきもの

“この後、1位が出てきます”とニガミ17才からバトンを渡されたNovelbrightは、TikTokでバズった「Walking with you」で、いきなり客席を沸かせると、“みんな、拳を挙げられますか?”(竹中)と「Count on me」に繋げ、ぐいぐいと盛り上げていく。

いつかそのステージに立ちたいと憧れていたZepp Tokyoで初めて演奏する感激を、“モチベーション、ボルテージともにフルMAXでやってきました!”と竹中が言葉にしながら、路上ライブでファンを増やしてきた大阪出身の5人組が演奏するのは、エモーショナルでストレートなギター・ロックだ。竹中の伸びやかな歌声と豊かな声量には圧倒される。すでに話題になっているように、それがこのバンドの大きな武器であることは間違いないが、そんな歌声の魅力は、この日、披露した10曲の中でもファルセットも交えた「また明日」「Heart voice」で、より際立つという印象も。

“残り3曲は思いきりロックして帰りたいと思います!”(竹中)と新曲の「ランナーズハイ」からたたみかけたラストスパートは、“もっと!もっと!”と観客のシンガロングを求め、前半以上の盛り上がりを作る。そして、「これがバズるぞ2020」の1位に選ばれたことも大いに頷ける新人離れしたスケールの大きさを見せつけると、近い将来、同じステージでワンマンライブを行うことを宣言。さらなる飛躍を予感させ、熱演を締めくくったのだった。

取材:山口智男

【セットリスト】

01. Walking with you

02. Count on me

03. フォーリン・ヴィーナス

04. 夜空に舞う鷹のように

05. ヒカリへ

06. また明日

07. Heart voice

08. ランナーズハイ

09. Morning Light

10. 拝啓、親愛なる君へ

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