首振りDollsのジョニーダイアモンド(Gu)が“こんなロックバンドやりたかった!”と絶賛したTHE BOHEMIANS。2月9日に念願の対バン開催し(with 爆弾ジョニー)、互いの仲を深めつつも、若手ロックンロールバンドとしては、シーンを盛り上げるべき良きライバルとして、今の時代に存在し合う彼ら。マンスリーインタビュー第12弾では、THE BOHEMIANSの平田ぱんだ(Vo)とビートりょう(Gu)をゲストに迎え、ロックン・ロールシーンのルーツとバンドへの想いと今後の展開について、“酒呑みトーク”で、まったりと語り合ってもらった。
■俺らがやっても 首振りDollsみたいにはなんない
――今回はTHE BOHEMIANSの平田ぱんだ(Vo)とビートりょう(Gu)をゲストにお迎えしてお届けしていきたいと思います!
平田ぱんだ:インタビューというより、ご飯を食べに来ました!
ビートりょう:今から、一緒に焼肉を食べます!
ナオ:食べますっ!
――インタビューですから!
一同:はい。
――では。早速始めましょうか。THE BOHEMIANSと首振りDollsの関係性は? 面識はあるだよね?
平田ぱんだ:うん。昔、小倉でDroogと対バンしたときに遊びに来てくれたときに会ってるのと、その後、小倉で対バンしたことあったよね。だから、今日で会うの3回目。
ナオ:おー覚えてくれたとは! 感激です!
ビートりょう:小倉は地元なんだよね?
ナオ:そうです! 地元です。あ、焦げちゃう。誰か食べて(お皿に配る)。
平田ぱんだ:あ、そんなにお世話焼いてくれる人なんだね、ナオくん。
ビートりょう:良い子に育ってるね〜。そのときどんな話したっけ?
平田ぱんだ:なんかね、すごくマニアックな60年代のガレージバンドの話してた。そういうバンドを見つけて、YouTubeで見漁ってるって。そういう話が出来る人が居ないから探してるんですよ! って言ってた。
ナオ:言ってたかも(笑)! でも、すごく正直なことを言うと、THE BOHEMIANSに会えたことの方が衝撃だったから、何話したか覚えてないです(笑)!
ビートりょう:あははは。正直(笑)。
平田ぱんだ:いや、確実にマニアックな話してたよ。俺、全然分からなかったもん。
――音楽オタクのぱんだが分からないって相当だね。
平田ぱんだ:なんてバンドの話してたかなぁ? 俺もそこまでは覚えてないけど。聞いたこともない国の、聞いたこともないガレージバンドの話してたよ。“このバンド知ってますか?”って、一生懸命にYouTube見せてくれたもん。
ナオ:あははは。その頃、ロックなのかブルースなのか分からないようなバンドにもすごく興味があったんですよね。でも、多分、ぱんださんに見せてたのは、きっと、スイスのMONSTERSだったんじゃないかな? すごくハマってたんです!
平田ぱんだ:あー、なんかそんな感じだった! とにかくこの気持ちを共有したいって言ってた。
ビートりょう:あははは。でも、共有出来なかったんだね(笑)。メンバーとはそういう会話しないの?
ナオ:そこまで深い音楽の話はしないかな。移動の車の中でそれぞれが運転するとき自分の好きな曲を流すから、そのときに、“カッコいいね! これ誰?”って話したりはするけど。それぞれマニアックに好きなものはちょっとずつ違っていたりするので。THE BOHEMIANSは熱く語り合うんですか?
平田ぱんだ:なんとなく好きなものが重なってるって感じだから、そこまで熱くは語り合わないかな〜。
ビートりょう:そうだね。俺が音楽を好きになったきっかけはスピッツだったし。そっからThe BeatleやThe Rolling Stonesにハマりまくったって感じだったけどね。
ナオ:そうなんですね! THE BOHEMIANSの音楽って、ロックン・ロールのカッコイイところを全部凝縮したサウンドだなって思うんです。絶妙なロックン・ロールサウンドだなって。そこがすごく羨ましいなって思っていて。俺がルーツとしている音楽を聴いて来た人たちがTHE BOHEMIANSの音楽を聴いたら、絶対に胸が高鳴るだろうなって。ギターリフ聴いただけで、“あーもぉカッコイイ! 好き!”ってなる音楽。THE BOHEMIANS、羨ましいんです。
――ジョニーも言ってたね。“THE BOHEMIANSが出て来たとき、こういうバンドやりたかった!”って思ったって。
ナオ:言ってた言ってた! “やられた〜!”って思ったって!
ビートりょう:上手いこと言ってくれるねぇ〜。嬉しいねぇ〜。ジョニーくん居ないけど、飲んで食べてくれ! 今日は俺の奢りだ!
平田ぱんだ:あ〜、気分良くなっちゃったよ(笑)。でも、ジョニーって、イカツイ子でしょ? ジョニーくんがTHE BOHEMIANS好きって、なんか意外(笑)! 好きならもうちょっと分かりやすい雰囲気でいてくれないと!
ビートりょう:分かりやすい雰囲気ってどんなだよ!
ナオ:あははは。ジョニーめちゃくちゃTHE BOHEMIANS好きですよ! 移動の車の中でもTHE BOHEMIANS聴いてますもん!
平田ぱんだ・ビートりょう:そうなの!?
ナオ:はい! “羨ましい”って言ってます!
ビートりょう:いやいやいや、羨ましいって言うけどね、俺は首振りDollsみたいにぶっといリフで、デカイ音で、曲を作ってる人が羨ましいんだよ。それって誰にでも出来ることじゃないから。俺らがやっても首振りDollsみたいにはなんないからね。すごく羨ましく思うよ。だって、ぶっといリフで、デカイ音で作った曲をそのままライヴでやるのが、一番カッコイイんだから。
ナオ:おぉぉぉぉ。感動です、そんなこと言ってもらったら。
ビートりょう:そういう曲ばっかりじゃないと思うけど、基本それが出来るロックバンドは、本当にカッコイイと思う。
ナオ:いやいやいや、りょうさんのギターは本物のロックン・ロールのギターだと思いますよ。THE BOHEMIANSの音は、りょうさんのギターだからこそのロックン・ロールだと思いますからね。
平田ぱんだ:まぁたしかにその通りだよね、そこは。ビートりょうのギターがあってこそTHE BOHEMIANSだと思うからね。俺はこの人が居なかったら、今はないから。
ビートりょう:でも、それを言ったら、首振りDollsもジョニーくんのギターあってこそのロックン・ロールだと思うよ。
ナオ:ありがとうございます!
平田ぱんだ:でも、ナオくんもすごいよね。ドラム叩きながら歌ってんだもん。でもね、ドラムとボーカルは使う脳が一緒らしいよ。昔、志磨さん(ドレスコーズの志磨遼平)が言ってた。
ビートりょう:ほぉ。そう言われてみたらドラマーからボーカルになった人っていっぱいいるもんね! イギー・ポップもそうだし、BUCK-TICKの櫻井さん(櫻井敦司)とGLAYのTERUさんもそうだし。なんか納得いくなぁ〜。
平田ぱんだ:うんうん。でも、俺には絶対に出来ないけどね。この前、お遊びバンドでちょっとドラムやったけど、すげぇ大変だったもん。無理だわぁ。絶対。ホント、よく出来るなぁって思う。
ナオ:いやいやいや。まぁたしかにすごく疲れますけどね(笑)。
平田ぱんだ:いやでもすごいわ、ホント。
ナオ:いやいやいや。すごいといえば、ぱんださんのブログ読むのも好きなんです! すごく音楽のこと掘り下げて詳しく書いてくれてて面白いし、文脈もすごいし、途中で“風呂入ってくる”って居なくなっちゃったと思うと、戻って来て続き書いてたりするし(笑)。サン・レコードのコンピレーションアルバムを聴きながらブログ書いてますっていう回のとき、途中でお風呂に入りに行ってたんです、ぱんださん(笑)! たまにどっか行っちゃう(笑)。
平田ぱんだ:おっ! 本当に読んでくれているね! いい奴だな、君は。
ナオ:読んでますよ! 本当に好きですもん、ぱんださんの文章! さっき頂いた『ロックンロールの話』も、すぐに読み終わっちゃうと思います!(平田ぱんだ『ロックンロールの話』単行本発売中 発行:株式会社CHINTAI 編集:Rock is/DONUT)
平田ぱんだ:ありがとう! 続きもまだまだ書いてるから読んで!
ナオ:読みます読みます! あ、食べて下さいね。焦げちゃうから、ちょっと焼いて焦げる前にここのお皿に上げておくので、食べるとき、ちょっと炙って食べて下さい(お皿に焼いたお肉を取るナオ)。
平田ぱんだ:なんなの、ナオくん。君はすごい優しいね。さっきからすごく取ってくれるし、いっぱいお酒注いでくれるし。めちゃめちゃ優しいじゃないの。なんなの? ねぇねぇ、ナオくんはどうしてそんな子に育っちゃったの? どうしたらそんな子に育つの?
ナオ:え? そんな子?
平田ぱんだ:うん。すごく良い子じゃない。だって、タバコも俺が吸わないから、ここで吸わないんでしょ? 吸っていいよ。
ナオ:いえ、大丈夫です!
平田ぱんだ:吸いなよ〜。
ナオ:大丈夫です大丈夫です!
平田ぱんだ:吸いたまえ! 今すぐ、ここで! さぁ!
ビートりょう:吸いたまえとか言わないし(笑)! 人にそんなこと言ってるの聞いたことないし(笑)!
ナオ:あははは。ありがとうございます、気にして頂いて! そのうち吸わせてもらいますね。お気遣いありがとうございます!
平田ぱんだ:でも、本当は怖い奴だったりしないの?
ナオ:しないですよ〜(笑)!
平田ぱんだ:本当? どっちなんだろう? って、さっきから探ってんの。
■バンドがやれてたらそれで良かった
――探ってたの(笑)?
平田ぱんだ:そうそう。探ってたの(笑)。どっちかなぁ〜って。本当はすごく怖い人なのかもしれない……と思って。
ナオ:いやいやいや、ただのお酒好きです(笑)。なんでも言える後輩と思って頂けたら!
平田ぱんだ:本当? “俺、先輩で〜す”って感じでいいの?
ビートりょう:なんだよ、“俺、先輩で〜す”って(笑)。
ナオ:あははは。そっちの方が断然いいです!
平田ぱんだ:じゃあそうしようかな。
ナオ:お肉、焼けましたよ。これくらい焼けが美味しそう。
ビートりょう:あ、なんかちょっといい肉だから、レアでいってみよかな。いってみて!
平田ぱんだ:うん(食べる)。
ナオ:あ、まだちょっと早かったんじゃないか、、、な。
ビートりょう:どう?
平田ぱんだ:…………………。冷たい…………。
一同:(爆笑)
ビートりょう:(食べる)。あ………。冷たい(笑)。
ナオ:やっぱり………(笑)。よく焼きましょうね(焼く)。
平田ぱんだ:優しいねぇ、本当に。でも、本当は怖かったらどうしよう……。
ビートりょう:まだ言ってる(笑)。
平田ぱんだ:だって、小倉でしょ? 怖いイメージしかないもん。小倉(笑)。昔ライヴで行ったとき、風俗街が近い道を歩いてたらキャッチのお兄さんに“安いよ〜”って言われて。何も言わずに通り過ぎようとしたら、すごく至近距離まで来られて“お前に言ってんだよ!”って小声でどすられたの。めっちゃ心臓バクバクだったんだけど、何事もなかったように通り過ぎて。やっぱ小倉こわ〜〜! ってなったから、その印象が強くて。だから、なんでこんなに良い子に育っちゃったのか不思議で。
ナオ:あははは。そのキャッチの人はちょっと酷いですね。そういうときは、“〇〇ちゃんおる?”って、適当な名前言うんですよ。そしたら、“あ〜、居ないですね。けど、〇〇ちゃんなら居ますよ!”って言ってくるから、“あ〜、じゃあいいや。ありがと〜”って返すと良いですよ。
ビートりょう:なるほど! ひと絡みしたら良いのね!
平田ぱんだ:怖くてそんな余裕はなかったぞ。
ナオ:ですよね(笑)。ぱんださんが絡まれちゃったキャッチの人はちょっと悪質だと思いますけど、私はそういうのが当たり前な街にずっと身を置いていたからか、それが普通になっちゃって。そういう人たちと上手くやれる術が無意識のうちに身についちゃったんだと思います(笑)。
ビートりょう:なるほどねぇ〜(納得)。
平田ぱんだ:なるほどねぇ〜(納得)。ナオくんたちはもう今は東京に居るの?
ナオ:はい。事務所に住み着いてる感じです(笑)。
平田ぱんだ:え、そうなの? じゃあ悪いこと出来ないじゃん!
ビートりょう:悪いことってなんだよ!
ナオ:あははは。悪いことしてないですね。悪いこと出来ないから、ひたすら事務所でオナニーしてます(笑)。
平田ぱんだ:事務所でオナニー!? いいね、ナオくん! 最高だ! 君は本当にいい奴だな! 最高に楽しい話になってきたぞ(笑)!
ナオ:いやいやいや(笑)。それ以上の話は無いですけどね(笑)。
ビートりょう:いや、充分衝撃的だったからいいよ(笑)。
ナオ:ぱんださんとりょうさんは、上京して何年ですか?
平田ぱんだ:12、3年?
ビートりょう:それくらいになるね。出てきたの2007年くらいだったもんね。
――メジャーデビューしたのが2011年くらいだったよね?
平田ぱんだ:そうそう。その前から東京には居た。けど、2011年までくらいは、日々の生活に追われてて、ほとんどバンドやれてなかったから。
ビートりょう:普通に仕事してるメンバーも居たからね。
――バンドをやる上でやはり上京は必須だったってことでしょ? でも、生活費を稼ぐためにバンドよりも働く方が優先になっていたってこと?
平田ぱんだ:売れたくてとか、本気でバンドやるために上京したって感じではないから。働く方が優先だった。
ビートりょう:平田くんは東京に就職が決まってたからいいけど、俺に至ってはそんなのもなかったし、本当に上京する意味なかったからね。ただ一緒に東京に来いって言われて引っ張ってこられて。本間ドミノに“とりあえず家探そう!”って言われて無理矢理。
平田ぱんだ:一時期本間ドミノに食べさせてもらってたもんね(笑)。
ビートりょう:そうそう。
――え? そうだったの? THE BOHEMIANSとして、プロとしてやっていくための上京じゃなかったととしたら、どうして上京したの?
平田ぱんだ:うん。そんなこと考えたことなかった。バンドがやれてたらそれで良かったから。
――本当に音楽が好きなんだね。
平田ぱんだ:そう。そもそも、ワンマンもやったことないようなバンドだったから、音楽でプロとして食べて行こうとか、そんなこと考えも出来なかったというか。でも、バンドはやっていたかったから。だから、それにはビートりょうが必要だったんで、無理矢理連れて来て。バンドで売れたいって思うようになったのは、本当に最近。ここ2、3年くらいのことだから。
ビートりょう:それはどうやねん! って感じだけど(笑)。でも、本当にそう。THE BOHEMIANSっていうバンドでみんなとつるんではいたけど、ただそれだけだったからね。本当にロックン・ロールが好きで一緒にやってた。それだけだったから、プロなんて考えたこともなかったし。当時、地元に彼女が居たから、上京なんか本当にしたくなかったし。
平田ぱんだ:そうそう。上京して距離が出来て、どんどん不仲になっていって、どんどん機嫌悪くて大変だった(笑)。2007年の話。
ビートりょう:笑いごとじゃないから! 結局上京したことで別れちゃいましたからね! 平田くんは東京で就職するからいいけど、俺はただ趣味でバンドやるためだけに上京するって、仕事もないからね! 更には、“りょうくんには就職なんかして欲しくない”とか言いだすし、オマケに彼女とも別れることになって、てか、こんな話、酒飲みトークじゃないと話さないし(笑)!
平田ぱんだ:いいねいいね〜! 最高じゃないか! ナオくん、タバコ吸いたまえ!
ナオ:あははは。ずっと気にして下さってたんですね! ありがとうございます! ぱんださん優しい!
ビートりょう:たしかに優しいところはあるが、2007年の上京の話に至っては、全く優しさなんてのはなかったね(笑)。
平田ぱんだ:まぁまぁまぁ、いいじゃないか。飲もうじゃないか!
ナオ:あははは(大爆笑)
ビートりょう:本当にもう。
平田ぱんだ:この男(ビートりょう)は本当になかなか東京に染まらない。
ビートりょう:東京、怖かったからね。
――怖かった? どうして?
ビートりょう:人が、何を考えてるか分からないところが本当に怖かった。今もね。そこはそう思う。
――でも、大好きな音楽のいろんなものが手に入るメリットもあったんじゃない? そこは嬉しかったのでは?
ビートりょう:ううん。そんなのもなかったな。
――でも、りょうはよくそんな状態で上京を踏み切ったね。
ビートりょう:連れてこられたって感じだったから。本当に。本間くんが一緒に家探してくれて。青春18切符で出て来たなぁ。当時、毛皮のマリーズとの対バンが決まってたのもあったから、それはちょっとキッカケになったかな、自分の中では。
ナオ:でも、どうしてもりょうさんを手放したくなかったメンバーさんの気持ちは分かります。やっぱり他に居ないもん、THE BOHEMIANSのギターは。
ビートりょう:いやいや、もっと上手い人で、もっとバランス取れる人は居たと思うからね。THE BOHEMIANSは俺がギターじゃなかったら売れてたんじゃないかなって思うときがある。
ナオ:何をおっしゃる! りょうさんじゃなかったらTHE BOHEMIANSじゃないですよ!
平田ぱんだ:そうそう。ビートりょうが居なかったら、そもそもTHE BOHEMIANSは無いからね。俺はビートりょうと出逢ったことでTHE BOHEMIANSを始めちゃったんだから。目の前にこんなカッコイイギターを弾く奴が居たから、やるしかなかった。
ビートりょう:あぁ、まぁそこはそうか。まぁ、平田ぱんだには俺しか居ないだろうな。俺にはもっと居ると思うけど(笑)。
平田ぱんだ:(ボソッと)あ、ちょっと分かる、それ(笑)。
ナオ:あははは。すごくいい関係!
■自分が憧れてるバンドって、 やっぱり売れてる
――前に、りょうが辞めたいって言い出したことがあるって言ってたよね?
平田ぱんだ:そう。突然。2013年に全体メールに、ビートりょうから“俺、バンド辞める”って連絡があって。メジャーじゃなくなったあたりだったかな。幕張でラジオ収録があったときに、必死で止めて。忘れもしない。ちょうどこの辺り。幕張だった(この日、3人は渋谷すばるの幕張メッセライヴにお邪魔していました)。
ナオ:(りょうにビールを注ぐ)
ビートりょう:もう大丈夫だよ、明日俺、弾き語りあるし(笑)。ありがとうね、ナオくん。
平田ぱんだ:もう大丈夫でしょ?
ビートりょう:大丈夫じゃないんだよ。
平田ぱんだ:え? 現在進行形!?
――過去形にしないと心配になるよ。
ビートりょう:大丈夫じゃないんだよ。
平田ぱんだ:大丈夫じゃないの!? そうなんだ……………。
――どういうこと? 大丈夫じゃないって。
平田ぱんだ:(ボソッと)心配………。
ビートりょう:え? なんの話!? ん? あ、大丈夫じゃないのは、ビールのことね(笑)!
平田ぱんだ:あ、ビールもう要らないって話ね! 良かった〜。ビックリした。辞める話がまだ大丈夫じゃないのかと思った!
ナオ:私も! びっくりした!
ビートりょう:あぁ、そういうことね(笑)。違うよ、そこは過去形。もう大丈夫。でも、辞めるって言ったときは、もう俺要らないんだなって思ったんだよね。本当に。あのときはそう思った。
ナオ:なんでーー! なんでそんなこと思うの!? やめて! これ、私の声でもあるけど、ファンの声です。
――何かあったの?
平田ぱんだ:分かんない。
ビートりょう:バンドとして何かがあった訳ではなかったけど、きっとすばるくんならそのときの俺の気持ち分かってくれるんじゃないかな。
ナオ:ボーカルであるぱんださんはもちろんですけど、りょうさん、バンドの中で異常な輝きを放ってますよ!
ビートりょう:うん。それは知ってる(笑)。
ナオ:他のメンバーさんもそれぞれすごく個性が引き立っててカッコイイのがTHE BOHEMIANSですけど、ぱんださんとりょうさんは二枚看板だなって。
平田ぱんだ:良かった〜。こっち(自分)も褒めて!
一同:(爆笑)
――そうね。ヒロト・マーシー(甲本ヒロトと真島昌利)よね。
ビートりょう:自分でもそうでなくちゃいけないっていう想いもあるんだよね。でも、そう言わなくちゃならない気持ちになったというか。
平田ぱんだ:最初に辞めたいって言った2013年から、何回もあったの?
ビートりょう:ううん。ないよ。一回だけ。
平田ぱんだ:良かった〜。さっき、大丈夫じゃないって言ったとき、まさに今もそうなのかと思ってびっくりした。
ビートりょう:あははは。それはないそれはない。嫌だよ。まだちゃんとギャラ貰ってないんだから、辞めれる訳がない(笑)!
――あははは。また生々しいことを(笑)。でも、とりあえず安心した。ぱんだは、ここ2、3年で売れたいっていう思考になったのは、どういう気持ちの変化からだったの?
平田ぱんだ:めちゃくちゃ売れたことがないから。そこを体感してみたいなって。俺が今やってるのはロックン・ロールごっこだからね。めちゃくちゃ売れた景色を見てみたい。今日見たすばるくんのライヴくらい人が入っていたら、きっと、俺はそこで本当のスイッチが入ると思うから。俺、ライヴをするときはいつも、とにかくお客さんのことを考えていて。1人でもつまんなそうにしてると、その人が楽しむまでとことんやってやろうと思うのね。売れて、あれだけの大人数の人たち全員を自分たちの音で楽しませてみたい。今、THE BOHEMIANSをやっていて、手にしていないことは、そこだけだから。あとは本当に全部ある。やりたいことは、全部THE BOHEMIANSでやれているから。THE BOHEMIANSやってて楽しいから。やれているだけでしあわせだから。自分が憧れてるバンドって、やっぱり売れているバンドで。The Rolling Stonesだって売れてるからカッコイイんだし。売れたい。売れなきゃカッコ悪いって思ってる。
ナオ:すごく共感できます。でも、一つだけ、俺は売れてないバンドもカッコイイと思うバンドは居るから、必ずしも売れてなくちゃカッコ良くないとは思わないかな。矛盾してるかもしれないけど、自分は売れたいですけどね。
ビートりょう:俺も、売れてる売れてないにかかわらず、俺は、自分が好きと思える音を出してるバンドをカッコイイと思うから、ナオくんと同じ考えではあるんだけど、今、平田くんが言った“売れてるからカッコイイ”っていうのは一理あって、そこは共感するんだよね。今、平田くんは、自分への戒めとしてそう言ってるところもあると思うからね。
平田ぱんだ:さすがビートりょう。分かってる。売れてないバンドだってカッコイイバンドはたくさんある。それは分かってる。でもね、売れてるからこそ成り立ってるバンドってあるんだよね。The Rolling Stonesだって売れてるからロックスターなんだよ。
ビートりょう:本当にそうだね。うん。ホントホント。人は、そこに憧れるんだから。それに、ロックン・ロールって、自分にしか分からない、“俺だけのもの!”っていう感覚もあるからとことんのめり込めるんだと思うしね。
平田ぱんだ:そう。その“俺だけのもの!”っていう奴らが、今日のすばるくんのライヴくらい集まったら、めちゃめちゃ最高のロックン・ロールSHOWが出来ると思うんだよね! おー、お前ら、本当に分かってんの!? 分かってんの!? ロックン・ロールのこと分かってんの!? すげぇじゃん! 最高じゃん! って。
――そうだね。“自分への戒め”かぁ。本当にそうだね。ぱんだの言っている言葉の意味はすごく分かるよ。それを理解してるりょうもさすがだね。
ナオ:(真剣に聞き入って)なるほど。自分はまだ知らない領域というか。でも、すごく分かる気がします。
■本当に憧れられる位置で ロックン・ロールをやってみたい
――THE BOHEMIANSの『憧れられたい』っていうアルバムがあるけど、まさにそういうところだよね。
平田ぱんだ:本当に憧れられる位置でロックン・ロールをやってみたい。本当にそれだけは体感したい。まだ見ぬ自分も見れると思うから。でもね、あと2年かな。バンドは絶対に辞めないけど、売れたいって思うのは、あと2年かなって。15周年でデカイ花火を上げられなかったら、俺は売れる売れないはもう一切言わない。それはメンバーには伝えたけどね。でも、バンドは辞めない。絶対に辞めない。
ビートりょう:そこも平田くんの決意表明だね。平田くんは結構律儀だから、“男として”っていうケジメみたいなのはあるんですよね。THE BOHEMIANSにはリーダーは居ないけど、やっぱりそうやって考えていないようですごくちゃんと考えているところは、やっぱりすごいなって思うし。やっぱり平田くんがリーダーだなって思う。本当にしっかりしてるし、本当に頼りになる。ついてって大丈夫だなって思えるから。
平田ぱんだ:ならば、ダーリーと言ってくれ。
ナオ:ダーリーなの!?
ビートりょう:ダーリーでいいならダーリーって言うよ(笑)。
ナオ:どうぞ! ダーリーさん! 飲んで下さい!
平田ぱんだ:ダーリーに注ぐのダーリーな〜、なんつって(笑)。
ビートりょう・ナオ:わぁ〜…………。
ナオ:でも、すごく分かった気がします。売れることの意味。でも、THE BOHEMIANSはすごいと思います。九州に居た俺たちが、対バンする前から知ってたし。
平田ぱんだ:ん〜。でも、売れるってもっと広い世界のことを言う訳で。メジャーでやってた頃は、“ロックン・ロールアイドル”って言って大人の人達が考えたキャッチフレーズで売り出していたけど、それはそれで、上手いこと考えるなぁって思ってた。それで実 際にお客さんも増えたしね。ワンマン出来ることが当たり前になったし。それはすごいことだったと思う。
――“ロックン・ロールアイドル”時代も、自分達の芯は曲げていないんだもんね。
平田ぱんだ:そう。
ビートりょう:自分達の真っ直ぐな想いをぶつけられてたら良いよね。
ナオ:本当にそうですね。バンドの無い人生なんて、もはや考えられないですからね。ずっと死ぬまで辞めないと思う。生き方自体が分からなくなりそうだから。バンドを辞めない生き方こそがカッコイイ生き方だと思うから。やり続けること。それが一番だと思う。やり続けたらそれが一番カッコイイ生き方だと思う。それで売れてたら、最高にカッコイイと思う。
平田ぱんだ:本当にそう。バンド辞めちゃったら、どうやって生きたらいいか分からなくなるだろなと。
――それだけ人生=バンドなんだね、みんな。
ビートりょう:常に重ねてしまうからね、自分達と。今日もすばるくんのライヴを観ながら、きっと平田くんもこれだけの人を集めてライヴが出来たら、本当にすごいスイッチが入るんだろうなって思ったんだよね。そういう人だから。すばるくんのライヴは、自分の部屋にみんなを呼んで唄を聴かせるような、そんな感じだったけど、それって本当にすごいなって思った。俺たちにはあれは出来ないから。
平田ぱんだ:うん。あれはすごいと思った。
ナオ:照明もすごくシンプルでしたもんね。
――すばるはすごくエンタテイメントなステージで魅せる世界に居たから、すごくシンプルに自分の唄と曲だけで魅せたかったんだよね。ナオは逆にエンタテイメントなステージでロックン・ロールを魅せたいんでしょ?
ナオ:ロックン・ロールSHOWを魅せたい。ド派手に。とにかくド派手に。KISSみたいなライヴがしたい。
平田ぱんだ:そうだね。お金があったら、火も水も全部使いたいよね! ライヴではとにかくお客さんを楽しませることしか考えて居ないから、お客さんの顔色を伺ってしまうからね、本当に。
――ぱんだは、“俺を見て!”っていうタイプに見えるけど、そうでもないのね、そこ。
ビートりょう:そう思われがちだけど、意外とね、こんな感じ(笑)。
平田ぱんだ:本来はステージの上に上がるような性格の人間じゃないし、ボーカルなんてやる器じゃないから。とにかく引っ込み思案。
――常に寂しがりや(笑)。
平田ぱんだ:そう。常に弱虫。でも、お客さんが多ければ多いほどスイッチが入るというか、究極のライヴやっちゃう自信ある。
ビートりょう:平田くんは間違いなくそういうタイプだね。フレディ・マーキュリータイプだと思う。しかし、今日、すばるくん、ギターリッケンバッカー使ってたんだよなぁ。すごい良かった。これはすごく持論なんだけど、リッケンバッカーって、童貞を意味すると思っているんですよ。リッケンバッカーを使っていい音出せるのって本当に数少ないプレイヤーだと思っていて。The Whoのピート・タウンゼントとか、The Jamのポール・ウェラーとか、銀杏BOYZの峯田和伸さん。童貞の叫びを表す音を出すギターだと思っているんですよ。だから、すばるくんがソロになってリッケンバッカーのギターを持ったっていうのが、すごくしっくりきたし、すごくいい音で鳴ってたんです。無意識でリッケンバッカーを選んでいたとしたら、すごいなって思ったんですよね。本当に。ここからのスタートにあのギターを選んでいたのはすごくしっくりきてた。カッコ良かった。今あげた人の他にもリッケンバッカーを使っている人はいるけど、あくまでも、これは俺の持論ね。
ナオ:うわぁ〜。なんでここにジョニーが居ないかなぁ〜。すごく食い付く話だと思う! アイツも童貞にこだわってるから、ギターリストから童貞っていう言葉を聞くのが大好きなんですよ!
ビートりょう:すごく分かる、その気持ち! めちゃくちゃ話が合いまくると思う! ロックン・ロール童貞ね。
ナオ:ありますよね! ロックン・ロール童貞! めっちゃ分かる!
――The Beatlesもリッケンバッカーじゃない?
ビートりょう:そう。これがね、また細かい話になっていくんですよ。ジョージ・ハリスンは童貞な感じがするけど、ジョン・レノンはいくら坊ちゃんっぽくしても童貞の感じがしない。さっき上げた人達(ピート・タウンゼント、ポール・ウェラー、峯田和伸)は、ちゃんと童貞な感じがするんだよね。
平田ぱんだ:ロックン・ロール童貞話に火が付いたぞ(笑)。
ビートりょう:リッケンバッカーって2種類あって、すばるくんの使ってた方は中が空洞のタイプなんですよ。さっき上げた人達は、ちゃんと空洞のリッケンバッカーを使ってる。すばるくんもちゃんと空洞のリッケンバッカーを使ってたから。さすがだなと。俺は常にリッケンバッカーはそういう目線で見てるから、どういう音で鳴ってるかっていうとこには厳しいんですよ! ザ・クロマニヨンズのマーシーさんもリッケンバッカー使ってますからね。
――すごくいい話だね。ロックン・ロールを元気にして下さいよ、ぱんだ。
平田ぱんだ:それは一番俺が願ってますよ(笑)!
ビートりょう:Beastie Boysのキャップ被ってる時点でやる気が足らないわ(笑)。
平田ぱんだ:いや、そんなことはない! Beastie Boysはロックなんだよ!
ナオ:私、Beastie Boysがハードコアだった時代は知らないんですよね。
平田ぱんだ:Beastie Boysはヒップホップ界では、ロックな匂いがするからか、あまり認められていないところもあるらしいからね。ヒップホップ界は厳しいからね。
ナオ:私が激推している音楽番組があって、中学生の頃、その番組でBeastie Boysがすごくプッシュされていて、そこでBeastie Boysを知ったんです。
ビートりょう:カッコイイけどねBeastie Boys。でも、本当にロックン・ロールを元気にしたいよね。2月9日の対バンライヴをきっかけに一緒にやれたらいいね。この先も。
平田ぱんだ:いいね! 小倉でまたやりたいね!
ナオ:THE BOHEMIANSの地元にも行きたいです!
平田ぱんだ:山形人居ないけどね〜(笑)。
ビートりょう:これまで、敢えてワンマンしないようにしてきて、最近解禁したから、結構人が集まってくれてるから、また一緒にやれたらいいね。小倉でもやりたいなぁ。小倉、ファズ感があるから好きなんだよね〜! なんか言い方悪いけど、ちょっと悪い響き方してるっていうか。
ナオ:あははは。いいですね、その例え! 小倉の人達、その例え、嫌いじゃないと思います(笑)。私もその例え嬉しいし! 同じ福岡なのに、博多とはちょっと違いますからね(笑)。北九州も昔は100万都市だったのに、人口流出率半端ないみたいですからね。博多は逆に増加してるみたいなんですけどね。
ビートりょう:そうなんだ。なんか北九州って青森のちょっと危険な感じにも似てるから、北九州と青森で2マンやるのもいいかもね!
ナオ:青森も山形も未開の地なので、行ってみたいです! THE BOHEMIANと一緒なら心強いし!
ビートりょう:ジョニーくんともショーンくんともゆっくり話してみたいしね。
ナオ:是非! めちゃくちゃ2人とも人見知りですけどね(笑)。
平田ぱんだ:一緒だ。
ビートりょう:本当に、声小さい選手権やったら、俺たち相当上位だと思うからね(笑)。
ナオ:なんか、それでいてステージですごく豹変するって、カッコイイと思います!
平田ぱんだ:俺は頑張ってるの。豹変するといえば、ナオくんもでしょ。
ナオ:あははは。かもしれないですね。私は人見知りではないですけど、楽屋でヘラヘラしてるけど、ステージに立つと急に“オラ〜ッ!”って言っちゃいますからね(笑)。でも、もう自分でもどっちが本当の自分が分かんない。
平田ぱんだ:いいねいいね〜。そういうのいいと思う。でも、本当は怖い人だったりするんじゃないの?
ナオ:そんなことないですって(笑)!
ビートりょう:あははは。まだ疑ってる(笑)。
ナオ:りょうさんは? 豹変タイプ?
平田ぱんだ:ビートりょうはね、照れてる(笑)。“付いて来いよ!”って言うとき、たまに照れながら言う。そこがまたいい(笑)。切り替えるタイプではないね。
ビートりょう:そうだね。俺は切り替えるタイプではないね。勝新太郎タイプ。
――例えが分かりにくいから(笑)。
ビートりょう:常にそのままってこと。普段からそれで居たいって感じかな。常にロックン・ロールで居たい。
――自分たちが憧れたロックスターにはなれてるの?
平田ぱんだ:やっぱりそこはさっき話したみたいに、売れたい。憧れられるロックスターになりたいからね。絶対にやりたくないことは、売れるために曲は作りたくはないかな。
ナオ:そうですね。そこは同じくです。例えば、CMとか主題歌とか何かの為に曲を作るのは、そことは違いますからね。自分達のやりたいことは貫いていたいですね。ずっと。そこは絶対かな。
ビートりょう:そうだね。楽しみにしてるよ、対バン。初めて聴いたときから「鏡地獄」とかすごく好きだったし。あれカッコイイ。
ナオ:お〜、ありがとうございます! 今、ちょうどその時代の再販アルバムのツアーやってるんです! 一緒に対バンさせてもらったときとはベースがメンバーチェンジしていて違うし、全然新しいバンドになったっていうくらいバンドの音も変化してるし進化しているので、また一緒に出来るの本当に楽しみにしています!
ビートりょう:お、いいねぇ。聴きたい。
ナオ:またこれをキッカケに、一緒にツアーとか回ってくれますか?
平田ぱんだ:誘って。いつでも。あんまり誘われないバンドだから(笑)。
ビートりょう:あははは。そうだね(笑)。
ナオ:本当ですか!? 嬉しいです!
平田ぱんだ:対バン前に話せて良かった。気心知れない対バンだと緊張するし気を遣っちゃうから、なんかどうもねって感じで(笑)。こういう場があって良かった。
ビートりょう:酒飲みトークって、最高だったよね。
平田ぱんだ:ただ焼き肉食べて喋ってただけだけど、いいのかな、本当にこれで(笑)。
ナオ:結構深い話ししてもらっちゃいましたよ!
ビートりょう:酒飲みトークならではのトークだったかもね(笑)。
平田ぱんだ:仲良くなれて良かった。あとは、本当に怖い人じゃないことを願うばかりだ。
ナオ:怖くないですって(笑)!
――さぁ〜、どうかなぁ〜(笑)。
ビートりょう:実はめちゃくちゃ怖かったり…………。
平田ぱんだ:えっ……………。
ビートりょう:あははは。とにかく盛り上げていきたいね。
平田ぱんだ:最高の時間を共に作りたいし。まずは最高の夜を作ろう!
ナオ:はい! ありがとうございます! よろしくお願いします!
取材・文:武市尚子
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