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Ghost like girlfriend、頼れるバンドとオーディエンスと共にこの上ない美しい景色を創り上げた初の自主企画『Anemone』

岡林のソロプロジェクト、Ghost like girlfriendによる初の自主企画『Anemone』が12月18日に渋谷WWW Xで行われた。この日はワンマン。単独公演としては実に半年ぶりであった。

アクション、言葉や表情から察するに、岡林健勝は各楽曲で広がる光景を事前にしっかりと頭に想い描いて臨んだのではないだろうか? それらが随所で成就し昇華される度に、ひとりじゃない実感を得て、時に想像以上の光景を彼に寄与したことだろう。その場に立ち合った我々にも、ここまで一緒に来たご褒美のような至福の時間を共有させてくれた。

本公演ではバンドメンバーを一新。土器大洋(Gu/MO MOMA)、コレナガリョウスケ(Ba/ex.雨のパレード)、高橋尚吾(Dr)がステージに現れ、演奏準備を始める。センターにラップトップ、上手から内側に向いた高橋、土器、コレナガといったフォーメーション。準備が整うと、特に登場SEに移ることなく、「Last Haze」のイントロが同期スタイルで会場に流れ出す。そんな中、メガネにニット姿の岡林が登場し、神秘性を帯びた歌声を乗せていく。2コーラス目からはバンドサウンドもジョイン。同時にライブが走り出していった。

シューゲイズにドライブ感の混じったサウンドの上、美しさを擁した同曲が《ラストヘイズ 見てみたい、してみたい事だらけさ 明日死んでも良いなんて全て叶うまで無しにしようぜ》と力強く誓う。続く「sands」に入ると会場に躍動感が育まれ、揺れるフロアーを岡林が煽る。「Midnight Rendez-Vous」では岡林の歌声の七変化と歌謡性も楽しめ、後半部では場内が白熱度を上げていく様を観た。

“暑い。(ライヴの衣装として)ニットは向いてない(笑)」と岡林。“会いたかったぜEverybody! 前回ワンマンから既に半年経っているけど、体感的には3年ぐらい経ったみたいだ”と続ける。

ここからは高橋もMPCにコンバート。打ち込みとリアルタイムで叩いたパッドからなるクラップやビートが現れる曲が続いた。岡林のファルセットも印象的であった「Tonight」が独特の刹那を広げていけき、ダンサブルながらどこか終わっていく予感を擁した「Under the umbrella」が会場に切なさを寄与していく。また土器がカオシレーターで奏でたリズムも特徴的であった「煙と唾」では、全身を使ってビートに乗る岡林のメロウなラップも味わえ、まるで深海から海面に上がるような開放感に満ちた「burgundy blood」でより感情を歌に乗せる姿を目の当たりにした。

岡林は“今日から早くも来年がスタートすると宣言したものの、この勢いだとまだまだ今年が終わる気がしない”とこぼし、ここからは座ってしっとりと聴かせる楽曲を披露。“こんな場に似合うんじゃないかと作った曲”と紹介しムーディーに贈られた「you’re my mirror」、“もう変わらなくていい”というフレーズが印象的な「あれから動けない」と、歌声の深みをより感じることができた。

“あとはここに置くだけ置いていくから”と宣言した後半戦。ライブならではの躍動感と激化が楽しめ、この日最も速いBPMであったにも関わらず、しっかりとその伸びやかな歌声を広げていった「raining like hell」で挙がる無数のコブシも力強い。

冒頭の通り、岡林はこの日を頭で思い浮かべ、楽しみにしていた分、時には自分が想い描いていた場面とやや違い、それに満足できなかったシーンもあったのだろう。リプレイされ、みんなの大合唱が楽曲を成立させた「髪の花」はまさにその類い。アコギの同期が清涼感を呼び込み、フロアーのシンガロングとともにこの日最大の一体感を味わうことが出来た。

“完璧にできなくなってきた”と岡林は笑っていたが、これぞライヴの醍醐味。それは歌った本人が良く分かっていたはずだ。“このような一体感が欲しかった”と嬉しそうに話すと、“ライブをやり始めた頃よりは随分とみんなとの距離も縮まった。これからもっともっと縮めていきたい”と今後への意欲を明確にし、“ここで満足なんてしてられない。もっともっと面白くしていきたい。来年も…いや、できれば末長くよろしくお願いします”と告げて本編ラストの「feel in loud」に入る。まずはアコギと歌で感情をたっぷり込め、2コーラス目からはバンドも加わり、“寂しい”と歌いながらも“肩を寄せ合えばひとりじゃない”という空気に包まれていったのが印象深い。温もりを取り戻すように長いアウトロと共に客電が全開となり、場内にバイタリティがみなぎっていくのを感じた。

アンコールでは新曲「光線」を初披露。手を差し伸べるような歌詞と、“まだ見せたいものある”という印象深いフレーズを含め、現在の彼の気持ちが代弁されているように思えた。同曲を体感しながら、彼がよりぐっと近付いた気がしたのは私だけではなかっただろう。歌い終えると満足そうな表情で“来年もよろしくお願いします。美しいです”と残し、ステージから去った。この日の彼はつい口から漏れてしまったかのように“美しい…”と何度も会場に告げていたが、それは想像を凌駕する光景が広がっていたからに違いない。

また、1月15日に新曲「光線」を配信リリースし、それを携えて3月に愛知・ell.SIZE、大阪・Music Club JANUS、東京・東京キネマ倶楽部を回るツアー「Ghost like girlfriend presents『Anemone Vol.2』」が開催されることも発表。この日にグッと近付いたオーディエンスとの距離感は、今後より近付くどころか、遂には同化してしまうのではないだろうか…。そんな嬉しい予感と、そこに居合わせる自分を想像し、嬉々とした気持ちで帰路についた。

【セットリスト】

1.Last Haze

2.sands

3.Midnight Rendez-Vous

4.Tonight

5.Under the umbrella

6.煙と唾

7.burgundy blood

8.you’re my mirror

9.あれから動けない

10.girlfriend

11.fallin’

12.pink

13.(want) like (lover)

14.raining like hell

15.髪の花

16.feel in loud

<ENCORE>

光線

【ライブ情報】

『Ghost like girlfriend presents 「Anemone Vol.2」』

3月08日(日) 愛知・名古屋 ell.SIZE ※ワンマン

3月11日(水) 大阪・club JANUS(ゲスト有)

3月13日(金) 東京・東京キネマ倶楽部(ゲスト有)

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