デンマーク出身で欧米を席捲するアグネス・オベルと、美しく儚げな世界観が魅力の角銅真実という、2人の女性シンガー・ソングライターのメディア関係者向けショーケースが、11月26日(火)に渋谷のTRUNK (HOTEL)にて開催された。
アグネス・オベルは、2010年発表のデビュー・アルバムがデンマークのアルバム・チャートで7週連続1位を獲得するなどヨーロッパ各国で大ヒット。同作は数々の賞を受賞し、欧米で確固たる地位を確立した。2018年にクラシックの名門レーベル、ドイツ・グラモフォンと契約。作詞作曲/編曲/演奏/プロデュース/録音/ミックスを自身で行うスタイルで、その独自の世界観を持つ作品と透き通る歌声が絶賛されている。
一方の角銅真実は、東京藝術大学の打楽器専攻を卒業後、現在はソロ活動に加えて、ceroのサポートや石若駿SONGBOOK PROJECTなどで活躍中。今年の夏にはフジロックフェスティバルに自身の名義で初出演を果たした。その類まれなソングライティング能力と歌声を活かし、来年1月に自身初となる“うた”にフォーカスしたアルバム『oar』をリリースすることが発表されたばかりだ。
最初に登場したのは、角銅真実。1曲目の「Lark」でチェロのピチカートに合わせて、ゆったりと歌い出すと、優しいウィスパーボイスが会場内を温かく包みこんだ。披露したのは1曲を除き新作『oar』収録曲であったが、この日のベース~チェロ~ギター&アコーディオンという編成に合わせた特別アレンジで、アンサンブルの芳醇な響きとともに、その歌声の魅力をアピールした。
演奏後のトークでは、今回“うた”にフォーカスしたアルバムを制作した経緯について、「打楽器奏者としての活動のなかで“うた”に関わることが増えて、その面白さに気づいた。“うた”は作る自由だけでなく、受け取る自由があるのが面白い」と説明した。また、新作制作中にアグネス・オベルの音楽を聴いていたという角銅は、「聴いていると、いろいろな情景が浮かぶ。クラシックをはじめ様々なバックグラウンドが自由に行き来している音楽性にも刺激を受ける」とアグネスの魅力を語った。
その角銅の言葉を受け、アグネス・オベルが登場。チェロ~ヴィオラ~パーカッションに、キーボード&ヴォーカルのアグネスという全員女性メンバーで固められた4人編成で、冒頭から全員が見事なコーラスワークを披露し来場者を惹きつけた。アグネスにとってこの日のステージが記念すべき日本初パフォーマンス。来年2月発売予定の新作『マイオピア』収録曲をひと足早く演奏したが、北欧らしい澄み切ったナンバーだけではなく、時にドラマチックなアンサンブルも聴かせ、場内は静かな熱気に包まれた。
演奏後のトークでは、自身の作品づくりのこだわりについて、「楽曲が持つ内容をプロダクションの過程によって描く、ということを念頭に置いている」と語った。また、“了見が狭い”という意味のタイトルを関した新作『マイオピア』のテーマについて、「人は往々にして自分の考えにとらわれて、そこから逃れられなくなることがあるが、それには良いケースもある、ということを表現したかった」と説明した。
新時代のアンビエント・フォークとも形容できそうなアグネスと角銅の音楽は、2020年注目のシーンのひとつとなりそうだ。
photo by Ryota Mori
【セットリスト】
■角銅真実
1. Lark
2. November 21
3. 6月の窓
4. December 13
5. めをこらそ (未発表曲)
6. Lullaby
■アグネス・オベル
1. カメラズ・ローリング
2. ブロークン・スリープ
3. アイランド・オブ・ドゥーム
4. キャント・ビー
5. リバーサイド
6. ファミリア
7. パーラメント・オブ・オウルズ
8. トロージャン・ホーシズ
9. ウォント・ユー・コール・ミー
アルバム『マイオピア』/アグネス・オベル
2020年2月21日発売
UCCH-1058/¥2,860 (tax in)
<収録曲>
1. カメラズ・ローリング
2. ブロークン・スリープ
3. アイランド・オブ・ドゥーム
4. ロシアン
5. マイオピア
6. ドロセラ
7. キャント・ビー
8. パーラメント・オブ・オウルズ
9. プロミス・キーパー
10. ウォント・ユー・コール・ミー
アルバム『oar』/角銅真実
2020年1月22日発売
角銅真実『oar』(読み方:オール)
2020年1月22日発売
UCCJ-2176/¥3,300 (tax in)
<収録曲>
1. December 13
2. Lullaby
3. Lark
4. November 21
5. 寄り道
6. わたしの金曜日
7. Slice of Time
8. October 25
9. 6月の窓
10. January 4
11. いかれたBaby
12. Lantana
13. いつも通り過ぎていく
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