このコーナーでは、普段のインタビューで語られないグッズ制作やアートワークなど、アーティストがこだわりを持って取り組んだものづくりの現場を調査! 第2回はTHEラブ人間の結成10周年記念グッズ“シルエットスウェット”の打ち合わせへ。順調に話が進んでいくと思いきや、意外な展開に…?
今回はTHEラブ人間が11月のサーキットツアー『下北沢にて’19×THEラブ人間ベストアルバム「PAST MASTERS」リリースツアー』で発売する“シルエットスウェット”をご紹介!
今年で結成10周年を迎えたTHEラブ人間は、10月2日発売のベストアルバム『PAST MASTERS』のジャケ写に歴代のメンバーを集めた写真を使用しており、今回のスウェットはその写真を型取ったデザインに。打ち合わせは新代田にあるオープンスペース『YACHT(ヨット)』で行なわれ、スタッフとともに金田康平(歌手)、ツネ・モリサワ(キーボード)、富田貴之(ドラム)が参加した。
この日は入稿したデザインを当て込んでイメージをチェック。ボディはミントカラーで古着っぽい淡い色合いがポイントとのこと。プリントの色はホワイトとブラウンの2種類に決まり、すんなり話がまとまったかと思ったが、ツネの“Netflixのドラマ『ストレンジャー・シングス』にはまってるんだよね”のひと言から一転。同ドラマのロゴをオマージュしたTシャツを提案するツネに“今流行ってるものに乗っかるのってどうなの?”と金田が指摘し、その後も“自分用に1枚作ったら?”“缶バッジのほうがいいのでは?”などの意見が飛び交う。もうこれはボツになってしまうかと思った矢先、ずっと黙っていた富田も実は『ストレンジャー・シングス』にはまっていることが判明。しかも、YACHTにオフィシャルのトレカがあったことで話はどんどん盛り上がっていき、“気持ちは分かったから、ツネ考案って書くならいいよ”と渋っていた金田からもオーケーが! 最終的に“LOVE THINGS Tシャツ”と名付けられたこのアイテムはLサイズのみで11枚限定販売に決定したわけだが、同ドラマが好きな方ならその理由が分かるはず。
ちなみに、この日の打ち合わせにも参加し、ボディやアイテムの提案をするなど、いつもTHEラブ人間のグッズをサポートしているのが、YACHTのタウンゼント 桃子 ドーンさん。彼らのグッズでシリーズ化している刺繍Tシャツも桃子さんと一緒に作るようになってからできたもの。打ち合わせの時には最近の流行の話やアドバイスをしてくれたり、YACHTにはガーメントプリンターと刺繍機があるので今回のような思い付きにもすぐに対応してくれたりと、桃子さんのおかげでグッズのバリエーションも広がっているようだ。
そんなTHEラブ人間のグッズだが、楽曲をモチーフにしたものも多い。「クリームソーダ」の歌詞を切り取った“首ったけROLLING THUNDER Tシャツ”や「麦茶、冷えてるよ」をモチーフにしたステッカーなどがあり、“楽曲からはいろいろな案が出てくる”というのがその理由で、ちゃんとトレンドを気に掛けつつ、必ず“まず自分たちが欲しいかどうか”を大切にしているそうだ。普段も着やすいシンプルなデザインが多いため、初めてライヴに来たお客さんでも手に取りやすいのも特筆すべきところだろう。
これから今後どんなグッズを作ってみたいかも尋ねたところ、レコードバッグやターンテーブルのスリップマットなどが出る中、“これからの物販は食べもの”とツネが予想。以前はレトルトカレーを作る案もあったそうだが、果たしてその流行は来るか否か…。
取材:千々和香苗
THEラブ人間
ザ・ラブニンゲン: 2009年に結成されたラブソングのみを歌う音楽集団。下北沢を中心に活動し、10年からは街全体を巻き込んだ決起集会『下北沢にて』を開催している。結成10周年を迎えた19年10月に初のベストアルバム『PAST MASTERS』をリリース。
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