7人の声優によるヴォーカルユニットKleissis。初のコンセプトアルバム『eschatology/a grand conception “ARCALAST“』が9月25日にリリースされる。アルバムのことはもちろん、デビュー1周年を迎えたこれまでの活動の中で印象的な出来事を振り返りつつ、2年目への意気込みを語ってもらった。このインタビューは前編、後編と2グループに分けて行なわれたもので、まずは前編として、山田麻莉奈、山根 綺、元吉有希子、金子有希の4人の想いを紐解いた。
■絶妙な“歪み”みたいなものが 引き込まれる要素になっている
──9月25日、初のアルバム『eschatology/a grand conception “ARCALAST”』が遂にリリースされましたね。
山根
「去年の7月からKleissisの活動が始まって、それからの1年はあっという間でした。自分がどういう活動をしてきたのかをちゃんと実感する間もなく駆け抜けてきた感じでしたが、アルバムが出来るぐらいの曲を作ってきて、たくさんライブもやってきたんだなって改めて感じています。だから、7月20日の1周年記念単独ライブもですけど、このアルバムのリリースもこれまでの活動を実感させてくれるビッグイベントですね。」
山田
「私も1年間でこんなに曲が出来たことに改めて驚いています。歌が得意というわけではないんですけど、最初にレコーディングした「Kleissis Chaos」と最近録った「Into the Abyss」や「囚われのChiral」を聴き比べると、自分の声というか、歌い方が変わっていることに気づきました。そういう1年間の成長を感じてもらえるようなアルバムになったんじゃないかなって思います。」
金子
「シングルCDや配信のリリース、ライブなどで1年間かけて9曲も発表することができて、それが1枚のアルバムになって。しかも初めて撮った「Into the Abyss」のMVや「囚われのChiral」のライブ映像が特典で付いているということで、贅沢なことをさせてもらっているなって思います。応援してくれているみんなと一緒に2年目も盛り上げていきたい気持ちがあるので、ぜひこのアルバムを聴いて、今後のライブでも一緒に盛り上がってくれたらうれしいです。」
──元吉さんはKleissisの公式サイト内で『Program Note』というコーナーを担当して楽曲解説をされていますが、曲の解説をするにあたって、改めてKleissisの楽曲と向き合って感じた世界観や共通点などを教えてください。
元吉
「基本的にKleissisの楽曲は、ストレートにかっこいいサウンドと幻想的な歌詞の組み合わせが大きな特徴だと思うんです。その絶妙な“歪み”みたいなものが聴いている人のどこかに引っかかって、それが引き込まれる要素になっているんじゃないかなと楽曲解説をしていて感じました。曲が増えてきて、最初の頃の楽曲とは違ったタイプの曲も生まれてきて、新しい魅力も見つかったりしていて、そういうことも書かせていただいているので興味を持った方はぜひ読んでいただきたいです。」
──独特の世界観を持つKleissisの楽曲を言葉で説明するのは難しいのですが、元吉さんの解説はわかりやすくて“そうそう”と納得する部分がたくさんありました。
元吉
「そう言っていただけるとうれしいです。私自身、解説を書かせていただくにあたって、歌やダンスなどのパフォーマンスをして向き合うものとは違う角度からアプローチしないと文字に起こすことはできなかったので、改めて曲と向き合う良いきっかけになりました。」
──先ほど山田さんが言っていましたが、レコーディングされた時期が曲ごとに違うので、それぞれの歌にも変化や成長が感じられるのではないかと。
山根
「私は1stシングルの「Kleissis Chaos」が人生で初めてのレコーディングでした。どういうふうに歌っていいのか全くわからない状態でスタートしたので、1年間、ボーカルの先生にレッスンをしていただいたり、レコーディングの経験を重ねていったりするにつれて、“ここの歌詞はこう捉えているから、こういうふうに歌いたい”とか、いい意味で、どんどん欲が出てきました。今も先生と相談しながらですけど、“この部分は自分の体験を重ねて歌いたい”とか、自分なりに解釈して臨めるようになったことが一番変わったところだと思います。」
金子
「私はレコーディング自体初めてではないんですが、最初はこのユニットの方向性や『アルカ・ラスト』(群像劇RPGスマホゲーム『アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実』/フジゲース)の物語の内容をまだ知らなかったので、どう歌ったらいいのか悩みました。レコーディングを重ねるうちに、7人が同じ方向を向けるようになってきた気がしますし、最近のレコーディングでは、いつも一人ずつ歌入れをするんですけど、自然とみんなの気持ちが揃っているのを感じています。」
──山田さんは以前グループでの活動をされていたので、レコーディングの経験はあったと思いますが。
山田
「はい。でも全然やり方が違っていました。前は大勢のグループということもあって、仮歌と歌詞をいただいて、自分の歌うパートだけレコーディングするという感じでした。でも、Kleissisは「Kleissis Chaos」をはじめ、最初の頃のシングルではソロバージョンのリリースもありましたし、1曲通してレコーディングするスタイルだったので、コーラスやハモリにも初めて挑戦できてすごく新鮮でしたね。」
──ソロバージョンは7人それぞれの歌声の個性や違いがわかって、同じ曲でも声が違うと全然別の作品になるんだなって感じました。
山田
「レコーディングはすごく緊張しました。他の6人が上手いので、刺激を受けています。プレッシャーではないんですけど、前向きに“頑張らなきゃ!”って気持ちでした。」
元吉
「全員そうだと思うんですけど、私も最初のレコーディングの頃と比べて歌い方が全然違っていて、レコーディングは毎回チャレンジです。“こういう歌い方ができるかな?”“前回は歌えなかったこういうところをクリアできるかな?”って挑戦しながら9曲歌ってきた感じです。ディレクターさんも“まだできる!”って期待してくださっていて、どんどん新しいことに挑戦させてくれるので、私自身、毎回新しい発見がありますし、1曲1曲思い入れが深いです。」
──みなさん、曲それぞれに思い入れがあるとは思いますが、あえてお気に入りの曲を選ぶなら?
元吉
「私は「Into the Abyss」です。単純にうまく歌えたなって(笑)。」
金子
「もっちゃん(元吉)、“「Into the Abyss」から変わった”みたいなこと言ってたよね。」
元吉
「うん。1曲目から挑戦し続けて、自分の中で“うまく歌えた”“ここから変わった”と思えたのがこの曲だったんです。」
山根
「私は何かな〜。ライブで一番テンションが上がるのは「囚われのChiral」ですね。これまでの曲の中で一番振り付けが難しい曲なんです。Kleissisはヴォーカルユニットですけど、ライブなどのパフォーマンスを考えるとダンスもすごく大事な要素だと思うんです。私は踊ることがすごく好きで、「囚われのChiral」の振り付けが自分の中でしっくりきていて、ライブで踊っていてもすごく楽しいです。」
山田
「私も「囚われのChiral」です! 以前のインタビューで好きな曲に「贖いのアリア」を選んだんですけど、もちろん今も変わらず好きですが、私もダンスがすごく好きなので「囚われのChiral」や「逆さまの世界にて」みたいなダンスが特徴的な曲にも惹かれます。」
金子
「私は前回「逆さまの世界にて」と答えたんですけど、今は大人気の「囚われのChiral」です(笑)。「逆さまの世界にて」もそうなんですけど、主観的な歌詞の曲が好きで、歌っていても感情移入しやすいんですよね。」
■全力で入り込みすぎて 細かい記憶がなくて、 これが“夢中になる” ってことなのかって。
──ゲーム『アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実』がリリースされて(取材時)1カ月ぐらい経ちましたが、進んでますか?
山根
「はい。ストーリーもキャラクターも豊富で、やり込み要素が盛りだくさんあってハマっています(笑)。」
元吉
「普段、あまりゲームはやらないんですけど、私の凝り性魂が刺激されて、こんなにハマったゲームはないんじゃないかってくらいハマってます。」
山田
「私はまだあまり進んでなくて…。」
金子
「まりり(山田)は“おすすめ編成”でやってるタイプでしょう?」
山田
「え、なんでわかるんですか? おすすめでやってます。」
金子
「(笑)おすすすめもいいけど、自分で考えた編成の方が進みやすい場合もあるよ。みんな結構レベル上げてるから教えてもらった方がいいかもね。」
山田
「はい。」
金子
「私もまだまだわからないことが多いんですけど、“この編成がいいんじゃない?”とか、みんなと相談しながら協力し合ってレベル上げをしています。」
──そのゲームのリリース直前、7月20日にはKleissisの1周年記念単独ライブが原宿クエストホールで行われました。1部・2部との2公演で行いましたが、振り返ってみてどんなライブでしたか?
元吉
「今ある曲を全部歌わせてもらって、朗読劇とか新しい試みもあって、全員の全力を出し切ったライブでしたね。それぞれが頑張って準備をしたり、そのライブに対して強い思いを抱いていたり、みんなの気持ちをピークに持ってきたからこそ出来たライブだったのかなって思います。」
──山根さんは最後、感極まって。
山根
「大号泣しました(笑)。ライブが終わって、寝て起きて、次の朝しばらくボーッとしてたんですけど、ステージで大号泣したことしか覚えていませんでした。全力で入り込みすぎて細かい記憶がなくて、これが“夢中になる”ってことなのかって。」
──楽しい時間はあっという間、と言いますけど、それを越えて記憶にないぐらいに。
山根
「はい(笑)。夢って、楽しい夢を見ても、楽しかったという感覚は残っていてもどんな内容か覚えてなかったりするじゃないですか。人生で初めての経験です。燃え尽きました。それまでのライブだったら、終わった後に“ここがダメだったな”“あそこはこうするべきだったな”とかいろいろ考えることが多いんですけど、あの日はただただ楽しくて夢中でした。歌やダンスの先生にも“よかったよ”って褒めていただいたので、常にこのレベルのライブができるように頑張りたいです。」
──オープニングの朗読劇はゲーム『アルカ・ラスト』でのKleissisの役割や葛藤などが描かれていて、ゲーム発売前でしたがその世界観を知ることができました。
山田
「ああいう朗読も初めてだったので緊張しましたけど、『アルカ・ラスト』のキャラクターとか世界観とかを見せることができて良かったです。このライブ全編を映像作品にしてほしいなって思うんです。今だったら、みなさんがゲームをしているのでこの朗読劇の内容をもっとわかってくれてるんじゃないかなって。第2部の方は、朗読劇から歌に繋がっていて、その後も歌の前にセリフがあったりして『アルカ・ラスト』の世界により近いものになっていたので入り込みやすかったですね。でも、やり足らなかったです。もっとやりたかった!(笑)」
金子
「ずっと“楽しかった!”って言ってたもんね。こんなに楽しんでるまりりを初めて見た(笑)。」
山田
「普段はあまりテンションに高低差がないんですけど、“あんなに元気な山田ちゃん、初めて見たよ”っていろんな人に言われました(笑)。」
金子
「7月20日のライブは初挑戦のことが多くて、それが楽しかったし、ライブをみんなで作る上で事前に話し合いもたくさんしました。それも結成当初はできなかったことで、今だからこそ、それぞれがやりたいことを意見として言えて、それをお客さんに見てもらえたんだと思います。」
──まさに1年間の活動の集大成的なライブだったと思いますが、それまでの1年の活動の中で印象的な出来事は?
山田
「本当に全部なんですけど、特に印象に残っているのは最初のレコーディングです。先ほども少しお話しさせていただきましたけど、それまでと全然やり方が違っていて、Kleissisに入って改めてちゃんと歌と向き合えました。ボイトレの先生と1対1で話し合ったりして、自分で“ここの歌詞はこういう気持ちで歌う”とか考えられるようになりましたね。」
山根
「私は4月に恵比寿ガーデンルームで行った『エイコーさん』(フジテレビ)の公開収録の時のライブです。2019年に入ってから初めてのライブで、久しぶりにKleissisとしてメンバーが集まって、客席には去年のイベントに来てくれていたファンの方もたくさんいて“待っててくれたんだ!”って。初めての方もたくさんいて、それもうれしかったです。」
金子
「思い返すとどれも印象に残っているんですけど、最初のリリースイベントですね。去年の8月22日に1stシングルの「Kleissis Chaos」をリリースして、9月は毎週土日にリリースイベントがあって、1カ月間駆け抜けました(笑)。スケジュールの都合で全員揃わない日もあったりして、歌うパートが変わったり、結構大変だった記憶があるんですけど、それができたから今は何でもできる気がするんです。怒涛の1カ月でしたね。」
元吉
「私もリリイベなんですけど、池袋サンシャインシティの噴水広場です。そこでのイベントを観に行ったこともありますし、自分たちがそこで歌えることが本当にうれしかったんです。「Kleissis Chaos」の時だけじゃなく、2ndシングル「Another Sky Resonance」の時にも噴水広場でリリイベができて。節目節目でそこのステージに立てているので思い入れの深い場所のひとつです。」
──今回のアルバムでも、9月29日にサンシャインシティ噴水広場でのリリースイベントが決まっていますね。
元吉
「はい。噴水広場は上の階からも観ていただけますし、「Kleissis Chaos」の時よりも「Another Sky Resonance」の時の方がお客さんが増えていたのを覚えているので、今回もより多くの方に見ていただけたらうれしいなと思いますし、すごく楽しみにしています。」
撮影:石原汰一/取材:田中隆信
アルバム『eschatology/a grand conception “ARCALAST”』
2019年9月25日
project Kleissis
FG-1
¥3,889(税抜)
【イベント情報】
『リリースイベント&ポストカードお渡し会』
9月29日(日) 東京・池袋サンシャインシティ噴水広場
10月05日(土) 東京・HMVららぽーと豊洲
10月06日(日) 東京・HMVエソラ池袋
『アニ玉祭2019』
10月14日(月・祝) 埼玉・大宮ソニックシティ
◎イベント詳細
https://anitamasai.jp/
Kleissis
クレイ・シス:群像劇RPGスマホゲーム『アルカ・ラスト 終わる世界と歌姫の果実』の世界観から誕生した声優ヴォーカルユニット。メンバーは、田中有紀、富田美憂、山田麻莉奈、髙橋麻里、山根綺、元吉有希子、金子有希の7人からなる。
ユニット名である “Kleissis”は、ギリシャ語の「Kleisis」(召命する)と、「 Kleis (鍵)+ Sister 」で「 鍵を握る修道女(巫女) 」とのダブルミーニング。さらに、古代ギリシャ語の「 Kleio(祝福の女神)」という意味も込められている。
【関連リンク】
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