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まねきケチャ、デビュー4周年記念公演でバンドセットを披露

5人組アイドルグループ、まねきケチャが8月31日に舞浜アンフィシアターでグループの4周年を記念するワンマンライブを開催した。

2015年8月8日にライブデビューを果たし、今やアイドルシーンの一角で無二の存在感を発揮する彼女たち。1周年ライブは渋谷WWW、2周年ライブはO-EASTと渋谷のライブハウスで行ないながら、2018年9月に行なわれた3周年公演を武道館で敢行。大躍進を遂げた彼女たちだったが、その根底にはパフォーマーとしてのアイデンティティである生歌主義がある。幾度かのメンバーチェンジを経験し、決して平坦な道のりではなかったまねきケチャだが、その歩みの中でメンバーの生きた歌声がステージで途絶えることはなかった。

そんなまねきケチャが武道館に続く周年の舞台に選んだのは舞浜のアンフィシアター。半円形のステージと階段状の客席からなる劇場は、かつてシルク・ドゥ・ソレイユが専属で使用したもの。そのホールにまねきケチャはどんな“歌“を響かせるのか。満席となったシアターの灯りが暗転。オーバーチュアが鳴り響く中、舞台中央がせりあがって5人が搭乗。この公演のために用意された海賊風の新衣装をまとった彼女たちをオーディエンスはオーバーチュアをかき消す歓声で迎えた。

“アンフィシアター盛り上がっていくぞ!”と松下玲緒菜が始まりを宣言すると、オープニングの定番である「冗談じゃないね」でライブはスタート。ジェットスモークとレーザー、そして6名のバックダンサーをバックにパフォーマンスを披露。メンバーはステージの先端に立ってオーディエンスを煽り上げる。勢いをそのままにサマーチューン「SPLASH」へ。アウトロでメンバーが客席にタオルを投げ入れると8月最終日の会場は常夏を取り戻したかの熱気に包まれた。

5人は「カクカクシカジカ」「キミに届け」とアッパーチューンを畳みかけるよう連発したかと思うと、続いてゴシック調の「愛言葉」、台詞パートを巧みに取り入れた「告白のススメ」を披露。 疾走感のあるビートと思わずシンガロングしてしまうエモーショナルなメロディーという不動のスタイルに加え、まねきケチャが武器にするのが演劇的なパフォーマンス。 松下が“こんなこと言うの君だけなんだから”とツンデレを見せると、中川は“地の底まで一緒に堕ちてくれる?”と観客を誘惑。メンバーの個性が際立つパフォーマンスがオーディエンスをまねきケチャの世界で包んでいった。

怒涛のオープニングを経て、メンバーは水分補給を取りながらMCを挟むと思いきや、松下は間髪入れずに次の曲への進行を宣言。グループはファンの間でも人気の高い“妄想”タイトルの2曲「妄想桜」と「妄想日記」を続けると、さらに上昇感に溢れたサビが印象的な「奇跡」を歌い上げ、武道館を経たスケール感のあるステージングを展開していく。

ライブが中盤に差し掛かったところで松下が観客に着席を促すと、グループが舞浜公演にあたり“ある挑戦”に向き合ってきたことを告白。会場が静まり返る中、松下が“それはこちら!”と舞台袖に呼びかけるとステージ中央に現れたのはバンドセットだった。松下と篠原はギター、中川はキーボード、深瀬がベース、そして宮内がドラムと担当楽器を発表すると会場から喝采が。以前からドラムをイベントで披露してきた宮内、まったくの初心者でみずぶくれを作ってこの日に挑んだという深瀬。楽器との向き合い方はメンバーそれぞれながら、この日5人は全員が自分のパートを弾き語ることを告げて「タイムマシン」をプレイ。本職のミュージシャンのような技巧を備えた演奏ではないが、シンプルなアレンジのバンドサウンドだからこそ立ち上がったのが彼女たちの歌。武道館の本編のラストを飾った同曲が、この夜、メンバー自身の手によって新たなものへと奏で上げた。

バンドセットのまま5人は「どうでもいいや」を披露。シンプルな照明だけの演出の中、間奏では松下と中川がユニゾンでメロディーを紡ぐなど、丁寧に音を鳴らしていく。演奏を終えると深瀬は目に涙を浮かべて“出来た”と一言。新たなパフォーマンスへと挑み続ける彼女たちの姿を目の当たりに、オーディエンスからは満場の拍手が沸き起こった。

バンドセットを離れて5人がステージ前方に戻ると、メンバーは12月18日にニューアルバムをリリースすること、10月6日の東京公演から全国ツアーを開始することを告知し、衣装チェンジのために舞台袖へ。

その間に流された動画の中で新曲「あるわけないのその奥に」が『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディング曲となることがさらに発表されると、ステージに再登場したメンバーは妖怪をかたどった衣装に。そのまま新曲、そして2018年同じく『ゲゲゲの鬼太郎』のエンディングとなった「鏡の中から」を続けてパフォーマンス。オーディエンスも精いっぱいのフリコピでパフォーマンスに躍動を加えていくと、セットリストは「ありきたりな言葉で」に突入。感情のこみ上げるメロディで会場の感情を一気に高め、大サビでは松下と深瀬がボーカルバトルと呼ぶのが相応しい激しい掛け合いを披露。会場は再び激しいミックスが渦を巻いて天井を揺さぶった。

いよいよライブは終盤を迎えると5人は「相思い」「ハリネズミの唄」とバラードを続けてパフォーマンス。コンテンポラリーダンスを取り入れたバックダンサーの踊りや、雲の上に立っているような足元のスモークなど、幻想的な演出の中でマーティ・フリードマンからも“楽曲派“と称されたグループの歌を響かせた。

ライブのラストソングの前のMCでは4年前に初めてメンバー同士が出会った時、やっていけないと思ったことを中川、宮内、松下の3人の初期メンバーが告白。中川が松下を“絶対仲良くなれないタイプ”と感じたと振り返ると、松下はゴキブリを使って中川との距離を縮めたエピソードを披露し会場の笑いを誘った。

その後、メンバーは今の5人体制で新しいまねきケチャを目指すことをオーディエンスに告げ、曲名もラストを思わせる「あたしの残り全部あげる」へ。《あたしの残りぜんぶあげる/いろいろあった あたしでよければ/あなたの残りぜんぶちょうだい/キミにもいろいろあったのかしら》。グループの歩みを思わず重ねたくなる印象的な歌詞を、4年の時を超えて舞浜に辿り着いたまねきケチャはエモーショナルに歌い継ぎ、この日の本編を後にした。

メンバーが立ち去るとオーディエンスはサイリウムを灯してアンコール。照明の落ちた会場に星空のように灯りが点いた様子がスクリーンに映される中、暗転した会場に リーダー中川の声が突如響く。「モンスターとケチャ」。曲名をコールするやゴシック調のトラックが鳴り響き、会場にも再び大きな歓声が。まさにモンスターが憑依したかのパフォーマンスを披露し、これまで毎年100本以上のライブを行ってきたグループの底力を見せつける。曲を終えてメンバーがアンコールへの感謝を述べると、深瀬がさらに新曲“愛と狂気とカタルシス”を用意してきたことを発表。ピアノをバックにした抒情的なイントロからアップビートへと移り変わるまねきケチャの王道サウンドを踏襲する楽曲で、5年目のグループの目指す先を高らかに示してみせた。

そしてこの夜、舞台を締めくくりに選ばれたはグループの代表曲「きみわずらい」。エモーショナルなボーカルワークと心の奥底に響く言葉とメロディ――まねきケチャのアイデンティティである“生歌”の魅力をどこまでも引き出し、そして彼女たちの音楽性の形を決定づけた楽曲と共にこの夜のステージは幕を閉じた。この世界に“福”を招くために、人間界に降り立った見習い天使まねきケチャ。彼女たちの言う“福”とはきっとこの“歌”のことなのだろう。ビートとミックスが混然となった熱狂の後に、そんな感慨を残す渾身の2時間半を5人の見習いは演じ上げたのだった。

写真提供:コレットプロモーション

アルバム『タイトル未定』

2019年12月18日発売

【CD+DVD】

COZP-1601-2/¥3,545+税

【CD +写真集】

COCP-17696/¥3,545+税

【CD】

COCP-17697/¥2,818+税

まねきケチャ全国ツアー『まねきケチャワール』

10月06日(日) 東京・恵比寿ガーデンホール

10月13日(日) 愛知・NAGOYA ReNY limited

10月27日(日) 宮城・SENDAI darwin

11月24日(日) 北海道・札幌KRAPS HALL

12月15日(日) 大阪・STUDIO PARTITA

※福岡公演は後日発表

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