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一見ゾッとする平井 堅の演出やアニメタッチで恐怖を表現したKing Gnuなど残暑を吹き飛ばすホラーなMV

夏と言えばホラーの季節! 今回ピックアップした5本のMVは、背筋が凍るような恐怖感を味わえること間違いなし。まだまだ続く例年以上の夏の暑さにぴったりの作品を紹介していきます。ぜひチェックして残暑を吹っ飛ばしましょう!

■「知らないんでしょ?」/平井 堅

平井 堅が顔にモザイクが掛かった女性にひたすら後を付けられる演出が“怖い!”と話題を呼んだこのMV。ミステリアスな雰囲気を醸し出す平井の無気力な表情や、トボトボと彷徨う足取りが薄気味悪く、舞台は暗い山道なのにふたりの衣装が派手な色使いなのも印象的で、ついつい細かい違和感に気を取られてしまうが、女性の顔にモザイクが掛かっているのはタイトルにもある“(本当の私を)知らないんでしょ?”というメッセージにも受け取れる。人間関係の中で生まれる“掴めない”という感覚や、孤独感を表しているのかもしれない。

■「来ちゃった▽」/中村千尋

楽曲に合わせてMVも彼氏の家に“来ちゃった▽”と彼女が突然押しかけるというシチュエーション。中村千尋が演じる彼女の様子がなぜか貞子のような出で立ちだが、突然の訪問に挙動不審になる彼からすると、まるで何かを疑っているかのように抜き打ちで家に来られ、ホラー映画のようにゾッとする瞬間だったのだろう。同情してしまう部分もあるが、後半の彼氏目線のターンになると、ふたりのすれ違う想いが浮き彫りになっていく。ドアの隙間から彼氏の様子をギョロギョロと見つめたり、ペンチでチェーンを外したりと恐怖を覚えるシーンもあるけれど、実際は恋人同士にある身近な切ない物語なのかも?

※▽は白抜きハートになります

■「闇色の朝」/Maison book girl

“闇色の朝”というタイトルとは打って変わって、ポップで明るめな曲調。MVも鮮やかでかわいらしいイラストが描かれている。…と思っていたが、1:30を過ぎたところで一変。突然動画は止まり、そこから絵のタッチが変わりだす。前半の映像が繰り返されるが、イラストが歪み、首がなくなっていたり、歌詞の字幕が歌われているものと違ったりと不気味な印象に。アーティスト写同様に顔面にぽっかり穴を空けた少女が指を差してリスナーに訴え掛けるのは何なのか。《光が闇を造る。》と歌っているように、前半の少女たちの微笑みの奥には闇があるのかと思うと、より引き込まれる。

■「Prayer X」/King Gnu

アニメタッチならではの小刻みな揺れや背景色の濁りからして不安を煽られる。“強制された栄光”をテーマに描かれているのは、主人公の男が栄光を掴みつつも周囲の人に翻弄されて破滅していく姿。人の目を気にしながら作品を生み出す男の顔は歪んでいき、その男のピアノの演奏を耳がないのに信仰する謎の人々も気味が悪い。観ていて終始狂気を感じる映像かもしれないが、栄光を掴む人はこのような狂気や精神的に苦しいものと常に戦っているのだろう。衝撃的なラストを含め、作家の孤独と、四方八方に存在する敵や裏切りの怖さを思い知る。

■「Dororo」 /ASIAN KUNG-FU GENERATION

TVアニメ『どろろ』のOPテーマとして書き下ろされた楽曲で、MVもアニメを意識したホラーな仕上がり。終始、何なのか分からない生き物がずっと動き回っていて、ところどころで見える足や腕により気持ち悪さを感じるが、この謎の物体は実は薄い布の中に人がふたり入っているもの。暗闇の中で必死にあがく姿は何かを叫んでいるようにもとらえられ、光を求めてもがく歯がゆい感情も受け取れる。そう思っても気味が悪いのは変わらず、後藤正文(Vo&Gu)の姿がチラッと映るたびに、いつの間にかちょっとした安心感を持ってしまう。

TEXT:川添典子

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