「今、目撃するべき本物のライブを、体験」をコンセプトに日本テレビが立ち上げたライヴイベント『ROCK AX』。そのVol.2が4月18日と19日の2日間、TOKYO DOME CITY HALLで開催された。1日目のトップバッター、マカロニえんぴつから2日目のトリを飾ったGRANRODEOまで、全6組が40分のセットに魅力をぎゅっと凝縮した熱演を繰り広げた。
■<DAY1> 三者三様にポップソングを奏でる 新人とベテランの共演
今年、ブレイク必至と注目されている4人組マカロニえんぴつが1日目のトップに登場。“このキャパは初めてです。(主催者から)本物のライヴをと言われたので、本物のライヴをして帰りたいと思います”と、はっとり(Vo&Gu)が意気込みを語りながら、バンドは新旧の代表曲を披露した。
メンバーそれぞれに異なるバックグラウンドを持っていることが窺えるプレイを、爽やかさと切なさが入り混じるポップソングにまとめ上げているところは、自ら掲げている“全年齢対象ポップスロックバンド”という看板も、まさにと頷けるが、随所にビートルズの遺伝子が感じられるところが心憎い。
会場の大きさを考え、今年3月に配信リリースしたシングル「青春と一瞬」をはじめ、じっくりと聴かせる曲をいつもより多めに演奏したそうだが、 “ここをライヴハウスにしてもらえますか!?”と呼びかけた終盤は、「洗濯機と君とラヂオ」「ハートロッカー」というアップテンポのロックナンバーをたたみかけ、客席を沸かせたのだった。
ホーン隊を含むサポートメンバー5人を従えたヒゲダンことOfficial髭男dismを迎えたのは、観客の拍手喝采だった。その大きさが昨年4月にメジャーデビューしたことをきっかけに急上昇した4人組の人気を物語る。1曲目の「ノーダウト」でいきなりバルコニー席の観客も立ち上がらせたこの日、演奏したのは、バラードの「LADY」からハード・ロッキンな「FIRE GROUND」まで、躍動感溢れる多彩なポップソングの数々だ。
ファンキーな「ブラザーズ」では、ホーン隊が前に出てきて、メンバーとともにステージを行進。広いステージをめいっぱい使ったダイナミックなパフォーマンスを繰り広げた彼らは今年7月、メジャーデビューからわずか1年3ヶ月という早さで日本武道館ワンマン公演に挑む。
「Stand By You」で、藤原聡(Vo&Key)の“歌え!”という合図とともに♪オー、オー、オーという観客のシンガロングの声を会場中に響き渡らせると、メランコリックな曲調から一転、ラストは“明日から勇気を持って、がんばれるように”というメッセージを届けるように、インディーズ時代から歌い続けている「異端なスター」で締めくくった。
沖縄の5人組HYは、結成20年目を迎えたベテランらしいパフォーマンスと、“音楽に身を委ねて楽しみませんか?”と客席に語りかけてから、いきなり観客を踊らせた1曲目の「隆福丸」以下ベスト選曲と言えるセットリストで、トリにふさわしい大きな盛り上がりを作り上げた。「カチャーシーエヴリデイ」では、“僕の真似して、踊りましょう”と新里英之(Vo, Gu&三線)が軽快なロック・サウンドに乗せ、観客に振り付けを教えたり、仲宗根泉(Key&Vo)が思いを込め、ソウルフルに歌い上げた「AM11:00」「366日」といったバラードでも“歌って!”と観客にシンガロングを求めたりと、冒頭の言葉通り、観客を巻き込むパフォーマンスが、彼らの大きな魅力。
オールディーズな魅力もある新曲の「no rain no rainbow」もコール&レスポンスで盛り上げ、最後は観客をジャンプさせた。そこにいる全員を包み込み、大きな心で受け止めるようなパフォーマンスが心地良かった。そして、アンセミックなラストの「ホワイトビーチ」では、全員が掲げた両手を横に振りながらシンガロング。満面の笑みが無数に浮かんだ会場に大きな一体感が生まれたのだった。
【セットリスト】
■マカロニえんぴつ
1. 鳴らせ
2. girl my friend
3. レモンパイ
4. ブルーベリー・ナイツ
5. 青春と一瞬
6. two much pain
7. 洗濯機と君とラヂオ
8. ハートロッカー
9. ミスター・ブルースカイ
■Official髭男dism
1. ノーダウト
2. Tell Me Baby
3. バッドフォーミー
4 LADY
5. ブラザーズ
6 FIRE GROUND
7 Stand By You
8. 異端なスター
■HY
1. 隆福丸
2. カチャーシーエヴリデイ
3. AM11:00
4. 366日
5. no rain no rainbow
6. エール
7. ホワイトビーチ
■<DAY2> サイリウムが眩い光を放つ中、 異色の共演が実現
2日目のトップバッター、藍井エイルは1曲目の「IGNITE」からアニメのオープニングおよびエンディングに提供してきた代表曲の数々を演奏した。バンドを従え、伸びやかな歌声で熱唱する彼女に青い光を放つサイリウムを振りながら声援を送る観客の熱気が、会場の温度をぐぐっと上げる。その声援が40分のステージの間、止むことはなかった。
ロック・ナンバーをたたみかけ、飛ばした序盤から一転、中盤では2日前にリリースしたばかりの4thアルバム『FRAGMENT』から、“バンド(編成)では初披露”という「グローアップ」と「UNLIMITED」の2曲を披露。新しいアルバムの曲もしっかりと予習してきたのか、跳ねるリズムが新境地を思わせる前者、メランコリーが印象的な後者ともに観客の反応は上々だった。
そこから同期でピアノとストリングスを鳴らした「アイリス」と哀愁あふれる「ラピスラズリ」というバラードをじっくり聴かせると、最後はサビのダンサブルなリズムが印象的な「流星」で駆け抜けるように締めくくった。
藍井エイルとGRANRODEOの2組と共演することから、アウェイに違いないと覚悟してきただけに観客の歓迎がよほどうれしかったのか、“エモーショナルギターロックバンド”を掲げる4人組、BLUE ENCOUNTのステージは“自分たちの武道館ワンマンでもこんな歓声はなかったです!”という田邊駿一(Vo&Gu)の第一声から始まった。
アニメファンに彼らの存在を知らしめた1曲目の「Survivor」から演奏はヒートアップ。いつも通り前のめり気味に「LAST HERO」、新曲の「ハウリングダイバー」とたたみかけ、“俺たちにも光る棒(サイリウムのこと)ちょうだい。スマホでもいい!”と田邊が客席に求めながら、煽った「LIVER」からは、“跳べ!”“踊ろうぜ!”と観客を巻き込み、会場の熱を上げていった。
そんなハイエナジーなパフォーマンスを締めくくったのが、“この曲だけでいいから覚えて帰ってください”と演奏したバラードの「はじまり」というところがなんとも心憎かった。
そして、アニソン界の重鎮と謳われるGRANRODEOの演奏は、ブルージーなハードロック・ナンバー「Pierrot Dancin’」でスタート。“ROCK AX、盛り上がっていこうぜ!”というKISHOW(Vo)の雄叫びに観客が赤く光るサイリウムを振りながら声を上げ、応える。“新曲聴いて!”といきなり序盤で5月15日にリリースする8thアルバムのタイトルナンバー「FAB LOVE」を披露。そこから数々のアニメに提供してきたお馴染みの曲をたたみかけると、e-ZUKA(Gu)の超絶プレイをはじめ、ハードロッキンなバンドの演奏とKISHOWのシャウトにヘッドバンギング、シンガロングで応える観客の盛り上がりは、どんどんエスカレート。
そこからコール&レスポンスを交え、さらに盛り上げた「modern strange cowboy」では、観客のシンガロングが会場中に響き渡り、熱狂はピークに。その余韻が残る中、“あと1曲、新曲があるんです”とKISHOWが言い、5月8日にリリースする30枚目のシングル「セツナの愛」を披露。打ち込みのドラムとシンセの音色を使ったヘヴィなロック・ナンバーは、サビでテンポアップ、ダメ押しで観客を盛り上げ、「ROCK AX Vol.2」の大団円を見事、飾ったのだった。
尚、このライヴの模様は5月31日に日本テレビ系列で放送される予定だ。そして次回『ROCK AX Vol.3』は、「SUMMER SPECIAL」としてZepp Tokyoで開催される。7月8日のDAY1の出演者は未発表だが、9日のDAY2は、WANIMAのワンマン公演がアナウンスされている。
取材:山口智男
【セットリスト】
■藍井エイル
1.IGNITE
2.シューゲイザー
3.翼
4.グローアップ
5.UNLIMITED
6.アイリス
7.ラピスラズリ
8.流星
■BLUE ENCOUNT
1.Survivor
2.LAST HERO
3.ハウリングダイバー
4.LIVER
5.DAY×DAY
6.VS
7.はじまり
■GRANRODEO
1.Pierrot Dancin’
2.Black out
3.FAB LOVE
4.Can Do
5.日常ホライズン
6.ROSE HIP-BULLET
7.modern strange cowboy
8.セツナの愛
『ROCK AX Vol.3 SUMMER SPECIAL』
7月08日(月) Zepp Tokyo
18時開場/19時開演(予定)
出演:Coming soon!
7月09日(火) Zepp Tokyo
18時開場/19時開演(予定)
出演:WANIMA (ワンマン)
<チケット>
1Fスタンディング / 2F指定席 5,000円(税込)
ローチケプレリク先行:5月3日(金)10:00~5月12日(日)23:59
https://l-tike.com/rockax
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