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日本デビュー&活動費1億円を掛けたK-POPオーディションのグランプリはD-CRUNCH! 大歓声に包まれた一夜をレポート

K-POP新人アーティストを発掘し、支援するためのオーディションイベント『DREAM STAR AUDITION 2019 in JAPAN』が3月16日に舞浜アンフィシアターにて開催された。

このオーディションはアジアを中心にエンタテイメントプロジェクトを展開する“OLE-star”と、日本国内でK-POP関連を展開する“ダイヤモンドブログ”の共同主催で、一次審査には100組以上の応募があった中、最終審査に選ばれたのは8組。IN2IT、D-CRUNCH、AWEEK、IMFACT、LimeSoda、VANNER、Yeim、OH SEH WOONGと、この日に初めて来日したアーティストから、日本人のファンが多く駆け付けたグループまで、経歴もジャンルもさまざまだ。

グランプリを獲得した者には日本デビュー、TV冠番組の決定、活動費1億円の支援という大胆な特典が用意されており、会場には緊張感も漂っていた。審査員のポイントと観客からの投票も加点となるので、15分という限られた時間でどれだけ会場の反応を得られるのかも重要となる。

ゲストアーティストとして日本での人気も集める男性アイドルグループ、Apeaceの出演が決定しており、日本語で司会を務めるのはメンバーのキム・ウォンシクとチョン・ヨンウク。ふたりが改めてオーディションの説明をした後、トップバッターとして兵庫県宝塚市で生まれ育った韓国人歌手のYeimが呼び込まれた。

紹介VTRでは幼い頃にモーニング娘。に憧れて歌手を夢見たことが明かされ、ルーツに日本の文化があるからこそ、このオーディションにかける想いがひと一倍強いことが感じ取れる。親近感が沸く関西なまりのトークで観客を惹き付けながら、韓国で2018年にリリースした「先に言って」やデビュー曲「道の先」などを披露し、壮大なメロディーと切ない歌声を会場に響かせた。

グループでの参加が多い中、2組目のソロアーティストとして登場したOH SEH WOONGは、まず“こんにちは!”と挨拶して歓声を集める。日本では初のステージながら、どこかリラックスした表情で優しい歌声を披露し、憂鬱な気持ちを歌にした「あの夜」では観客が携帯電話のライトで会場を照らし、星空を作る一体感も。

2組のパフォーマンス終了後にはウォンシクとヨンウクからの質問コーナーへ。“緊張で眠れなかった”など、アーティストが本音を明かすトークで観客との距離感も近くなり、緊迫した会場の雰囲気も次第にほぐれていく。

日本人の観客が多いことから、LimeSodaはデビュー曲の「ZZZ」の他、E-Girlsの「Follow Me」やKARAの「Jumping」をカバー。人気曲をフックに視線を集めるとともに“憧れのアーティスト”と語って自らの路線も提示した。最後には名前が書かれたカードを持って写真撮影の時間を作るなど、この機会に“覚えてもらいたい”という意思を感じるステージだ。

そして、5人組グループのIMFACTが登場すると会場の熱気はマックスに! 応援に駆け付けたファンの歓声に包まれながら、スタイリッシュなダンスと力強いヴォーカルを響かせ、ブレイクダウンで激しく動き回ったり高速ラップを交えるなど、限られた時間をがっつり楽曲パフォーマンスに使ってシンプルに堂々とアピールした。

打って変わってAWEEKはポップな楽曲とかわいらしい振り付けで会場を和ませる。グループのピースフルな雰囲気にぴったりな嵐の「One Love」をカバーした際には、会場をしっかりと見渡して歌う姿が印象的。“楽しい!”“最高!”と、メンバーが思い思いに叫ぶ場面もあり、短いステージを存分に楽しんでいた。

ヘヴィなサウンドを交えながらアップテンポの楽曲と激しいダンスで勝負したのは5人組のアイドルグループ、VANNER。すでに日本で200回以上のライヴ経験があるだけに、パワフルな動きからも自信があふれ出ている。デビューアルバム『V』から「Better Do Better」を日本語バージョンで初披露するサプライズもあり、彼らが全力を尽くすだけでなく、ファンにとっても大満足な時間を提供した。

爆音のEDMを鳴らし9人で迫力満点のダンスを披露したD-CRUNCHは、華やかさだけでなく荒っぽさとミステリアスな雰囲気も併せ持つ。バラード曲ではしなやかなダンスと美しい高音ヴォイスを響かせ、会場がグッと引き込んだところでEXOの「Love Shot」などのカバーメドレーも披露。トークでは振り付けから作詞作曲までも自分たちで手掛けていることが明かされ、その鋭い眼差しの奥には自分たちの力を出し切る覚悟が刻まれていたのだと気付かされた。

ラストの1組はIN2IT。真っ白な衣装に身を包み、ひとりひとりのパートを際立たせるステージワークと軽やかなダンスで爽やかに楽曲を披露していく。MCでは“作詞できる人?”と訊かれてアイジェクがセクシーポーズを披露すると、“それは作詞じゃなくてセクシー!”とヨンテからツッコミが入る見事な茶番劇で親しみやすさもアピール。“みなさんの星になりたい”と紹介した「Starlight」では美しいハーモニーを響かせ、最後の「Tomorrow」はステージから降りてファンと触れ合いながら届けた。

8組のパフォーマンスが終了すると、次は長丁場に渡って司会を務めたウォンシクとヨンウクが所属するグループ、Apeaceのライヴへ。出演アーティストの緊張をほぐしたり、ヨンウクが瞬時にアーティストの言葉を翻訳して伝えたりと、ここまでイベントをしっかりサポートしてきたふたり。ここ一番の見せ場に“後輩たちのカッコ良い姿を観たから、僕たちも頑張らないと!”と気合十分もだ。

Apeaceのステージは全員が身長180センチ以上のグループとあって、一段と迫力を感じるダンスが魅力的。セクシーな歌声から高速ラップでクールな一面も見せると、ひと際大きな歓声が上がる。MCではJ.Dが五木ひろしの「夜明けのブルース」を歌い上げ、“日本と韓国の橋渡しになりたい”とグループの想いを語る場面もあった。2019年1月にリリースしたシングルの表題曲「Never Ever End」では綺麗なハイトーンヴォーカルで観客を魅了し、まだまだ歓声が止まない中、オーディションの結果発表へと移る。

改めて集まった8組に今回の感想をうかがうと、各々実力を出し切って少しホッとした様子。そして、スタッフから結果が書かれた紙が渡され、ヨンウクの口から発表されたグランプリは、9人組ボーイズグループのD-CRUNCH! 会場から喜びの声が沸き起こり、今回が日本での初ステージだっただけに、メンバーも驚きと喜びの混じった表情を見せる。家族やスタッフ、そしてファンに向けて感謝の気持ちを述べ、“まだまだ足りない僕たちですが、ここから成長していきます”と今後の意気込みを語り、最後はお馴染みの挨拶で締め括った。

また、ファン投票が一番多かったのはIMFACTとのこと。限られた時間でそれぞれが観客を巻き込みながら存分に実力を発揮し、いつの間にかオーディションという目的だけではなく、ひとつのイベントとして会場が盛り上がっていた『DREAM STAR AUDITION』。勝ち負けの他にもK-POPシーンの勢いと、“K-POPを盛り上げたい”という強い意志から生まれたアーティスト同士の絆も感じる時間だった。グランプリを獲得したD-CRUNCHをはじめ、この日をステップにますます飛躍していく8組に向けて、最後は会場からこの日一番の大きな拍手が贈られた。

取材:千々和香苗

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