いよいよ桜の開花宣言が各地で出始めた今日この頃。気温も上がってきて、暖房を使わないで大丈夫になってくると、“あ〜、春が来たなぁ”とか思いながら、調子がパシッと戻ってきたりするものです。花粉症もあと少しの辛抱。どうにか乗り切りましょう。というわけで、今回は春うたの名曲をピックアップ! せっかくなので、ベタをちょっとだけ外したカバーで選んでみました。
■「春一番」(’01)/ゆず
この「春一番」が最近テレビから頻繁に流れてくるので、今回のお題で書いてみたわけでした。ご存知、キャンディーズのカバー。いや、よく考えたらかれこれ40年以上前の楽曲だし、知らない世代は多いですよね。有村架純出演のCMで初めて聴いて、むっちゃ新鮮に感じる人もいるはず。ゆずは同曲を路上時代よりレパートリーにしていて、ライヴでもたびたび披露。2001年リリースのライヴアルバム『歌時記 ~ふたりのビッグ(エッグ)ショー篇~』に収録されています。
■「春の歌」(’17)/藤原さくら
映画『3月のライオン』後編の主題歌としてカバーされたスピッツの名曲。本家は言うまでもなく素晴らしいけれど、藤原さくらバージョンも好きです。イントロからゆったりとしつつも心弾むようなアレンジにギターやドラムでしているのとか、いいアクセント。歌のメロディーを部分的に変えるのは、他のアーティストじゃなかなかやらないんで新鮮に聴けます。トレードマークのスモーキーヴォイス、サビでぱぁっと華やぐところも◎。あ、ここにも有村架純が出てましたね(笑)。
■「Sakura」(’19)/藤巻亮太
動画は原曲のバンドバージョンですが、藤巻亮太がレミオロメンの楽曲をセルフカバーするアルバム『RYOTA FUJIMAKI Acoustic Recordings 2000-2010』が4月にリリースされるので選んでみました。この季節になると話題に上る「3月9日」はもちろんのこと、「Sakura」も負けず劣らずグッとくる春の名曲。アコースティックアレンジで聴くと、より歌とメロディーの素晴らしさが感じられ、桜の景色に想いを馳せる切なさがじんわりと心に響くのではないでしょうか?
■「春~spring~」(’16)/藍井エイル
Hysteric Blueの代表曲を藍井エイルがカバー。この曲もオリジナルは気付けばもう20年前なので、春うたの名曲が時代を超えてこうしてフレッシュに歌い継がれていくのは嬉しいなぁと思います。彼女のバンドメンバーで「春~spring~」の作詞・作曲者である元ヒスブルの楠瀬タクヤがリアレンジにも携わり、テンポなどはそのまま活かしつつ、サウンドはよりロックにパワーアップ! 伸びやかでパンチの効いたヴォーカルもいい感じです。始まりの季節を盛り上げてくれるはず。
■「SAKURAドロップス」(’14) /井上陽水
宇多田ヒカルのトリビュート企画がきっかけで生まれ、斬新すぎるカバーが話題を呼んだ「SAKURAドロップス」。彼女の切ない楽曲を井上陽水が解釈すると、まるで春の先の夏まで見えてくるような、独特の朗らかさすら感じられるラテンテイストになるという。しかしながら、これはこれでなんとも味わい深い仕上がり。オルケスタ・デ・ラ・ルスの相川等(Tb&Cho)が編曲、NORA(Vo)もデュエットで参加しています。あったかい日差しと青空の下、桜を眺めつつ聴いてみたい。
TEXT:田山雄士
田山雄士 プロフィール:フリーのライター。元『CDジャーナル』編集部所属。同誌の他、『okmusic UP’s』『ナタリー』『bounce』など、雑誌/WEBを中心にお仕事をしています。日本のロックバンド以外に、シンガーソングライターとか洋楽とか映画とかも好きです。