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ポルノグラフィティ、デビュー初期のマニアックな楽曲も飛び出した横浜アリーナ公演をレポート

2018年9月にメジャーデビュー20周年のアニバーサリーイヤーに突入したポルノグラフィティ。12月から約4年振りとなるアリーナツアー『16th ライヴサーキット“UNFADED”』をスタートさせ、静岡に始まり、北海道、大阪、福井、千葉、宮城、徳島、福岡を廻って、2019年3月8日と9日に横浜アリーナ2デイズ公演を行なった。その初日となる3月8日公演の模様をお届けしよう。

ツアータイトル“UNFADED”がバックに大きく映し出され、アッパーチューンの「オレ、天使」から早速会場を盛り上げる。続けて「A New Day」「幸せについて本気出して考えてみた」を畳み掛け、“最高に熱くなってますか?わしらがポルノグラフィティじゃ!”(岡野昭仁/Vo)というお馴染みの挨拶。“いいね。さすが横浜。今日は絶対、良い日にして帰ろうよ。最高の1日にしよう。オーケー?”と語りかけた次の「東京ランドスケープ」では歌詞の一部を《街は横浜アリーナ》に変えて歌い、大きな歓声が上がった。

ラテンテイストの「ジョバイロ」では手拍子で一体感を生み出すなど、序盤から盛り上がりを見せるファンに向かって、岡野が“ええ感じ。さすが横浜!”と感心していると、新藤晴一(Gu)が“アリーナツアーだからいつものホールツアーほどの本数ではないけど、全国に行ってて。ちょうど今日、脂の乗った良いところをみなさんに。まだ三重が残っとるんじゃけどさ、三重は最終日なのでお祭り騒ぎ的なね。ちらし寿司みたいに「全部乗っけてしまえ!」みたいな。でも、今日は美味しいところを厳選して…”と独特の例えで会場を和ませると、“彼は何を言ってるんだ、さっきから(笑)”(岡野)と突っ込まれ、この日は横浜だけに“中華料理に例えれば良かった!”(新藤)と反省する場面も。

そんな流れを変えるべく、ツアータイトル“UNFADED”の意味についても説明してくれた。今回はオリジナルアルバムを掲げずに廻っている全国ツアーだが、2018年9月に彼らの全楽曲のサブスクリプションが解禁されたことで“ボタン1個で聴けるという意味では20年の楽曲が全部横並びになったので、今回は20年間の楽曲をいろいろピックアップして、自分らでももう1回聴き直して。みんなの前で演奏して、「その曲が色褪せてない(UNFADED)か」って答え合わせするツアーになればいいかなと思ってこのタイトルにしました”(新藤)と伝え、“マニアックな曲が出てくるからね。ライヴでほとんどやってないような曲も”と岡野が続き、初期の楽曲「Swing」「ビタースイート」「ライオン」などを聴かせた。

「Zombies are standing out」を終え、小鳥のさえずりが聞こえたと思ったら、ステージ上はアコギを抱えた岡野だけに。自身で詞曲を担当した楽曲として初めて発表した「見つめている」をワンコーラス歌い、“非常に聴いてもらったみなさんの反響が良くて、自信になった曲を聴いてもらいたいなと思います”と「夕陽と星空と僕」を弾き語りで披露した。そして、新藤のギターを中心としたインストナンバー「didgedilli」で再び会場を熱くさせた後は、広がりのある「海月」、昨年12月に配信限定リリースした最新楽曲「フラワー」などで彼らの音楽性の幅広さを示してくれた。

いよいよ後半戦に。“あんたのハートに火を点けるのは晴一のギターフレーズ!”(岡野)とラテンナンバー「オー!リバル」のイントロが奏でられると、オーディエンスの手拍子、“オーレーオーレーオー!”という大合唱と炎の特効がさらに会場を熱くする。“まだまだこんなもんじゃ足りんじゃろ!”(岡野)と、いつもはアンコールの最後に披露する「ジレンマ」、さらに人気シングル「サウダージ」を演奏し、「ハネウマライダー」では全員でタオルを回した。

“みんなありがとう!あんたらはすげぇ!ほんまにここまでとっても良い時間になってると思います。冷静に自分らの周りを見渡してみると、時間が経つごとに色褪せていくことがほとんどだけど、みんなと過ごした時間は色褪せない時間になってるとわしらは信じてます。色褪せない。そして色褪せてはならない記憶を、これからも君らとわしらで大切に手の中に持って進んでいければいいなと思ってます”(岡野)とメッセージを伝え、「∠RECEIVER」を本編の最後に演奏した。2010年に発表されたこの曲は当時海外で多発した自然災害をきっかけに作られた楽曲だが、その後の2011年の東日本大震災をはじめ、彼らの地元である広島で昨年発生した平成30年7月豪雨の被害など、今もまだ苦しんでいる人たちが多いことも、最後に“色褪せてはならない記憶”として選んだ理由ではないだろうか。

アンコールでステージに再び登場すると、2009年に開催した初の東京ドーム公演のライヴ映像とともに、10年振りとなる東京ドーム公演『20th Anniversary Special LIVE NIPPON ロマンスポルノ’19 ~神 vs 神~』の開催が決定したという嬉しいニュースを発表。開催日は9月7日と、メジャーデビュー20周年を迎える9月8日の2日間。20周年の集大成を存分に披露するために2日間開催、そしてどちらの日のセットリストも“神セトリ”と言ってもらえるようなものにするという意味で、“神vs神”というサブタイトルがつけられたという。オーディエンスのテンションも上がったところで「タネウマライダー」、最後に全員で手拍子をしながら歌う「ライラ」でライヴを締め括った。

撮影:鈴木智之/取材:田中隆信

【セットリスト】

1.オレ、天使

2.A New Day

3.幸せについて本気出して考えてみた

4.東京ランドスケープ

5.ジョバイロ

6.Swing

7.前夜

8.ビタースイート

9.ライオン

10.Zombies are standing out

11.夕陽と星空と僕

12.didgedilli

13.カメレオン・レンズ

14.海月

15.フラワー

16.オー!リバル

17.ジレンマ

18.パレット

19.サウダージ

20.ハネウマライダー

21.∠RECEIVER

<ENCORE>

1.タネウマライダー

2.ライラ

【ライヴ情報】

『20th Anniversary Special LIVE NIPPON ロマンスポルノ’19〜神vs神〜』

9月07日(土) 東京・東京ドーム

9月08日(日) 東京・東京ドーム

■特設サイト

http://sp.pornograffitti.jp/thankyou-20th/

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