ニューアルバム『REBOOT』を掲げた全国ツアー『REBOOT TOUR 2019』がいよいよ開幕。その初日となる2月28日(木)のCLUB CITTA’公演を終えたばかりの岸田(Ba)に、本ツアーについて話を聞いた。
ツアー初日はREBOOTの概念を
分かりやすく体現
――まずは今回のツアー『REBOOT TOUR 2019』の初日公演を、アルバムツアーであるにもかかわらず東方アレンジオンリーのライヴでスタートさせた意義から教えてもらえますか?
「そこはアルバムのコンセプトから始まってまして。アルバムが“REBOOT”(再起動)という名前で、“自分たちのバンドをもう1回始めよう”という意図を持って作ったものなんですね。そこで馬鹿正直にそのアルバムに沿ったツアーを始めた場合、“みんながREBOOTした感覚になれるのか?”という問題がありまして。たぶん、それをやっちゃうと新譜が出た後のツアーになっちゃうんですね」
――確かに。いつもと変わらないツアーになってしまう。
「そうです。僕はこのツアーをアルバムのツアーとして位置付けているだけではなく、“バンドとしてREBOOTする”というコンセプトの中のひとつの流れとして位置付けてまして。そのコンセプトを達成するにあたって、自分たちのバンドをもう1回始めるということをお客さんに見せるためには、自分たちが一番最初に始まったところからスタートする必要がまずあった。だから、自分たちが一番最初に出たライヴハウスにしたんです」
――初日がCLUB CITTA’だったことにも意味があったのですね。
「ええ。自分たちの始まりとなったCLUB CITTA’で、バンドの歴史の始まりのきっかけとなった曲をやって。昔の曲を今の演奏力、今のやり方で、今までできなかったことを盛り込んで届けることで、お客さんに“昔とは全然違う”“REBOOTしたんだ”という意識を持たせたかったんです。REBOOTと言ったからには本当にバンドをREBOOTさせる。そういう覚悟があったからこそ、ああいうライヴにしました」
――実際にライヴを終えてみて、意図していたバンドのREBOOT感をファンに伝えられたという手応えは?
「みんなの反応はすごく良かったんで、どういう意図で僕らがREBOOTと言い出したのか、このライヴで初めて真意まで伝えられたんじゃないかなと思います。それまでアルバムでいくら“REBOOTした”と言ってても、みんなにとってはただの新曲ですから。このライヴで昔の曲をやったことで、何がREBOOTなのか、どこら辺が変わったのか。ある意味、一番REBOOTという概念が分かりやすく体感できたのはこの初日だと思います」
――東方の曲が始まるたびにお客さんの“キター!!”という反響もすごかったですよ。
「めっちゃ泣いてる人もいましたから。(CLUB CITTA’公演のセットリストを見て)これ、昔同人でうちらがリリースしたベスト盤(2013年12月30日に『コミックマーケット85』にて頒布された『きしだきょうだんのベスト!』)の曲が全部入ってる。やべぇな、このセトリ(笑)。原作の時間の流れやキャラクターでつながってるパートがあったり、しかも16曲目の「夢は時空を越えて」から21曲目の「Lotus Love」までは、19曲目の「彼岸帰航」を除いて、初期に出した1stアルバム『幻想事変』が中心で。かつ、この流れは初めてCLUB CITTA’に出た時を再現するイメージで作られてるんで、最古参のファンからすると完全なる追体験ができるパートになってますね」
――これは岸田さんが考えられたんですか?
「hayapiさんですね。僕は、このライヴでやりたいコンセプトやビジョンを伝えただけです。それをもとにhayapiさんがセットリストを作り、ライヴの演出にどんな意図があるのかをみんなに説明したりという事をやってくれています」
――そういうのを12年続けてきたわけですね。
「いや。こんなに上手くできたのは、この12年間で今回が初めてです。それまでは話し合い自体を行なわなくて、去年の末ぐらいから、やっと全員が話し合いのテーブルに着けるようになりました。それまではセットリストを決める会議で真面目に話してる人なんていなかったんで」
――そうなんですか?
「真面目に話すと喧嘩になるから。基本的にみんな意見が違うし、話しだすと喧嘩になるんです。なので、“ここはこの人が向いてるからこの人が主導権を握る”というのを決めたら、その人が作って、作ったものに対して他の人は文句を言わないというシステムを作ったんです」
――バンドに役割分担制を導入したと。
「hayapiさんはセットリストや演出面、ライヴのステムデータの制作や管理をみっちゃん。ライヴの衣装、髪型などのビジュアル面はichigoさんに真っ先に相談するとか。この分野はこの人にやらせるというのがはっきりあるんです」
――そこに到達するまでに12年かかった。
「ええ。こうするのがベストだと気付くまでに。4人全員が集まって話し合い、全会一致のもとにバンドを進めていくという合議制が望ましいんですけど、うちはそれをやると喧嘩になる。アーティスト写真を見て分かるように、うちは面倒くさい奴ばかりなんですよ。そんなところで合議制を採用しようとしたのがそもそもの間違いで。その結果、この12年間で機能不全に陥ってしまいましたからね(笑)」
――それでバンドをREBOOTしようと思ったのですか?
「今までのやり方の限界点がここ2〜3年で見えてきたので、そこからもう1歩先に行くためにはどうするかを2年ぐらいいろいろ試してもがいた結果、希望が見えたんです。それで、やっと変わってきたから“REBOOT”というタイトルをアルバムにつけ、口に出していったんです」
ツアーでは会場ごとに
時期で分けてREBOOTしていく
――では、今後のツアーはどのようなものになりそうですか?
「ぶっちゃけて言えば、アルバム『REBOOT』の曲をやるツアーになります(笑)。けど、“REBOOT”と言うからには今と昔がつながっていないと再起動できないので、今と昔をつなぐように作っていこうと思ってます」
――となると、当然東方アレンジの曲もやることになりますよね?
「もちろんそうなりますし、オリジナル曲も昔からやってたものが入ってきます。それに『REBOOT』の曲も入ってきます。バンドの歴史が12年ありますから、“この会場では東方を、この会場ではこの時期の我々をフィーチャーしよう”というように会場ごとに時期で分けてREBOOTしていくという流れを作っていきます。なので、すべてのライヴのエンディングがREBOOT後の我々の始まりとなっていって、“このライヴをもって始めさせていただきます”というのが毎回続いていく感じで。最終日にそれらを統合して、“REBOOTはこれをもって完了。ここから先はREBOOT後の我々をよろしくお願いします”というイメージですね」
――最終日のEX THEATER ROPPONGI公演では椅子席もありますが。
「前に日比谷野外大音楽堂(2016年7月23日の『全国ワンマンツアー2016 FINAL ~はじめてのおそと~』)をやった時は、椅子席でお客さんに愛されるショーを作るにはライヴアクターとしての力不足を感じたんですけど、今だったら椅子席だろうがオールスタンディングだろうがいけるんじゃないかと思います」
――そこもREBOOT後の見せ所となりそうですね。それでは最後に、読者のみなさんへ岸田さんからメッセージを。
「僕としてはこのツアーはすごく熱量の入った大切なツアーだと思っているので、みんなに観てほしいです。とくに、昔観てた人にこそ観てほしいです。“なんか昔とは違う”というのが分かって面白いと思います。これまで話し合えなかったバンドが話し合えるようになって、ちゃんとバンドとしてのシステムが組まれた。12年経過して、やっとできた本来のバンドの姿が見られるツアーなのでぜひ目撃してほしいです」
撮影:フクシ アヤミ/取材:東條祥恵
【ライブ情報】
『岸田教団&THE明星ロケッツ REBOOT TOUR』
3月08日(金) 大阪・バナナホール
3月10日(日) 福岡・DRUM Be-1
3月17日(日) 宮城・LIVE HOUSE enn 2nd
3月21日(木・祝) 愛知・Electric Lady Land
3月23日(土) 東京・EX THEATER ROPPONGI
『REBOOT ASIA TOUR 2019 IN TAIPEI』
6月15日(土) 台湾・角落文創展演空間Corner House
アルバム『REBOOT』
2018年12月5日発売
【アーティスト盤(Blu-ray付)】
1000735130/¥5,000+税
【通常盤】
1000735131/¥2,800+税
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