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【INTERVIEW:ましのみ】私の価値観を通していればそれが私の音楽の軸になっている

コラボ企画『G-NEXT』の第12回目は、2月20日(水)にメジャー2作目となるアルバム『ぺっとぼとレセプション』をリリースした、ましのみ! 今作に込めた想いから、彼女が音楽に触れるようになったきっかけ、そして彼女がライヴをする意味とは何か訊いた。

日本工学院専門学校×GYAO!×OKMusic Presents

【G-NEXT POWER PUSH ! #12_INTERVIEW:ましのみ】

――ましのみさん自身の中で、音楽に最初に触れた一番古い記憶って何ですか?

「幼稚園に入る前、電子ピアノに入っている音源の「エリーゼのために」とかで、お母さんと一緒にスカーフを持ちながら踊ってましたね(笑)。あとは、園長先生の前で「プレイバックpart2」で踊って歌っていた記憶があります」

――そんな幼少期を経て、音楽の仕事をしたいと思ったきっかけは一体何だったのでしょうか?

「それが別になくてですね。踊ったり歌ったりピアノを弾いたりすることが好きで、2〜3歳の時とかには“歌手になりたい”っていうふうに言っていて。でも、小学校とかに入って物心ついてからは“難しいな”“無理だろうな”って思ってしまって、もう夢ではなくなってしまいましたね。」

――何がきっかけでまた音楽の世界を目指すようになったのですか?

「ずっと“歌手になりたい”という気持ちを抑えていたんですけど、高校3年になって大学を選ぶ際に、数学とか理系が得意だったのでそっちの道に進もうと思っていたんです。でも、勉強を頑張って、ひとりでバリバリ生きていける女になろうって具体的にイメージした時に、私はその人生ではない気がしてきて。“じゃあ、自分は一体何がやりたいんだろう?”って考えたら、“そうだ! 私やっぱり歌いたいんだ!”っていう想いが抑え切れなくなってしまったんです」

――続いてアルバムのお話を伺いたいと思うのですが、まず“ぺっとぼとレセプション”というタイトルはどういう意図で付けられたのか教えてください。

「ライヴだけじゃなく日常生活でも2リットルのお水を飲んでいて(取材時も2リットルのペットボトルを常備)、よく“2リットルも飲むんだ…”って言われ(笑)、そこでだんだんと私の中でも“ましのみ”と“ペットボトル”がニアリーイコールになってきたんです。ペットボトルって透明だから、奥に見えるものがそのままのかたちであるように思えてしまうけど、実際は歪んでいたり屈折したりしていて。本質が完全に分からなくても、全部が見えていないことを分かった上で聴いて欲しくて、1stアルバムは“ぺっとぼとリテラシー”と名付けたんです。そこから1年が経って全国でライヴをしたり、お手紙をいただいたり、サイン会で言葉をいただいたりしていく中で、みんなに対して愛情ややさしさが生まれて、“寄り添いたい”と思ったんですよね。だから、ましのみという世界に自分から歩み寄って、みんなのことを誘うような…で、レセプションパーティだ!って思ってアルバムを作り始めました」

――聴き手に“寄り添いたい”と思えるようになったって、それはかなり大きな心境の変化ですよね。

「はい、成長だと思っています。今までは自分が他の人に突き刺せる棘をいかに鋭利にするかということをずっと考えていて、ハングリー精神を失わないためにも、現状に満足しないようにするためにも、やさしさや愛情を持ちすぎないように常に尖っていないと怖かったんです。でも、私のハングリー精神や負けん気は、そんなちょっとやそっとのことで失うようなものではないということに自分で気付き始めて。聴いてくれている人に対しての愛情をたくさん持って、もっともっとやさしい気持ちになってもいいし、今に満足して良いんだって思えるようになったんですよね。このアルバムを作り終わった時も、今までで一番達成感を得ることができたし」

――13曲収録されていて、なかなかボリューミーな内容になっていますよね。

「そうなんです! アレンジャーの横山裕章さん(agehasprings)はとても理解してくれてるし、熱量を持ってやっていただいてるんですね。私が言ったことに対して突き詰めて応えてくれるので、今回も本当にありがとうございます!って(笑)。で、「タイムリー」のアレンジは歩く人さんにお願いしました。私は気持ち良かったり心地良かったり、唯一無二の音が好きなんですけど、歩く人さんはそういう音をよく使われいて、なおかつとっても心地良いんですよ。同い年だし、すごく刺激になりました」

――「コピペライター」はGuianoさんがアレンジャーとして参加されていますね。

「私はダンスミュージック調の曲をやってこなかったんですけど、この曲は特に1番が終わったところの音の使い方とかリズムの使い方が私はすごく好きで、ここはデモの段階からほとんど修正無しなんですよ。私の中にない引き出しだったから、すごいカッコ良いと思って。ダンスミュージックという文化を持っている方に対して、私が“ここはもっとこうしてほしい”ということをどうやったら伝わるか、どういう音でっていうのをどう伝えれば良いかってやり取りの中で、自分の足りないものを見つめ直すことができましたし、作り終わったあとの向上心にもつながりました。あと、ボーナストラックの「夢ノート」は初めて書いた曲なんです。1番はそのままの気持ちを大事にして、2番は今の気持ちとかを書き換えて、ピアノのアレンジも今だからできるようになたアレンジに変えて再録しました」

――テーマはあるけれど、13曲がそれぞれの個性を確立させていますよね。

「そうですね。例えば、恋愛の曲を書いても、家族の曲を書いても、地球について思ってることを書いても、それが私の現実とは完全に解離していなくて、私の価値観というものを通していれば、それが私の音楽の軸になっていると思っているんです。だから、今まで書いてきた曲全部に“ましのみ”という軸が通ってるからそれで十分なんだって」

――そんなましのみさんにとってライヴをする意味とは何でしょう?

「配信のほうがそこにいるだけで全国の人が観れるし、効率的だし、そっちに絞ってやったほうがいいんじゃないかって、人によってはそういう意見もあると思うんですけど。でも、やっぱり“歌”だから心に届いてなんぼ、体に響いてなんぼじゃないですか。日常のBGMに使ってもらえるのも嬉しいし、それが目標でもあるけど、やっぱり直接のほうが絶対に伝わる。私の言葉や歌で誰かが何かに気付けたりとか、気持ちが上がったりとか、そういうことをしたいなと思ってます。私にとっても顔を見て“こういう子が聴いてくれているのか”って、そういう実感があるのはすごく大きくて。がむしゃらにライヴをしている状況じゃないからこそ、すごくライヴに対する想いが強くなってますね」

取材:林なな(日本工学院専門学校 蒲田校コンサート・イベント科)

アルバム『ぺっとぼとレセプション』

2019年2月20日発売

PONY CANYON

【初回限定盤(DVD付)】

PCCA-04748 ¥3,500(税込)

【通常盤】

PCCA-04749 ¥3,000(税込)

【ライブ情報】

★リリースイベント

2/23(土) 13:00~ 東京・タワーレコード渋谷店

2/24(日) 13:00~ 愛知・名古屋 HMV栄

2/24(日) 19:00~ 大阪・タワーレコード梅田NU茶屋町店

『ぺっとぼとリテラシー vol.3 ~レセプションパーティー in OSAKAでひとつになりまショータイム~』

3/15(金) 大阪・アメリカ村 BEYOND

『ぺっとぼとリテラシー vol.3 ~レセプションパーティー in TOKYOでひとつになりまショータイム~』

3/21(木) 東京・渋谷ストリームホール

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