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超特急、予想を裏切り期待に応えたアリーナツアー最終公演

超特急が年末のアリーナツアー『GOLDEN EPOCH』の最終公演を12月27日に大阪城ホールで開催した。初日のさいたまスーパーアリーナ公演ではグループ史上最大の2万3千人を動員していた彼らだが、今ツアーの総合演出を務めるユーキが「さいたまと大阪ではまったく違うライブになる」と予告していた通り、セットリストはもちろん、演出や衣装も初日とはガラリと異なるものに。11月にリリースした同名の最新アルバム収録曲も組み込みながら、史上初のメインダンサー&バックボーカルグループとしての真価を見せつけるハイレベルなステージと、彼らの“GOLDEN EPOCH=黄金時代”の到来を予感させるサプライズ満載のメニューで、立見を含め1万3千人の8号車(超特急ファンの呼称)と共に、超特急の2018年を華やかに締めくくった。

超特急が大阪城ホールでワンマンを行うのは今年の1月6日に続き2度目だが、今回は12月26・27日の2デイズに拡大した上、初日と合わせてツアー全3公演のチケットは即日完売。しかも結成7周年の記念日となった12月25日には、UNIVERSAL STUDIOS JAPANでスペシャルライブも行っている。つまり、この大阪公演は8年目最初のステージであり、中でもWOWOWの生中継も入った27日はトータル3 デイズの最終日として、ひときわ充実度の高いライブとなった。

昨今のツアーではメンバーそれぞれがライブ制作に携わっており、開演前にはリーダーのリョウガによるウィットに富んだアナウンスも。期待に逸る8号車の心をひと時ゆるめるものの、壮大なオーバーチュアから電車の発車ベルが鳴り、「Beasty Spider」のイントロが流れれば、その空気は一変する。予想外の幕開けに歓喜の声をあげる場内は、ステージに6人がポップアップで飛び出すと、さらにヒートアップ。甘い笑顔を浮かべながら挑発するタカシのボーカル、この曲のセンターであるユーキを中心にしたセクシーかつ統制の取れたダンスに、アメとムチを巧みに使い分けるような感情を揺さぶるオープニングに、8号車も頭からノックアウト寸前だ。加えて「大阪行くぞ!」とリョウガが号令をかけ、鉄板曲の「超えてアバンチュール」に雪崩れ込むや火花の柱がダイナミックに噴き上がり、近未来風のステージは次々とメンバーカラーに輝いて、場内のテンションは一気にスパーク。ミラーボールが回るレトロなディスコ調の「PUMP ME UP」に続くと、パラパラを真顔で踊るメンバーに合わせて8号車も皆一斉に踊り出すが、このツアーで初披露されたアルバム新曲であることを考えると恐るべき中毒性と浸透力である。

7周年を機に、歴史をたどるように織り交ぜられた新旧の楽曲で、確かな変化と進化を示してくれたのもファイナルの特徴。超特急マークのついた6台のトロッコに乗ってアリーナを一周した「Drive on week」では、メンバーコールがダンサー全員にバランスよく贈られるようになり、推しメンカラーのペンライトを振る8号車も、ここぞとばかりに声を張り上げる。数年ぶりの披露となった「COMP!!COMP!!COMP!!」もイントロから歓声を呼んで、アリーナ中央のセンターステージで跳ね回る6人の表情からは、久しぶりのフォーキーなサウンドを心から楽しんでいることが見て取れた。また、アルバム収録曲「Booster」は夏より先行披露されてきたことで、ラップに初挑戦したダンサー陣のパフォーマンスも実に堂々たるものに。極めつけとばかり、ユーキはロンダートからバク転&バク宙で花道を戻って、1万3千人の目を釘付けにする。

さらに、「今日来てくださった8号車の方々と最高のライブにしましょう!」とリョウガが力強く言い放ってからは、今年に入って彼らの武器となりつつある神秘的な空気感でも存分に魅了。「Fashion」ではタカシの美しいファルセットに、交錯するダンサー5人の意味深な振りつけが相まって、なんとも幻想的な世界観を創り上げていった。中でも圧巻だったのが、6枚の可動式LEDパネルとのコラボレーションで魅せたブロック。歌、ダンス、映像すべてがプリミティブなパワーを放つ「コーシエンノイ」に、「Time Wave」ではパネルに映る2次元のメンバーと、左右に動くパネルの間から交互に姿を現す3 次元のメンバーが、バーチャルとリアルの融合を為す。その合間にメンバーカラーに輝く衣装に着替えて、ステージの上下左右あちらこちらから登場するというスペクタクルなフォーメーションもシビれるばかりだ。

そんな“時空を超える”EDMチューンをプロローグに、メインダンサー5人それぞれの初センター曲を繋いだ“時をさかのぼる”メドレーは、本ツアー最大の見どころとなった。まずはユースケの掛け声を皮切りに、ダンサー陣がメンバーカラーの扇子を振り回す6thシングル「ikki!!!!!i!!」から、4th「Bloody Night」でマント姿のヴァンパイア・リョウガが登場すると場内は悲鳴の嵐! 他メンバーも全員ヴァンパイアとなってマントを翻し、8号車から大きなコールを浴びる。また、ダンサー陣が掲げる光る警棒に合わせ、8号車もペンライトを振り上げてジャンプした3rd「POLICEMEN」はカイのセンター曲。さらに、タカシのアカペラボーカルに8号車が応えた2nd「Shake body」ではタクヤがポーズを決め、回るミラーボールの下、パネル上で踊る自身の二頭身キャラと6人がエクササイズする。最後はイントロが鳴るなり、8号車が「ガッタンゴットン!」とコールしたユーキセンターの1st「TRAIN」へと超特急の歴史を巻き戻したかと思いきや、今度は早送り音が流れて最新アルバムのリード曲「need you」へ。超特急の歴史を凝縮した見事な展開だが、曲の序盤で音が逆再生になっている箇所には前出メドレーの5曲の振りが同じ順番で組み込まれているだけに、この流れでたどり着いた「need you」をひときわ感慨深いものにする。MCで「黄金時代(=GOLDEN EPOCH)なので、“時代”に掛けて。今までの超特急を知ってもらいたいなって」と語った総合演出・ユーキの意図はズバリ的中。1stシングルのMVにも登場した薔薇をモチーフに、ユーキが振りつけたかつてなく大人びたダンスも、たった一人の“you”を追い求めるタカシの歌声も、すべてがドラマティックに心を震わせるのだ。

その「need you」のMVで宇宙をさまよっていた6人の未来を表すかのように、惑星に降り立ったメンバーが光に向かって歩みを進める映像に続いては、星空をバックに展開されたバラードゾーンが8号車の胸を揺さぶっていく。愛らしいベルの音にイントロが加わって、8号車に悲鳴のような声をあげさせたのは「Snow Break」。前回の大阪城ホール公演以来の披露となる冬のロストラブソングで、ステージ上空から降下したクレーンはセンターステージへと繋がるスロープになり、まずはダンサー5人がそこに散らばってゆく。そして順に立ち上がり、ソロダンスを踊る彼らの隣に寄り添いながら、ゆっくりとスロープを下りていくタカシの歌声は切なさではち切れんばかり。劇的な演出も出色だが、何より強弱豊かに悲痛な想いを訴える表現力に、この1年で彼が果たしたボーカリストとしての進化を実感させられる。そんなタカシのエモーショナルな歌唱に支えられ、続くアルバム新曲ではダンサーたちが表舞台に。大阪が初披露となった「Full moon」では難易度の高い細かな振りを小粋にサラリと魅せ、「霖雨」ではリョウガ&タクヤのペアダンスを筆頭に、フォーメーションを自在に変え、楽曲の感情を繊細に表す滑らかな動きで8号車の目を奪った。さらに8号車から7歳の誕生日と祝ってからの最新シングル曲「Jesus」でも、センターステージでの360度対応型のステージングによりダンススキルの向上を証明。成長著しいタカシの歌をバックに、ポップからクールへとダンサー陣の表現もふり幅を広げて、メインダンサー&バックボーカルグループの意義を知らしめる。

一方で8号車との距離の近さも、もちろん彼らの大きな魅力だ。「出発進行!」とタクヤが命じた「My Buddy」では、なんとステージからスタンド席を駆け上がり、トロッコに乗ってスタンド中央の通路を一周! しかも、リリース当時にドラマ主題歌としてオンエアされ、メンバーが動物の着ぐるみ姿でキャスト陣と共に踊る“いきものダンス”が話題になっていたことにちなみ、なんとメンバー全員が動物のカチューシャを付けるのだから客席は湧きまくる。ちなみにダルメシアンの耳をつけたカイは、26日のMCで「衣装に合わせた」と話していたが、「Snow Break」以降の繊細な植物柄をあしらったモノトーンの衣装は実はカイのプロデュースによるもの。さいたま公演ではタクヤが一部の衣装を担当しており、そこからも自ら制作にかかわっていこうというメンバーの心意気を感じられる。

そのまま「SAIKOU KOUSHIN」でもトロッコから至近距離で手を振り、笑顔でピースする6人に、スタンド席の8号車は狂喜乱舞。合いの手がLEDに大写しになる「超ネバギバDANCE」に、「腹から声出せ!」とユーキが絶叫した「SAY NO」と、数万本のペンライトを揺らしてメンバーと共に歌い、踊る。「叫んでいこうぜ! 楽しんでいこうぜ!」というユースケの雄叫びで始まった「バッタマン」でも、ステージ各所に散らばってフリーで駆け回る6人に、ピタリとそろったペンライトの動きがシンクロ。そして「時代を超えて、僕たちと一緒に新たな時代へ進んでいきましょう」というタカシの言葉を前置きに、今ツアーのテーマソングである「Time of GOLD」で本編は締めくくられた。太いビートが時代を飛び越えるバネのように響き、飛び交うレーザーが未来への道を切り開くと、クライマックスには5段階でキャノン砲から銀テープが発射。そこにタカシの感性豊かなフェイクが重なり、全員で大きく手を振ってフィナーレを祝うソウルフルな響きは、新たな時代へのセレブレイト・ソングとなって、去り際に「GOLDEN EPOCH――黄金時代を、これからも僕たちと一緒に歩んでいこう!」とリョウガが発した宣言を、より重みのあるものにした。

アンコールになっても、予想を裏切り期待に応えるサプライズは続いた。ワンマンでの披露はこれまた1年ぶりとなる「gr8est journey」のイントロが鳴ると大歓声が湧き、ステージにせり上がった6人はその声で、動きで、眼差しで、今日を超える明日への旅路を勇敢に謳い上げる。さらに「来年の超特急もみんなと一緒に走っていくから、みんなついてきてね。大好きだよ」とタクヤが告げた「fanfare」では、会場中が一つになっての大合唱を繰り広げ、メンバーと8号車との絆を確かなものに。しかし、そんな感動的な空気もセンターステージに駆け出しての「Party Maker」で、もっともっと熱いエナジーに変わる。椅子を巧みに使ったアグレッシヴなパフォーマンスで歌詞通り“メチャクチャに”弾け、客席に向かってハンディキャノンからサインボールやリボンのかかったプレゼントも打ち込み。“超特急!”コールに応えたダブルアンコールでは、さらなる贈り物として、ユースケが「最後に僕たちからの愛を届けたいと思うんです」と、アルバム収録曲のうち大阪公演まで唯一未披露だった「8号車の歌」を届けてゆく。8号車カラーであるピンクに輝くステージを前に、始まりを告げる初代リーダーのユーキ、夢を語るカイ、すれ違いが示す愛を確認するタクヤ、団結と挑戦を訴える現リーダーのリョウガと、作詞・曲を手掛けたユースケが各人の役割や性質を踏まえて割り振ったパートを歌うダンサー陣の生々しい歌声は、テクニックを超えた力で8号車の心を打った。そして、8号車のペンライトこそ希望の光とタカシが歌うと、それぞれに自分のカラーのペンライトを取り出してファンと同じように振り、最後はピンクも加えた7本で“8″の字を作り上げる。ファンである8号車への愛を、これほど見事に表すパフォーマンスが、果たしてあるだろうか。「来年は元号も新しくなって、また時代も変わっていくわけなんですけど、平成というこの時代に皆さんと出会えたこと、こうしてライブをできたことが感謝でたまらないです。ここにいる皆さんと来年もレールの先を、新しい道を作っていけたらなと思います」とMCで語ったユーキの言葉に嘘はない。

「良いお年を!」という6人の声でライブの幕が閉じると、ツアーのリハーサルや初日のさいたま公演の様子を収めたエンドロールに続き、来年3月に東名阪+福岡を回るファンクラブツアーが開催されることが発表。歓喜に湧いた8号車は、さらにユースケの作詞・曲である「超特急です!!!!!!!!」を6人で全力ダンスする映像が流れたとたん、まるでメンバーがそこにいるかのように、いや、それ以上の音量でコールを贈って沸騰する。ちなみに、これらの映像もユースケのプロデュースによるもので、おそらくは最後の最後まで盛り上がってほしいという彼の願いの結晶なのだろう。ファンクラブツアーが終われば、4月20日からは全33公演で10万人を動員するホールツアー『EUPHORIA』も開幕。亥年を迎える超特急の猛進ぶりに、目が離せない2019年となりそうだ。

photo by 米山三郎、深野輝美

text by 清水素子

【セットリスト】

1.Beasty Spider

2.超えてアバンチュール

3.PUMP ME UP

4.Drive on week

5.COMP!!COMP!!COMP!!

6.Booster

7.Fashion

8.ขอเสียงหน่อย(コーシエンノイ)”

9.Time Wave

10.ikki!!!!!i!!

11.Bloody Night

12.POLICEMEN

13.Shake body

14.TRAIN

15.need you

16.Snow break

17.Full moon

18.霖雨

19.Jesus

20.My Buddy

21.SAIKOU KOUSHIN

22.Kiss me baby (1日目)

22.超ネバギバDANCE (2日目)

23.SAY NO

24.バッタマン

25.Time of GOLD

EN1.gr8est journey

EN2.fanfare

EN3.up to you (1日目)

EN3.Party Maker (2日目)

WEN1.8号車との歌

【ファンクラブツアー詳細】

『FUN!FUN!ふぁんみーてぃんぐ2019 平成最後の大爆発!!!!!!!!』

3月09日(土)  大阪・Zepp Namba(OSAKA)

第1部 開場 12:00/ 開演13:00

第2部 開場 17:00/ 開演18:00

3月10日(日)  福岡・Zepp Fukuoka

開場 16:00/ 開演17:00

3月14日(木)  愛知・Zepp Nagoya

開場 17:30/ 開演18:30

3月27日(水)  東京・Zepp DiverCity(TOKYO)

開場 17:30/ 開演18:30

3月28日(木)  東京・Zepp DiverCity(TOKYO)

開場 17:00/ 開演18:00

■ファンクラブ新規入会

http://fc.bullettrain.jp/feat/entry

【ホールツアー詳細】

『BULLET TRAIN SPRING/SUMMER TOUR 2019 EUPHORIA ~Breakthrough, The Six Brave Stars~』

4月20日(土) 千葉・松戸・森のホール21 大ホール

4月21日(日) 千葉・松戸・森のホール21 大ホール

4月28日(日) 神奈川・カルッツかわさき ホール

4月29日(月祝) 神奈川・カルッツかわさき ホール

5月02日 (木) 大阪・大阪国際会議場 メインホール

5月03日(金祝) 大阪・大阪国際会議場 メインホール

5月05日 (日祝) 大阪・大阪国際会議場 メインホール

5月11日(土) 鳥取・とりぎん文化会館 ★初開通

5月12日(日) 島根・島根県民会館 ★初開通

5月17日(金) 福岡・福岡サンパレス

5月18日(土) 長崎・長崎ブリックホール

5月25日(土) 愛知・愛知県芸術劇場大ホール

5月26日(日) 愛知・愛知県芸術劇場大ホール

6月01日 (土) 神奈川・パシフィコ横浜 国立大ホール

6月02日(日) 埼玉・大宮ソニックシティ 大ホール

6月08日 (土) 広島・上野学園ホール

■特設サイト 

http://bullettrain.jp/euphoria/

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