MUCC、Psycho le Cému、Waiveによる3マンイベントライブ『MUD FRIENDS 2000~2018』が、10月18日(木)Zepp Tokyoにてファイナルを迎えた。同イベントは、10月14(日)のZepp Osaka Bayside公演を皮切りに大阪・東京で計4公演を実施。2000年代初頭に時を同じくしてデビューし、ヴィジュアル・シーンをそれぞれの闘い方で生き抜いた“戦友”3バンドが集い、温かくも熱い対バンを繰り広げた。
17:45、前説のためステージに登場したのはPsycho le CémuのYURAサマ(Dr)。巧みなトークと自他ともに認める“顔の良さ”で観客を虜にし、AYA(Gu)も合流して彼らの楽曲の「JUNGLE×JUNGLE」の振り付けをレクチャー。フロアは爆笑に包まれ最高のウォーミングアップとなった。
18時、いよいよトップバッターのWaiveのライブがスタート。幕開けを飾ったミディアム曲「HEART.」や中盤で聴き入らせた名バラード「C.」から、「Sad.」「ガーリッシュマインド」というダークな疾走系まで、多彩な楽曲群を披露。「いつか」を力強くラストで放ち、懐かしくも古くならない名曲群で圧倒した。現在のWaiveは解散状態にあり活動ペースは不定期だが、平成最後の日 4月30日(火)にはこのZepp Tokyoで2年ぶりワンマンを開催する。田澤孝介(Vo)は、前夜の公演帰りにYUKKE(MUCC/Ba)と“じゃあ、また明日”と言い合えたことを、感慨深そうに語っていた。
杉本善徳(Vo&Gu)は、“まさか2018年にこんなことが起きるなんて、2000年には想像してなかった。MUCCからもサイコ からも「またやろう」と言われて、明らかに動いてない俺たちのせい、みたいな…(笑)。俺たちの活動がどうなっていくのかは4月30日(火)にかかっている”と繰り返しアピールし笑わせた。演奏時とMCのギャップも含め、その人間味が魅力的なステージだった。
続くMUCCは真っ赤なライトの中「アカ」で幕開け、2000年リリースのインディーズ1st Single「娼婦」や「絶望」など初期曲を中心としたセットリスト。MCコーナーを設けずに楽曲を畳みかけ、仄暗いムードで会場を満たし、妖気と殺気を漂わせていく。逹瑯(Vo)が「大嫌い」のイントロに乗せて“WaiveはMCが多く、サイコはお芝居やら衣装が多く、じゃあMUCCは何を多くアピールしようか? 暴れるしかねーよ!”と語った通り3バンドは気心知れた盟友だが、本気でせめぎ合う異種格闘技でもあるからこそ、このイベントは楽しく充実したものになっている。
「蘭鋳」でフロアの全員を座らせて、“全員、死刑!”の掛け声で一斉ジャンプするまでの間、“ここにいる全員が、またやりたいと思っているイベント”とも語った逹瑯。“次は願わくば、地方のオフもあるツアーがいい”と規模拡大への夢も明かした。ラストは「生と死と君」ですべてを浄化するように清らかに幕を閉じた。Satoち(Dr)が去り際に「JUNGLE×JUNGLE」の振りをすると笑いが起き、会場は温かい空気に包まれた。
大トリを務めたのはPsycho le Cému。“5年前、5人は伝説のドラゴンに敗れた、そして今日は5人が再開する日…”というナレーションに乗せ、ライブはスタート。コンセプトに基づいた物語のキャラクターとして、メンバーが一人一人紹介されながら登場。前説で振り付けを練習した「JUNGLE×JUNGLE」に始まり、ダンスと歌と演奏とが混ざり合うファンタジックなステージングを展開する。
メジャーデビュー曲「愛の唄」からポップナンバーの「STAR TRAIN」へと繋げた後のMCで、“MUCC、Waiveを特別な関係だと思っています”、“Psycho le Cémuもいろいろあったけど、(2バンドが)近くにあり続けてくれていたことで、ステージに戻ってくることができた”と語ったseek(Ba)。“バンドを続けていくので、皆もバンギャル続けてくださいよ!”と呼び掛けると会場は沸き立った。そう、支えるファンが存在しなければ、シーンは存続しないのである。はちゃめちゃな楽しさの果てに、「皆の未来と僕らの夢に」とのDAISHI(Vo)の真剣な語りに続き「REMEMBRANCE」を披露。気迫に満ちたパフォーマンスで締め括り、ステージを去った。
最後に3バンド13 人が4公演中初めて一堂に会し、賑やかにトーク。Waiveを代表して杉本は“同期に近いバンドで一番好きな2バンド。また全員集まるには活動が潤滑に進まないと。そのためには……(笑)”とこの日何度目かの4月30日(火)のワンマンへのお誘いを繰り返し、笑わせた。“このイベントが決まる10年前からseekと電話で話していて、やっと去年から実現に向けて動き出して。こんな癖が強いバンドが集まって、胸を張れることだと思っています。V系シーンでも我々世代が最強なんじゃないかと。終わって寂しいというより、「またできる」という確信が持てた”と、MUCCからはYUKKEが。seekも再度“出会った頃は、まずこの2バンドを蹴散らさないと上に行かれへんと思ってた。18年経つと、その感情は残ってるけど、ずっとMUCCとWaiveがいたから諦めずに続けてこられた”と感慨深げだった。
ほぼ裸で全身赤塗りのいでたちだったseekに、ここで逹瑯が“今どういう格好してるか忘れてたでしょ?”と突っ込み。杉本が“ええ話してたやん!”とフォローする、という3バンドの掛け合いも楽しく和気藹々。全員揃っての写真撮影でイベントは幕を閉じた。
2000年代初頭にしのぎを削り合い、切磋琢磨してシーンを賑わせていた3バンドが、それぞれに紆余曲折を経て再度集まった、この2018年。初心を蘇らせながらも、ただノスタルジーに浸るだけではなく、磨き上げて来た力を本気でぶつけ合って放つ熱量に胸打たれた。これから更に各々が進化した末、また3バンドが交差する夜が訪れることに期待したい。
Text by 大前多恵
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