今回は編集によるカット割りをせずに、ワンカットで撮影されたMVをご紹介! テレビでも紹介されているサカナクションのあのMVや、DJみそしるとMCごはんがひとり3役に挑戦したMVなど、ユニークな5本を集めました。ワンカットで撮影されたMVはまだまだたくさんあるので、これから第二弾、第三弾と続くかも!?
■「Goodbye Happiness」(’15) /宇多田ヒカル
“表現者としての宇多田 光”をテーマに本名の“宇多田 光”名義で初監督した、自宅のような空間で撮影された遊び心あふれるMV。切なげなメロディーの楽曲だが、MVでは机に置いたカメラに向かって踊るなど、明るい表情で普段も楽しく音楽に向き合っている印象を受ける。「ぼくはくま」のくまのぬいぐるみが登場したり、「traveling」っぽい衣装で行進をしたりと過去作品のMVを表現したシーンもポイントで、1998年発売のデビューシングル「Automatic」のMVを《出会った頃の気持ちを今でも覚えてますか?》の部分で再現していることに気が付くとテンションが上がるはず! しかし、ほどよく散らかった部屋の中にもまだまだ仕掛けがあるような気がしてならない…。
■「甘辛MCバトル ~たまご焼き編~」 (’18)/DJみそしるとMCごはん
“おみそはん”の愛称で親しまれるDJみそしるとMCごはんが、MCしょっぱいたまご焼きと MC甘いたまご焼きによる“因縁のたまご焼き対決”を繰り広げるMV。その2役のラップはもちろん、突如乱入する“だし巻き”の3役までを声だけでなく全身を使ってひとりで担うという力作だ。しかもノンストップ! フェルトや紙を使った小道具も手が込んでいて、実際にたまご焼きを作るシーンも器用さが分かる。また、サイプレス上野による司会と、たまご焼きを作る音を使ったロベルト吉野のスクラッチもナイスな仕上がり。たまご焼きの作り方も入れ込んだリリックでも抜群のセンスを発揮し、最終的におみそはんのタフさが一番心に残る、まさにユニークな作品だ。
■「アルクアラウンド」(’09) /サカナクション
『第14回文化庁メディア芸術祭』のエンターテインメント部門優秀賞など多数の賞を獲得し、メディアでも取り上げられることの多いワンカットMVの定番作品だ。山口一郎(Vo&Gu)が歩き回り、それに合せてマイクスタンドで立てられた文字やパラパラ漫画などの演出で歌詞を映し出していく。中でも話題になっているのはマイクスタンドの文字で、カメラの角度によってバラバラの文字が読めるようになっており、しかもそれを楽曲のテンポに合わせて映し出されるのだ。ピタゴラスイッチのようにひとつひとつの仕掛けをクリアーしていく、ワンカットならではの緊張感が画面からひしひしと伝わってくる。ラストの無限ループ感のある締め方まで計算尽くし!
■「ひまわりの夢」(’12)/斉藤和義
緊張感の漂うMVのあとはほっこりしましょう。こちらは2018年2月に急逝した俳優の大杉 蓮がバレエスタジオでレッスンをする少女たちを後ろにコミカルなダンスを披露するシュールなMV。大杉は“このビデオの主演イメージに最適”とのことで斉藤和義サイドからオファーを受けたそうだが、哀愁を漂わせながらもひたむきな楽曲を普段は真面目そうな大杉がゆるいダンスで表現している姿を観ると、なんとなく“最適”の意味が分かる気がする。間奏あたりからのはっちゃけぶりもかわいらしく、ワンカットならではの表情の変化が楽しめ、だんだん“大人だって踊ったっていいじゃない!”みたいな解放感をもたらす。《後悔なんて クルクルポイだ》と励ましてくれるので、落ち込んだ時にはぜひ!
■「Birthday」(’15)/安室奈美恵
引退前日の9月15日に沖縄で開催したライトライヴが大盛況で終了し、25年間の活動に終止符を打った安室奈美恵。もうすぐ迎える9月20日は彼女の誕生日ということもあり、安室初のバースデーソングであり初のワンカットMVをご紹介します! “誕生日という特別な一日を最高な一日にしたい”という楽曲を表現するためにカラフルでキュートなセットを用意し、朝起きてから夜のパーティーまでの“主役の一日”を撮影。安室がドレスに着替えるシーンは何度もリハーサルを重ねるほど苦戦したとのことだが、服装だけではなく髪型までもアレンジして再び登場する注目のシーンとなっている。撮影は一発オーケーで終了し、ラストはダンサーたちと喜ぶひと幕も。フルバージョンで観られるセットの全体像も注目ポイントなので、気になる方はDVD/Blu-ray付きのアルバム『_genic』をチェック!
TEXT:千々和香苗
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