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“全然別の空気が宿っている”―6度目の日本武道館ワンマンに臨むACIDMANが語る武道館への想い

ACIDMANが7月13日(金)に行なう日本武道館公演を、WOWOWで8月24日(金)に全曲ノーカットで放送されることが決定した。彼らにとって6度目の武道館ワンマンは、およそ3年ぶりに行なったツアーのファイナルであると同時に、結成21年目の新たなスタートを印象づけるものになるに違いない。大木伸夫(Vo&Gu)に、その意気込みを訊いた。

――今回の武道館公演は『ACIDMAN LIVE TOUR “Λ”TOUR』のファイナルだから、ツアーの延長ではありながらも、特別なものになるのではないかと期待しています。

「ツアーの初日だったZepp Tokyoも含め、いろいろな場所でやらせてもらってますけど、武道館って全然別の空気が宿っていて、非常に精神性が高い気がしちゃってて。神社とかお寺とか、そういう場所に宿っているような空気感がある。そもそも音楽をやる場所じゃなくて、武道をやる場所なので(笑)。そこでやるからこその意味合いを考えると、非常に精神性が高い『Λ』ってアルバムの楽曲を演奏するには相応しい場所なんじゃないかと思います。だから、武道館に対する意気込みは、自分としてはただのツアーファイナルではないんですよ。やっと、そこで『Λ』というアルバムが、どう届くか答えが見えるような気がしています」

――じゃあ、今回のツアーファイナルは他にある選択肢の中からあえて武道館を選んだと?

「そうですね。初めて武道館でワンマンをやった時から、その魅力に取り憑かれているんです。だから、やりたいと思ったところもあるし、前から改修工事になるという噂もあって、そうなったらしばらくできなくなるし、どんな形になるかわからないですけど、(工事後は)今の武道館じゃなくなるわけじゃないですか。だから、今の武道館でやれるのは最後のチャンスなのかなと思って、絶対やりたい!っていう気持ちは2年ぐらい前からずっと思ってました」

――さっきおっしゃっていた武道館に宿っている“全然別の空気”について、もうちょっと教えてください。

「神社やお寺に行くと、誰でもちょっと“凛”とするじゃないですか。見た目も含め、武道館にはそれと同じようなものを感じるんです。お客さんとして行っても、せり上がっているスタンド席に座ると、凛とするんですよ。ひとりひとりの集中力が高まる場所になっている気がして。ステージに立つと、そびえ立つ壁のように目の前にお客さんがいるので、その“気”をめちゃくちゃ感じるんです。それは他のライヴハウスにはない景色なんですよ。そこにはお客さんの“気”が宿っている」

――おのずと演奏も変わってくるわけですね。

「全然違いますね。“武道館を俺たちの場所にするぞ”って意気込みじゃ絶対ダメで。だからって、“お邪魔します”もダメ。深呼吸して大きな気持ちになったら、こういうことかって分かったような気がしたんです。上手く言葉にはできないけど。とはいえ、まだ5回しかやっていないから、どれが正解なのかも分からない。今回の武道館はそういう深呼吸のような気持ちで臨もうと思っています」

――“武道館をライヴハウスに変えにきました”と言うバンドはいるけど、そういう考え方とは全然違うんですね。

「そう。もっとライヴハウスに向いている曲ばかりだったら、そうなるかもしれないけれど、僕らの音楽は精神性の高い曲が多いから。もっと溶け込んで、大袈裟な話、神様がもしいるとして、神様だって僕らと同じ価値観を持っていなければ、僕らは生まれなかったんじゃないか?ぐらいの畏怖の念は感じつつも、僕らだって人生を生きているひとつの生命体なんだと。僕らにだって生き方として正しいものはあるんじゃないか。…そういう考えとでも言えばいいのかな。全体の流れは『“Λ”TOUR』と変わらないと思うんだけど、やっている僕らの気持ちも含め、観に来てくれるお客さんも全然違うものとして受け止めてくれるんじゃないかと思いますね」

――どんなライヴになるのか、さらに楽しみになってきました。ところで、大木さんはお客さんとしても武道館に足を運んでいらっしゃると思うのですが、お客さんとしての武道館の思い出は何かありますか?

「初めて武道館でライヴを観たのが、長渕剛さんの『LIVE JAPAN ’93』。中学校3年生の時で、友達とふたりで行ったんだけど、埼玉から東京に行くことだけでも不安で。“九段下”なんて聞いたこともない駅で降りて、歩道橋を渡ってる時、長渕剛さんが道ばたで歌っているのが見えたんです。その頃、僕らは何の知識もなかったから、もうびっくりして、“長渕剛が歌ってるよ!”って歩道橋を駆け下りたら全然違ってて…。そっくりさんが10人ぐらい(笑)。そういう経験もさせてもらったのが武道館です」

――(笑)。ツアーファイナルではありますが、同時に21年目のスタートという意味合いもあるのではないでしょうか?

「それは意識しています。昨年、さいたまスーパーアリーナででかいフェス(ACIDMAN presents『SAITAMA ROCK FESTIVAL “SAI”』)をやらせてもらって、それが自分たちの足跡や足元を見せてもらえる場所になったんですよね。これからは自分たちで歩いていくだけなので、その21年目の形として、いい提示ができたらいいと思うし、もちろんどうなっていくかわからないけど、今のところ僕の思想は変わらないので、このままやっていくぞ!っていうひとつの決意表明の場所になればいいなと思ってます」

――武道館公演の模様が8月24日(金)にWOWOWで全曲ノーカットで放送されますが、どんなところが観どころだと?

「まだ、やってないから分からないけど、ちゃんと歌えて、清く正しく美しくやれてれば(笑)、どこを観てもらってもいいかな。生放送だととんでもないことを言ってしまったら取り返しがつかないけど、今回は生ではないからそこは安心してます(笑)」

取材:山口智男

■『ACIDMAN LIVE TOUR “Λ”』

7月13日(金) 東京・日本武道館

■WOWOWライヴ放送日:8月24日(金)22:00

※番組詳細は、WOWOWオンラインにて「ACIDMAN」で検索!

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