9人組ミクスチャーユニットのSUPER★DRAGONが5年前に初ライブを行った9月27日に、結成5周年のアニバーサリーライブを昼夜二部制で開催した。昼はトークも交えながら、披露する曲をファンからのリクエストで決めるという賑やかな『PARTY -Lunch Time-』、夜は純然たるライブパフォーマンスと映像で、5年間の歩みと集大成を見せる『CEREMONY -Dinner Time-』と、まったく趣向の異なる2公演をニコニコ生放送でオンエア。5年間で得た喜怒哀楽を惜しみなく出し尽くしたパフォーマンスと言葉で感動を呼び、終演後には12月23日にNewミニアルバムをリリースすることも発表して、観た者すべてにこれからもSUPER★DRAGONと共に歩んでゆくことを誓わせた。
シャツやデニムといったラフな出で立ちで、野外の開放的なオープンスペースから9人が届けたのは、12時開演の『PARTY -Lunch Time-』。ここでは、さまざまなお題に対してコメント機能でのリクエストやアンケート機能での投票を募り、その結果に沿ってその場でセットリストを決定するという、見た目も内容も実にカジュアルなムードでライブが進められた。つまり、すべてが即興でのパフォーマンスとなるわけで、例えば“お昼休みに聴きたい曲”という質問で選ばれた「ワチャ-ガチャ!」では、「メチャ久々」「立ち位置全然覚えてない」と戸惑うメンバーに、“頑張って!”のコメントが飛ぶ一幕も。曲を終えて田中洸希が「本物のワチャガチャだよな」と呆れる一方、全く迷うことなく完璧に踊り切った飯島颯は、そのズバ抜けた記憶力でメンバー&ファンから称賛を浴びていた。
また、“女子アイドルになりきって”というオーダーでのヘヴィロック曲「BADASS」では、自らのキャピキャピぶりに爆笑して踊れなくなるメンバーを後目に、池田彪馬がまったく動じぬプロの技を披露。“赤ちゃんで”「WARNING」という無茶な注文には、床を這い回って泣き声をあげる9人に“カオス!”“ホラー!”の文字が飛んだりと、普段のライヴでは絶対に観られない姿をさらけ出してゆく。かと思いきや、終盤は本気のパフォーマンスで観る者を圧倒。「Ringing, Love」では夏風に乗せてヒリつくような恋心を、「La Vida Loca」ではワイルドに荒んだ情熱を、「Endless Dance」では爽やかに夢への希求を謳い上げて、コメント欄を“ギャップやばい”とざわつかせてみせる。平均年齢18歳という青少年の等身大で楽しませながら、最後にアーティストとしての貫禄を垣間見せる彼らに、画面上には “出会えてよかった”“5周年おめでとう、そしてありがとう”と感謝の言葉が並んだ。
そして、19時になると歴代のライブ映像で5年間の歩みを振り返りつつ、最年長の志村玲於を筆頭に、スーツの正装に身を包んだメンバーが一人ずつ入場。全員が揃うと古代ギリシャ風の円柱とドレープ幕が神聖なムードを醸すステージで、9人は「Monster! (Remix)」から『CEREMONY -Dinner Time-』の幕を開いた。トロピカルな趣きのあるサウンドに乗せ、どうにもならない恋情をセクシーに歌いながら“刹那のキス”を指先から飛ばす彼らのアダルトなムードに、コメント欄は“お昼と違いすぎ”と一気に動揺。さらに、古川毅が余裕たっぷりの笑みを浮かべて歌う「WARNING」では、最年少の柴崎楽に至るまで汗と憂いを滲ませ、「LRL -Left Right Left-」では蒼い影を落とす照明の下、一糸乱れぬユニゾンダンスが獲物を狙う猛獣のように鋭い牙を剥くのだから、“大人なスパドラに心臓が耐えられない”とコメントが流れるのも納得だ。
序盤3曲で精気をすべて吸い取られたような心地になっていると、ここで5年前の初ライブ映像と、当時を振り返るメンバーのインタビュー映像が。ライブの各ブロック、こうしたインタビュー映像がMCの代わりに挟み込まれていたのも『CEREMONY』公演の特徴で、彼らが歩んできた5年間の歴史とメンバーの本音を知るのに大いに貢献していた。さらに、初ライブで「HACK MY CHOICE」を披露する幼い9人に今の9人が重なって、そのまま「HACK MY CHOICE」を引き継ぐという配信ならではの演出は鳥肌モノ。ステージから降りてレッドカーペットを進む9人は身体もパフォーマンスのスケールも桁違いに大きくなって、5年間の成長をストレートに実感させる。これまた初期曲の「BAD BOY」では、順番に掌を突き出す特徴的な振りを一人ずつ舐めるように映し出す躍動的なカメラワークに、思わずゾクリ。直接会えないからこそ、代わりに何ができるか?ということを極限まで考えていることが、そんなところからも伝わってくる。
バク転、振り付け、デザイン、ヒューマンビートボックス、デスボイスなど、5年間で挑戦してきたクリエイティブについて各メンバーが話したインタビューに続いては、そこでジャン海渡が自ら制作に関わったと語った「New Game」をプレイ。昨年夏の野音ツアーではジャン、田中、松村和哉のラッパー3人でパフォーマンスしていたが、今回は初めて9人全員によるダイナミックなフォーメーションで魅せ、最後にジャンの精密なアニメーションダンスが目を奪う。そして暗転したかと思いきや、ボーカル二人のみで贈る幻の名曲「Song For You」を待望の初披露! レッドカーペットの上、背中合わせに座った古川と池田が二人で涙腺直撃の卒業ソングを歌いあげ、2番から向き合うという演出も実に粋だ。少し照れたように視線を外す二人のエモーショナルな歌唱は、ステージ上で踊る7人に合流しての「Summer Breeze」でも引き継がれ、二人の甘いボーカルと3人の男らしいラップが、ひと夏の恋を緩急豊かに描いてゆく。そして、愛しい人との別れを歌うR&B曲「Bring Back」では、過去のライブ映像も交えて愛しきMemoryを喚起。もう泣くしかないところで、余韻をぶった斬るように8月に配信された新曲「SAMURAI」を投下し、シュールな“SAMURAI”ダンスで情緒を右から左へと振り切るのだから恐れ入る。しかし、淡々としたリズムで江戸へのタイムスリップを描くこの曲もまた、ラストフレーズには“また逢えない人はいないから 泣かない”と綴られており、今、この状況下で伝えるべき曲であることに間違いはないのだ。
ここで、東方神起や三浦大知らの楽曲を手掛けていることでも知られるUTAをサウンドプロデューサーに迎え、9月23日に配信リリースされた最新曲「Burning in the night」を初パフォーマンス。まずは志村から始まる9人のソロダンスを、カメラを順々にバトンリレーしながらメンバー同士で撮影するというアクロバティックなダンストラックで驚かせた次の瞬間、田中のエモな歌声が一気に幻想的な世界へと観る者を誘う。そのまま古川、池田と歌い継ぎ、ジャンから松村とラップを繋ぐ壮大かつ神秘的なナンバーは、月夜を脳裏に浮かばせる、まさしく夜の曲。ダンスアクトは冷たい闇夜に秘められた熱情を表すようで、“明けない夜はない”“音楽で死ぬならば本望”と核心に切り込んだリリックを、より切実に感じさせてくれる。曲前のインタビュー映像で、“5年で学んだことを反映させながらメンバー全員で創り上げた”“振り付けも過去最高難易度”“5年間の集大成”とメンバーが語ったのも完全に納得。神聖なオーラすら感じさせる楽曲で、わずか2分半ながら鮮烈な印象を与えてくれた。
そんな緊張感を緩めるように、次のブロックでは年長組のファイヤードラゴンと、年少組のサンダードラゴンが、交互にユニット曲をパフォーマンス。まずはサングラスをかけたファイヤードラゴンの4人が「On My Way」をファンクに贈り、飯島のラップはもちろん、熟れたジャンのラップにフェイクの利いた古川のボーカルと、SUPER★DRAGONでは聴けないオシャレなフィーリングで楽しませてゆく。一転、廃墟のように組まれたトラスをバックに、サンダードラゴンがレゲエな「Caravan」でヤンチャ感も残しながら身体を揺らすと、ファイヤードラゴンの「Drive Me Crazy」では古川とジャンがツインボーカルで聴かせ、普段はラップ担当のジャンの美声にコメント欄は沸き返るばかり。そこに志村と飯島がダンサーとして入り、ストーリー性のあるダンスで苦しい恋心を体現すれば、今度はサンダーの5人が「真冬の熱帯夜」で全員高校生とは思えない色気を放ち、“心臓止まるかも”とコメント欄に救急車を走らせた。SUPER★DRAGONとファイヤー&サンダー、異なる音楽性を持った3グループがそれぞれのベクトルで進化できるのも、彼らの強みの一つだろう。
「SUPER★DRAGONの強みは9人でいること」(飯島)、「辛いとき、楽しいとき、あなたの人生にSUPER★DRAGONが寄り添っていけたら」(柴崎)、「これからも進化は止まらない、ファンと共に歩んでいきたい」(田中)、「悩みを解決できる歌を届けていきたい」(池田)等々。SUPER★DRAGONへの想いをそれぞれが率直に伝えたインタビューを経ては、ワンカメラでメンバーの動きを追いながらロックチューンを畳みかけて、一気にクライマックスへ。「SWEET DEVIL」では廃墟セットをバックに攻撃的なラップを届けながら、キャッチ―なサビでは一気にターンして荘厳なステージを後方に臨ませ、天まで突き抜けるような爽快感を味あわせるという、心憎い映像マジックも。松村の煽りで繋いだ「Mada’Mada’」では輪になった9人の内側にカメラが入って360度ぐるりとメンバーを捉え、さらに獣の声が轟くなか、中止になった春のツアー『九龍領域』で披露するはずだったソロダンスでファンを歓喜させる。9人いずれも攻撃力の高いアクションで、まさに昇竜の勢いを見せたが、中でも昼公演で最も赤ちゃんぶりが様になっていた伊藤壮吾の男らしさ全開のパフォーマンスには、コメント欄も騒然。また、志村は見せ場のジャンプをレッドカーペット上でのアクロバットに変えて、こちらも喝采を受けていた。トドメとばかり「画面の奥のお前ら、まだまだブチあがっていけるよな!」とジャンが煽り立てれば、ライブ鉄板曲「Untouchable MAX」で視聴者のアドレナリンを沸騰。真っ赤な照明の中で田中のヒューマンビートボックスも冴えわたり、マシンガンをブッ放すミリタリーな振りで、観る者の心を確実に撃ち抜いてゆく。
開演から1時間半。ここでようやく初めてのMCが設けられ、「ここまで喋らずにライブやったの初めて」と柴崎も息を切らせる。飯島も「熱量がすごい!」と手で扇ぎつつ、「5周年の式典なんでドレスコードがありまして」と、今日の衣装がスーツな訳を話してくれた。続いて5周年を迎えての想いをそれぞれが口にするにあたり、異口同音に伝えたのが「こんなに続くと思っていなかった」、そして「周りに恵まれた」ということ。ジャンは「この9人でいる時間が当たり前になったので、5周年という響き自体が感動する」と語り、松村は「踊ることを好きになれたのも、ラップという楽しい世界に連れて行ってくれたのもSUPER★DRAGON。今日「HACK MY CHOICE」を最初に披露したときと変わらないメンバー、歌割り、フォーメーションでやれたことを自分でも誇らしく思う」と胸を張った。また、結成当時に比べて身長が30センチ以上も伸びた柴崎は「5年間でここまで大きくなりました。皆さん本当に大好きです!」とカメラを見つめ、志村は「SUPER★DRAGONをやる前はこの仕事をやめようと思っていたけれど、好きなことをあきらめるのは本当に辛くて、もう一度頑張ろうと思えた。SUPER★DRAGONという存在が自分の人生を変えた」と、メンバーにも話していなかった秘話を告白。さらに、池田が「人付き合いが本当に苦手で、すぐに殻に籠もってしまう自分をSUPER★DRAGONが変えてくれた。楽しくて、やり甲斐を感じてないと5年も続けられない」と感謝を示せば、田中も「パフォーマンスが苦手で人前に立つことが嫌いだった自分が、やっていくにつれてスイッチが入っていった。ずっと、この9人でやっていきたい。SUPER★DRAGONと一生離れたくない」と、アグレッシヴでスキルフルなパフォーマンスからは考えられない内気な言葉でファンを驚かせる。一方、飯島は「SUPER★DRAGONという家族に生まれて本当に良かった。今は無観客で皆さんの声も拍手も目に見えないけど、僕たちの心の中には皆さんの愛があるので。どんな状況でも僕たちは強い愛で結ばれています」と断言し、鉄道タレントとしても活躍する伊藤は「僕にとっての鉄道が皆さんにとってのSUPER★DRAGONであってほしい。辛いとき苦しいとき、SUPER★DRAGONの音楽やライブに触れて元気になってくれたら僕は幸せ」とニッコリ。そして最後に古川は、言葉を選びながらこう告げた。
「無観客っていうのはすごく寂しいけれど、その中でこれだけ熱くなって自分たちがSUPER★DRAGONという存在を楽しみながらやれている、その感覚を更新し続けられているのが怖いくらい幸せです。SUPER★DRAGONを一人の人間に例えたら、僕ら成長期なんですよ。だからいろんなことで悩んだり焦ることもあるけれど、10代が6人もいる成長期なんで、もう未来しかない。僕らまだまだ自分たちに希望しかないです。なぜかというと、いろんなものひっくるめて俺たちがSUPER★DRAGONだからです。しっかり自分たちの道を切り拓いて、まだ見ぬ世界に羽ばたいていきたいと思います」
話し終えると、間髪入れずセリフタイトル曲「SUPER★DRAGON」のイントロが鳴り、池田が“俺たちが時代を変える”と力強く歌い上げる。レッドカーペットを進んでステージへと戻り、全員一丸となってのユニゾンダンスを繰り広げる9人の覚悟に満ちた表情を、カメラは誰一人逃すことなく映し出していた。そして「この先もずっとずっと僕ら9人で変わらない目標、夢、希望に向かって突き進んでいきたいと思います。これからも肩組んで支え合ってBROTHERHOODしていきましょう!」と古川が吐き出して、仲間同士の絆を歌う名曲「BROTHERHOOD」へ。9人がサビで掲げるSUPER★DRAGONのハンドサインが目から、田中とジャンのビートボックスバトルが耳からエモーションを高め、大サビのメンバー同士肩を組む場面では9人でカメラを囲み、まるで画面の向こうにいるファンと肩を組むかのようにカメラに向かって腕を伸ばす。そんな感動的な光景に“涙が止まらない”“5年間の全部がファンにとっても宝物”とのコメントが流れ、9人が決意の拳を突き合わせると『CEREMONY』の幕は閉じた。
配信ライブとしては破格の2時間超えで、5年の歴史を振り返る映像や躍動的なカメラワークを駆使した充実のライブで痛感したのは、9人が力を合わせ一丸となって挑む姿。昼公演では11月のオフィシャルカレンダー発売が告知されたが、夜公演のエンドロールの最後には12月23日にNewミニアルバム『Burn It Black e.p.』がリリースされることも発表された。常に限界へとチャレンジし、予想を裏切り期待に応えるスタンスを、この日のライブでも証明してくれたSUPER★DRAGON。CDとしては1年ぶりのリリースとなるこのミニアルバムも、どれだけ期待してもしすぎることはないと信じている。
photo by 笹森健一
tetx by 清水素子
【セットリスト】
■『SUPER★DRAGON 5th Birthday ONLINE LIVE 「PARTY -Lunch Time-」』
M1. SHOPPING TIME
M2. 雨ノチ晴レ
M3. ワチャ-ガチャ!
M4. ZEN-SHIN-ZEN-REI
M5. Jacket
M6. BADASS
M7. WARNING
M8. Ringing, Love
M9. La Vida Loca
M10. Endless Dance
■『SUPER★DRAGON 5th anniversary ONLINE LIVE 「CEREMONY -Dinner Time-」』
M1. Monster! (Remix)
M2. WARNING
M3. LRL -Left Right Left-
M4. HACK MY CHOICE
M5. BAD BOY
M6. New Game
M7. Song For You
M8. Summer Breeze
M9. Bring Back
M10. SAMURAI
M11. Burning in the nights
M12. On My Way
M13. Caravan
M14. Drive Me Crazy
M15. 真冬の熱帯夜
M16. SWEET DEVIL
M17. Mada’ Mada’
M18. Untouchable MAX
M19. SUPER★DRAGON
M20. BROTHERHOOD
ミニアルバム『Burn It Black e.p.』
2020年12月23日(水)発売
【Limited Box】(CD+Blu-ray)
ZXRC-2073/¥5,500(税別)
仕様:CD&Blu-ray / ワンピースBOX / ZINE(60P)
<収録曲>
■CD
SUPER★DRAGON
SAMURAI
Burning in the nights
+
新録楽曲2曲
+
BROTHERHOOD 2020ver. ※Limited Box限定収録
■Blu-ray
廃工場LIVE「SECRET BASE」Live Music Video
01. Strike Up The Band
02. hide-and-seek
03. ゲットレジャーニー
04. BLODDY LOVE
05. My Playlist
06. Set It Off
07. Remedy For Love
08. SAMURAI
09. SUPER★DRAGON
10. BADASS
11. The Survivor
12. BROTHERHOOD
【通常盤】(CD)
ZXRC-2074/¥2,000(税別)
仕様:CD / ジュエルケース / Booklet (16P)
封入:トレーディングカード(1枚入り/全10種ランダム)
<収録曲>
SUPER★DRAGON
SAMURAI
Burning in the nights
+
新録楽曲2曲
◎法人別オリジナル特典
ポストカード(HMV、TOWER RECORDS、amazon、楽天ブックス 全4種)
配信楽曲「Burning in the nights」
2020年9月23日配信
https://ssm.lnk.to/Burninginthenights
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