マヒロの卒業への意向を受けて、トーマ、リュウト、ジョーを含めたメンバー全員の卒業とグループの終了を発表したMAGiC BOYZ。そのグループとしてのラストライヴとなる『MAGiC BOYZ iTTAN FiNAL』が、7月16日(月)に行われた。40度近い炎天下の中、会場となる渋谷SOUND MUSEUM VISIONのある道玄坂にはホーミー(マジボ・ファンの呼称)による長蛇の列ができ、マジボとしての最後の勇姿をその目に焼き付けようというホーミー達が、その開場をいまかいまかと待ちわびる。
BGMとして流れていたマジボのフルアルバム『第一次成長期~Baby to Boy~』が鳴り止み、舞台裏から4人のライヴ前の掛け声が聴こえると、会場を埋め尽くした超満員のファンからは大きな歓声が上がった。ライヴは、彼らのデビューシングルである「MAGiC SPELL~かけちゃうぞ!ぴっぴっぴっ~」からスタート。メンバーもMVやCDジャケットで着用してたマントを身に着け、過去と現在を結びつけるような演出で登場。
続く「マジボのテーマ~Baby to Boy~」ではDJジョーはターンテーブルでのスクラッチでスキルをアピールし、その成長ぶりを見せる。トーマの“これがラスト・ライヴ、最後までついてこい!”というシャウトから「illson feat.NIPPS、オカモトレイジ(OKAMOTO’S) 」へ展開すると、スクリーンにはトーマ、リュウト、マヒロの3人が中学生の頃に撮影されたMVが映し出され、まだまだあどけない表情を見せる映像の彼らと身長やラップスキルなどすべての面でパワーアップした舞台上の姿がオーバーラップする。
ベテランラップグループ・餓鬼レンジャーとのコラボで制作された「10000000000YEN」での、ジェラルミンケースから取り出した札束をメンバーが客席へ投げるパフォーマンスや、EAST END×YURIのYURIをフィーチャリングしたことも大きな話題となった「パーリーしようよ」での丹念な聴かせるラップなど、これまでのコラボワークを披露していくマジボ。
その中には「Disの極みメガネ」ことDOTAMAとのコラボで制作されたマヒロがソロを取る「イラッとするコト」、静岡出身のトーマがソロでお茶の良さを広めるDJみそしるとMCごはんとのコラボ曲「お茶の国から」、“これまでのことが無駄じゃないってことをここで証明するぜ!”というシャウトに相応しい、これまでのマジボでの経験を活かしたリュウトの高いラップスキルが光るSKY-HIとのコラボ作「1,2,3」など、メンバーのソロ楽曲でもこれまでの経験をオーディエンスに見せていく。
ここまで40分で13曲を披露するタイトなライヴを進行させた、汗だくのメンバーが一旦退場すると、会場のスクリーンには2014年11月24日の『EBiDAN39&KiDS 星男祭2014』でのマジボとしてのデビューライヴから、2016年3月の『リアル中2 卒業パーティー』でのフウト、ユウトの卒業映像、『カニへ西へ』などの自主イベント、そして『申し訳AFTERNOON』や『M/E/G/A』などの武者修行的なライヴまで、これまでのマジボの歩みが映し出される。
アディダスのセットアップという、由緒正しいヒップホップスタイルに着替えて舞台に登場したメンバーは、『モンストカードゲーム』のルールソングとして制作されYou Tubeにアップされている「YAREBA.E.JAN.HOKA-GO」を披露し、再びライヴをスタートさせる。“ホーミー、『iTTAN FiNAL』楽しんでるか!”という掛け声からアッパーな「DK GO!!!」になだれ込み、会場からは“ちょっと男子!”という曲中でのコールが上がる。
トーマの“僕らの曲が聴けるのはこれが最後!”というシャウトに続いて、Migosなどの最新のTRAPミュージックマナーを取り入れた「俺の髪は黒」を披露。この曲や「DK GO!!!」「Do The D-D-T!!!」など、J-POPの皮をかぶりながらTRAPやLeftfield Bass、JUKEなどを取り入れた異常に先端性の高い楽曲でリスナーを震撼させたマジボ楽曲がが聴けなくなるのはあまりにも惜しい…。
この日で見納めとなる、ジョーとマヒロのツインボーカルも印象的な「でも、ダメ、ゼッタイ」、GAGLEのHUNGERが参加した90’sヒップホップを感じさせる「ON&ON」、日本語ラップシーンの最新系として大きな注目を集めるSUSHIBOYSプロデュース作「O.NE.DA.RI」、改めてこの4人の存在を提示する自己紹介的な「MAGiC RiDE 2017」、そして“中学25年生”として2017年までメンバーとして加入していたZEN-LA-ROCKとの制作で完成したブギーディスコ「Oh!!!受験☆Night Fever」と、これまでのマジボが提示してきた楽曲の幅広さを提示するような、バラエティに富んだライヴは、矢継ぎ早に展開していく。
そして“成長期!”という大きなコールが会場から上がる、マジボ随一のアッパー楽曲としてライヴの定番となっている「DO THE D-D-T!!!」にて、ジョーからソロダンスを指名されたのはやはりマヒロ。マジボでは最後となるソロでのダンスを観客に披露した。ほぼMCやインタールードを挟まず、息をつく間もなくここまで25曲を披露したメンバーは、ハードな展開と会場の熱気で息も絶え絶え。しかし、その紅潮した顔にはスッキリとした充実が感じられる。
ステージ上にはマジボを最初期からラップやリリック面でサポートしてきたBUDDHA BRANDのNIPPSと、同じくマジボのサポートを手がけたラッパーのVIKNが登場し、メンバーに卒業証書が渡され、マイクがメンバーに回される。
ジョーは“マジボに入って2年、他のメンバーより経験は少なかったと思うけど、思い出を積み重ねてこれたと思います。これからも新しいグループでラップやDJは続けていくんで、応援して下さい!”、マヒロは“マジボとして学ぶことが本当に多かったです。大変なことも沢山あったけど、それを上回って、楽しいことが多かったし、この4人だったから、ここまでこれたと思います。この3人は新しいグループでもっと大きくなっていくと思うし、僕も僕自身として、頑張っていきたいと思います。今日はありがとうございました”とコメント。
リュウトは“俺とトーマはマジボを中1で始めて。グループが始まった時は、なにも自主性が無かったけど、マジボでの経験を通してヒップホップが本当に好きになったし、マジボとしてステージに立てることが本当に嬉しかった。この活動が出来て本当に良かったし、ホーミーさんやコラボしてくれたアーティスト、スタッフ、そしてメンバーに本当に感謝しています”、トーマは“今日でマジボというグループは終わりますが、みんなで楽しくライヴが出来たのは本当に嬉しかった。3年半前のグループ結成当初は、不安な気持ちもあったけど、ホーミーの皆さんと一緒に、マジボのスタイルが確立出来たと思います。脱退や加入など、皆さんを驚かす事も多かったと思うけど、ホーミーさんがいなかったらここまで来れなかったと思う。本当に愛してくれてありがとうございます”と、それぞれがグループへの思いを言葉にした。
そして3MCは背中を合わせて、ラストソングとなる「3.141592」を披露。《それぞれの道を歩いていこうよ/終わらない今日は/俺らのMy graduation》という歌詞が現在の彼らの姿と重なり、これまで以上にエモーショナルに響いていく。自然に起こったアンコールでのマジボコールに導かれるようにステージに登場したメンバーは「ありのままでマジボ」、そして彼らの未来をカラフルに彩るような「ハッピーエンドマジック」を披露、“さよならのあとは超ハッピーエンド”という言葉が、彼らの美しい青春とその未来を彩っていく。
鳴り止まないアンコールの中で行なわれたダブルアンコールでは、そういったしんみりした空気はマジボ似合わないとばかりに「Do The D-D-T!!!」で再び会場をダンスフロアーに変え、彼らのマジボへの想いをぶつけるようなラップと熱気で会場を包んでいく。トーマの“以上、僕らが中学生と高校生のラップグループ、MAGiC BOYZでした、ありがとうございました。バイバイ!”という言葉で、会場を後にするマジボ。
そして、マジボとの別れを惜しむホーミー達が見つめる会場のスクリーンには、新ユニットの発表という告知が映し出される。そこには、TOMA、RYUTO、JOEによる新ユニット“HONG¥O.JP”の結成と、7月17日(火)0時より配信されるデビュー曲「Just Do It」の発表、そしてカリフォルニアで撮影されたMVが流され、その映像が終わると会場からは新ユニットへの期待への歓声と拍手が自然に発生した。
それぞれの新しい道を歩みだした4人。彼らの未来は明るいと感じさせられる充実の、そして煌めくような友情と青春が胸に響くラストライヴはこうして幕を閉じた。
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