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【INTERVIEW:向井太一】フィルターをなくしルーツを解放した最新作

コラボレーション企画『G-NEXT』の第4回は、昨年1stアルバム『BLUE』をリリースした向井太一。さまざまな愛をテーマとして脈々と受け継がれるブラックミュージックをベースに自身のルーツも織り交ぜながら、新しくてどこか懐かしさもある配信限定EP『LOVE』が完成した。

日本工学院専門学校×GYAO!×OKMusic Presents

【G-NEXT POWER PUSH ! #4_INTERVIEW:向井太一】

——配信限定EP『LOVE』は“LOVE”がテーマとのことで。

「音楽活動をしながら感じるのは人とのつながりで。今まで何気なく支えてくれている家族や友達、恋人といった人とのつながりを再確認する機会が最近すごく多くなっていたんです。そこで、“LOVE=ずっと大切にとっておきたい気持ち”をコンセプトにしようと。例えば、「HERO」は兄のことを歌っています。兄が福岡で実家を支えてくれるおかげで、僕は上京して好きな音楽をやることができているんです」

——「HERO」や「FURUSATO」の歌詞には《ありがとう》という言葉が出てきますが、《ありがとう》と歌うことに照れを感じる人も多いですけど。

「以前は抵抗感がありました。ジャンル的にも“この言葉はダサい!”とか思う部分があって、フィルターをかけるように言葉を選んで作詞をしていたんです。最近はそういうフィルターをなくして、思ったことやふと口から出たような言葉を素直に歌詞として落とし込むようにしています」

——「FURUSATO」の冒頭には虫の音が入っていて、夏休みの実家を思い出す感じでした。

「僕の地元は田舎なんですが、デビューしてからキャンペーンなどでちょくちょく帰るようになって、改めて故郷の存在の大きさを感じました。気持ちのリセットじゃないけど、故郷が自分の心の拠り所になっていることを実感しています。こういう曲を初めて書けたのは作詞の変化も同様ですけど、視野が広がったのかなと思いますね」

——編曲にはtofubeatsさん、grooveman Spotさん、CELSIOR COUPEさんが参加していますね。

「デモができた段階でアレンジャーを誰にするか会議をしました。tofuさんは何度かライヴでご一緒させていただいて曲も大好きだったので、いつか制作でもご一緒したいと思ってたんです。tofuさんは新しさと懐かしさのバランスを取るのが上手な方なので、tofuさん以外にいない!と丸投げしてできたのが「Siren」です。ちょっと懐かしさがあるファンキーサウンドがカッコ良いです」

——どの曲も昔ながらのブラックミュージック感と最新のクラブの感覚が上手い具合に融合していますよね。

「前前作のEP『24』は海外で流行しているオントレンドなサウンドを積極的に取り入れて、トラック先行で聴かせる楽曲がメインでした。それ以降、ライヴを重ねるうちに言葉の大切さを感じるようになって、僕の中で昔に戻ったじゃないけど…実は高校生の時に歌謡曲にはまっていた時期があったんです。通っていたのが音楽系の学校で、授業を通して昔の歌謡曲に触れる機会があって。例えば坂本九さんが歌った「上を向いて歩こう」は歌詞だけを読むと明るいけど、曲と一緒になると泣きそうになるのを堪えながら笑っているイメージが伝わってくるんです。言葉の裏に湿度のある人間的な部分が隠されていて、聴き手の環境や感情で聴こえ方が変わるところが日本語詞の面白いところで。そういう視点は今作を作る上ではすごく重要でしたね。だから、今作は新しい部分もあるけど、自分自身のルーツ的な部分もふんだんに盛り込んでいます」

——「MALIBU」はレゲエですが、こういうルーツも?

「実は僕が母親のお腹にいる時に、レゲエを聴かせていたそうです(笑)。サウンドは野外フェスに似合いそうだけど、歌詞はマイナスの部分をプラスに変えていくようなメッセージを込めています。“MALIBU”というタイトルは、行ったことないんですけど、完全にイメージで付けました(笑)」

取材:榑林史章

■【STUDENT INTERVIEW】 ライヴで歌って初めて曲が意味を持つ

——“自分は音楽が好きだな”と思い始めたのは、いつ頃だったんですか?

「小学校の高学年くらいです。その時は“自分の好きな音楽以外は全部ダサい”と思っていて(笑)。とにかくブラックミュージックというか、R&Bが好きだったんです」

——その頃から意識して音楽を聴いていたのでしょうか?

「当時、アーティストになりたいとは思っていなくて、漫画家になりたかったんです。漫画を描きながらゴリゴリのブラックミュージックを聴く、みたいな(笑)」

——学生の頃は何か音楽関係の活動はされていたんですか?

「まったくしていなくて。でも、通っていた中学の文化祭で初めてステージに立ったことが最初のきっかけですね」

——それがファーストステージだったわけですね。

「そうですね。会場も体育館なんで結構でかくて、音響とか照明に関しても業者が入っていて、そのしっかりとした環境の中で初めて人前で歌いました。全身の毛穴が開く感じというか、高揚感というか、未だに忘れられなくて」

——今は何を意識してライヴのステージに立っていますか?

「ライヴ活動を重ねていくうちにお客さんがどんどん増えて、誰かに対して歌っているという意識がすごく強くなりました。一番自分が変わったと思うのが、目を開けて歌うようになったこと。昔は結構目を閉じて歌っていたんですけど、“誰かに対して歌っている”いう意識が強くなると、目を開けてちゃんとお客さんを観たりだとか…あとは、動き回るようになりました。自分がライヴを楽しめるようになったんだと思います」

——8月からは今作「LOVE」を引っ提げてのツアーが始まりますが、そこに対する意気込みを聞かせください。

「自分の内側にある大切なこととか、今すごく大事に思っていることを楽曲の中で歌っているので、それを色濃くライヴで出せればいいなと思っています。ライヴをする上でずっと考えていることなんですが、楽曲自体をリリースすることが完成形ではなくて、ライヴでやることで初めて完成するというか、ライヴで歌って初めて曲が意味を持つと感じるので、そんなライヴにできればと思っています」

——向井さんは何のためにライヴをやっているのでしょうか?

「ひとつに要約するのはすごく難しくて。それは自分のため、家族のため、付いてきてくれるファンのみなさんのためでもあるし…でも、結局は自分がしたいことをやっているだけだと思います」

——モデルの活動と音楽活動しか選べないと言われたら、どちらを取りますか?

「音楽です。僕がまだ無名だった頃、モデルだったり、コラムだったり、インスタグラムだったりとか、いろんな方面で僕を知ってくれて、そこから音楽を聴いてくれた方がすごく多くて。もちろん取り組むマインドは違うんですけど、最終的に僕の中心にある音楽に辿り着いてほしいという想いは変わっていないので、音楽を選びますね」

撮影:村上大地/取材:林 なな、木村圭汰

(日本工学院専門学校 蒲田校コンサートイベント科)

配信EP『LOVE』

2018年6月27日発売

TOY’S FACTORY

¥900(税込)

『向井太一 “LOVE TOUR 2018”』

8/01(水) 福岡・INSA Fukuoka

8/03(金) 東京・渋谷WWW X

8/05(日) 大阪・Music Club JANUS

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