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首振りDolls ナオ(Dr&Vo)とガラ(メリー)の対談を実施

新型コロナウイルス感染症の拡大防止を図るため、多くのアーティストやバンドが、開催予定であった公演の中止や延期を決めた。今回ゲストに迎えたガラがヴォーカルを務めるメリーもだ。メリーは今年の2月1日にギターの健一が5月を以って脱退する事を発表し、ファンをはじめ、メリーに関わる多くの者達に、その先のメリーの活動を憂虞させた。1度もメンバーチェンジをすることなく結成から19年を迎えたバンドからの脱退の発表は、並大抵の決断ではないことが計り知れる為、受け取る側の心境も相当である。

彼らは後日、5人での最後のツアーを告知したのだが、その直後に新型コロナウイルス感染症の影響等を鑑み全ての業種に自粛が言い渡され、更に4月7日に緊急事態宣言が発令されたことで、“5人での最後の全国ツアー”『5 Sheep Last Tour』の延期を余儀なくされたのだ。他ならぬ“5人での最後の全国ツアー”の延期はガラ達にとって如何なるものだったのか。そして、約1年半前にメンバー脱退を経験したナオは、現在のガラの心境をどう受け止めているのか。今年の2月21日に行われたナオ主催のアコースティックライブ『釘裂〜メリーに首ったけ〜acoustic & talk live〜』(大阪千日前・紅鶴)での共演を振り返りながら、久しぶりにじっくりと向き合って話してもらった。

■こんな時だからこそ、 チャンスを感じていたりもする

――2人が会うのは久しぶり?
ガラ:そうだね。今年の2月にナオにアコースティックライブイベントに呼んでもらって、それからすぐに対談したいねって話になっていたんだけど、コロナで流れちゃって。
ナオ:そうでしたね。本当に何もかもが止まっちゃいましたからね。
ガラ:本当にそうだね。
ナオ:2月21日にガラさんと大阪でアコースティックライブ(大阪千日前・紅鶴で行われた『釘裂〜メリーに首ったけ〜acoustic & talk live〜』)させてもらったあたりも、なんか不穏な空気は既にあっというか。
ガラ:そうね。まだ自粛まではいかずとも、あまり軽視出来ない状況にあることは言われはじめていたからね。ナオと大阪でライブしてから、メリーとして1本都内でイベントやって、3月1日にアコースティックで1人で出て以来、全くライブしてない。ナオは?
ナオ:私は、ガラさんとアコースティックライブをソロでやらせてもらって、28日に首振りDollsで初めて仙台でワンマンをしたのを最後に3ヶ月ライブしてないですね。28日のライブもやるかやらないかすごく迷ったんですけど、初めて行く土地でのワンマンだったんで、ぶっちゃけソールドアウトしていなかったこともあり、ハコの方と相談して、衛生面を強化して頂きつつ、この人数ならってところで最前の注意を払って決行したんです。
ガラ:そっか。でも、ホント、改めて振り返ってみると3ヶ月ライブしてないんだね、俺達。こんなこと無いでしょ? 今まで。
ナオ:無いです無いです。最初、2、3週間ライブが出来ないだけで、“バンド人生の中で、こんなにライブしなかったこと無いよ〜!”って思ってたのに、まさかそこから3ヶ月もライブ出来なくなる状況が待ってたなんて、思いもしなかったですからね。
ガラ:本当だね。今やもう、いつライブが出来るか分からない状態だからね。
ナオ:そうなんですよね。なんか、試されている気すらしてきますよね。
ガラ:そうだよね。変わらないといけない節目に来てるからね。
ナオ:でも、こんな時だからこそ、チャンスを感じていたりもするんです。首振りDollsは、約1年半前にメンバーチェンジがあって、新たにバンドが生まれ変わって、まだまだ始まったばかりのバンドなので、ここからのし上がっていかなくちゃいけないバンドでもあるんですけど、多くの先輩バンドもオーバーグラウンドで活躍されているバンドも、今回の新型コロナウイルス感染症の影響を受けて、同じ状況に立たされることになった訳じゃないですか。こんな言い方したら、おこがましいかもしれないですけど、“出来ること”“やれること”が同じになったというか。この状況の中で、俺たちみたいなのがいろんなことを勉強させてもらいながら、参考にしつつ吸収しながらめちゃくちゃ頑張っていったら、少しでも差が埋められるんじゃ無いかなって。
ガラ:なるほど。たしかにそうなのかもしれないね。この先、今まで通りに我武者羅にライブをやってたらいいっていう時代じゃなくなって行くだろうし、アイディア次第というかね。みんな同列だから。バンド業界だけに限らず、タレントや俳優・女優、全てにおいて同じ状況だから。こんなことって、今まで生きて来た中でも経験のないことだから、誰も正解が分からない。決まった正解なんてないんだろうし。
ナオ:本当にそうですよね。

――本当に全く先が見えないけど、そんな中でも出来ること、やらなくちゃいけないことって、“歩みを止めないこと”だからね。
ガラ:そう。やり続けなくちゃね。
ナオ:そうですね。
ガラ:ナオ達なんて、上京してまだ1年経ってないんでしょ?
ナオ:7月でちょうど1年かな?

――2019年の7月10日の夜中、日付が変わった頃に九州を出発して、ハイエース1台で上京して来たんだよね。今年の7月11日で1年。
ガラ:1年ズレてたらバンドの未来は変わってたね、きっと。
ナオ:ですね。上京出来てなかったですね。でも、きっと、だからこそ、そこにも意味があった気がしてるんです。上京出来たことに意味があったのかなって。
ガラ:本当にそうかもしれないね。全部に意味があるんだと思うよ。

――そうかもね。出逢いにも別れにも意味があるんだと思う。ガラとナオの出逢いにも意味があると思う。今回、新宿を選んだのは、2人が初めて一緒にご飯を食べた場所でもあったからだよね。あれは、2018年の9月だったかな。
ナオ:そう。まだ上京前。初めてガラさんとご飯に行ってもらったのが、新宿だったんですよね。
ガラ:そうだったね。あの日、ナオはずっと俺が飲んでたお酒を、同じペースで飲んでた。それがすごく印象的で。

――そういえば、ガラに“ナオっていつもジャスミンハイ飲むの?”って聞かれたね。ガラに言われるまでそんなこと気にしたことなかったけど、ジャスミンハイ飲んでる印象ないなと思ったから、それをガラに言ったら、“やっぱり。アイツ、俺に合わせて同じお酒飲んでたんだね。同じペースで飲んでたんだよ。合わせてたんだと思う。俺に対する気遣いだったんだと思う”って。私はその言葉を聞いて、ガラもナオもすごいなって思った。そういう気遣いが出来るナオもすごいけど、その気遣いに気づいてあげられるガラは本当にすごいなって。
ガラ:いやいやいや。でも、俺が後輩の立場として気を付けて来たことを、そのときのナオがしてたから気付いたというかね。いろんな若い子たちと飲む機会もあったりするけど、あんまりそういうのなかったから、おっ、って思った。
ナオ:そんな風に思って下さってたなんて、すごく嬉しいです! 私はその日、ガラさんの全ての気遣いに一つ一つ感動してましたからね。一緒に初めてご飯に行ってもらったとき、ガラさんはイベントライブ終わりだったのに、ツアーで東京に来ていた私とのご飯に来てくれて、その後、そのイベントの打ち上げに“仲間紹介してあげるから行こう”って、私を連れてってくれたんですよね。そこには逹瑯さん(MUCCのVo)竜太朗さん(Plastic TreeのVo有村竜太朗)とか居て。そこに私を連れてってくれたのも、ガラさんの優しさだなって感じたんです。次の日、私は逹瑯さんとの対談だったから、緊張しないように、会わせてくれようと思ってくれたんだろうなって。それに、ガラさんの仲間を紹介してくれようとしたんだろうなって思ったら、本当に感動しちゃって。更に、そこのお会計までもこっそり払ってくれてて、更に! 後輩である私がガラさんのためにタクシーを止めなくちゃいけないのに、タクシーを止めてくれて、運転手さんに1万円渡して“この子送ってあげて下さい”って言ってくれて。もぉ、何、このカッコイイ人!? って、すっかり虜でしたからね。その男気に感動したんです!
ガラ:あははは。俺、そんなことしたっけね(笑)。

――ガラ、カッコ良すぎ、それ(笑)。男前だわ〜。でも、ガラらしい。先輩の気持ちも後輩の気持ちも分かる優しさと思いやりを持ってるガラだからこそ、みんなに好かれるし、愛されてるんだと思うからね。
ガラ:いやいや、そんなイイもんじゃないけどね、俺なんか。けど、俺も先輩の背中を見て育って来たから、ナオもそれを後輩が出来たときにしてあげたらいいんだよ。
ナオ:はい! 実は俺、そのときガラさんがタクシーの運転手さんに渡してくれた1万円、今も持ってるんです! 大切に取ってあって。いつか私に後輩が出来たら、その1万円で、ガラさんが私にしてくれたようにしてあげたいなって。
ガラ:うん。それでいいんだよ。

■人間ってダメだなって思うよ。 渦中にあるときは、 俯瞰で見れなくなっちゃうから。

――いい話だね。初めてゆっくり話せたのは2018年の9月だったけど、それ以前にメリーと首振りDollsは共演してるんだよね。
ガラ:そうそう。
ナオ:ガラさんとは2018年の6月に東京キネマ倶楽部でやった、ストロベリーソングオーケストラ主催の【怪帰大作戦〜第6怪『帝都奇譚』】で初めてご一緒させて頂いていたんですよね。もちろん、メリーの存在は知ってましたし、楽曲もカッコイイなって思っていたんですけど、ライブを観たのはそのとき初めてで。本当にめちゃくちゃカッコイイな! って思って。終演後にちゃんとご挨拶したいなと思ったら、ガラさん忙しくて先に出られちゃったんですよね。
ガラ:あー、あのときそうだったね! 誘ってくれたストロベリーソングオーケストラの座長さんには本当に申し訳ないんだけど、歌のレコーディングが間に合ってなくて。先に出ちゃったから、全然話せなかったんだよね。本当に挨拶したくらいだったかな。
ナオ:はい、そうでした。だから、ゆっくりちゃんとお話しさせてもらったのは、そこから3ヶ月後で。そこでガラさんがバンドマンとしてだけじゃなく、人間的にも本当にカッコイイ人だったことを知ることになったんです!

――ガラは本当にいい人だからね。
ガラ:あ、それ。それねぇ、本当によく言われる。いい人すぎてダメなんだって。もっと貪欲になって、人を蹴落としてでも上に這い上がろうとするくらいじゃなくちゃ、この世界ではやっていけないんだって言われる。
ナオ:俺なんて、まだまだガラさんとの付き合いは浅いと思いますけど、そんな俺でもガラさんが優しすぎるくらい優しい人なのは伝わって来ますからね。本当に絶対にこの人は、人を蹴落とすようなことはしない人だなって。こんなこと言うのは失礼に当たるかもしれないけど、人の為に自分が損をする人だなって思うくらいいい人。本当に優しいなって思うんです。
ガラ:よく言われる(笑)。
ナオ:けど、こうやって深くお話ししてもらうようになる前は、めちゃくちゃ怖い人っていう印象でしたけどね。九州にいた頃にメリーといえば、もうそりゃ誰もが知ってる有名なバンドだったけど、墨汁吐いてて喋らないイメージが強かったから、本当に怖かったですもん。
ガラ:喋るとボロが出るからね、俺(笑)。

――良い人が出ちゃうからね(笑)。
ガラ:そうそう(笑)。
ナオ:でも、なんやろ。俺、ガラさんが何かの為に俺を蹴落とすようなことがあったとしても、俺はガラさんのこと嫌いになれないです。今、本当に親身になって向き合ってくれて、自分のことのように話を聞いてくれたり、アドバイスをくれたりするガラさんに、感謝しかないし、本当にこんな先輩になりたい、こんな男になりたいって思ってるから、例えばガラさんがガラさんの為に俺を蹴落とすようなことをしたとしても、俺はガラさんが好きです。ずっと。きっとその先もずっとガラさんのこと慕っていると思うし。
ガラ:ナオねぇ〜、そこよ。そういうとこ。俺がナオのことを自分に置き換えて考えてしまったり、重なるなぁって思ったりするところは、そういうとこなんだよ。ナオはまだ知らない未来がたくさんある。でも、俺はその未来を既に歩いて来たから知ってたりする。もちろん、人によって未来は違うものなんだけど、自分が経験したことで失敗してきたことはナオに教えてあげたいと思うし、通り過ぎてきたことで後々後悔したことも、アドバイスしてあげたいなって思うんだよね。余計な失敗はしない方がいい。もちろん、失敗することで学ぶこともあるし、反省することで失敗しなくなるんだと思うから、実際に自分が痛みを知ることも大事なことなんだけど、取り返しのつかない選択をしないようにだけは助言してあげたいなって思うというかね。無駄に傷付かせたくないから。
ナオ:ガラさん! 好き!
ガラ:あははは。そうやってすぐに人を信用し過ぎるところも、俺と似てる。そこも気を付けた方がいいね、ナオは(笑)。本当に後から気付くんだよね、人間って。愚かだなって思うよ。そのときは、自分たちのことで必死だったり、過信があったりするから、“なんでもっとやってくんないの!?”とか、“もっとこうしてくれよ!”とか、いろいろと勝手なことを思うんだけど、過ぎてみたら、その人がすごく自分たちが思ってた以上に自分たちの為に動いてくれていたことを知って後悔してみたりね。自分たちには見えないところで動いてくれていたりする場合もあるから。人間ってダメだなって思うよ。渦中にあるときは、俯瞰で見れなくなっちゃうから。でも、いい人ばっかりじゃないからさ。すごく信じていたのに裏切られる場合だってあるし。本当に経験しないと分からないよね。忠告されていても、実際に傷付いて痛い思いをしないと分からない生き物だったりもするからね。
ナオ:深みを感じます。やっぱりいろんな経験してきたから言える言葉ですよね。深いな。たしかに、俺なんて飛びこんじゃってましたからね。自分1人のことならいいけど、メンバーのことを考えたら、自分がしっかりしなくちゃいけないし。
ガラ:そう。バンドだからね、俺たちは。

――ちょっと立ち入った話をしてもいい? 昔、ガラと話したことあったよね、“いくつまでバンドを続けるか”って。ガラはそのとき、具体的な年齢を言ってた。もうその年齢を過ぎたけど、今はどう考えているの?
ガラ:実際にその年齢になってみて思うのは、やっぱり辞められないなってこと。自分にはバンドしかないんだって、その歳になってみて思った。期限決めて辞めるものじゃないなって。それにね、止めたらそこで終わるんだよね、全てが。もうその先はない。でも、続けてさえいたら、その先はあるんだよね。今回のコロナだってそうだけど、人生なんて何があるか分からない。だから、続けてさえいたら、何かがあるかもしれない。止めてしまったらそこで終わっちゃうから。それまで続けてきたことが0になってしまうからね。それに、やっぱりステージに立つ度に、自分の居場所はここだなって思うんだよ。

――例えそれが、メリーのガラというバンドマンではない個人の幸せを圧迫することになっても?
ガラ:己が幸せになったらアーティストとして良いものが作れなくなるっていう?

――そう。
ガラ:それ、よく言われてるやつだよね。

――個としての幸せを犠牲にしても、アーティストとして、バンドマンとして、自分たちの音楽を聴いてくれる人たちを幸せにしたいか。というところだよね。
ガラ:難しいよね。満たされてるとなかなかギリギリな感じは描けなかったりするから。
ナオ:安定なんて一生ないですからね、バンドマンなんて。満たされていないところを作品で補う感じというか、だからちょっと背負ってる感じの方がいいっていうことでしょ? それもすごく分かるんですけどね。
ガラ:でも、ぶっちゃけ、幸せになりたいけどね、俺も(笑)。
ナオ:あははは。ですよね(笑)。でも、バンドマンだって普通に幸せ掴んでもいいと思うんですよ。バンドマンだって1人の人間なんだもん。けどね、バンドとしてステージに上がるときは、バケモノになっていないといけないと思うんです。自分だけの幸せを求めることで、バンドとしてステージに立ったときにバケモノになれないなら、ダメだと思う。バンドは1人じゃないからね。自分の幸せよりも、聴き手の幸せを願っているのか? という質問に答えるとするなら、もちろん、音楽を作ったり、なんで歌っているのかって言ったら、目の前の笑顔の為なんです。ライブに自分たちの曲を聴きに来てくれる人たちを笑顔にするために頑張っているんです。
ガラ:そうだね。世界中を幸せにすることなんて無理なんだから、本当にその都度、目の前に居る人の幸せだけを願ってライブするよね。この人たちを、この場所から幸せにして帰してあげようって思ってライブしてるもんなぁ、いつも。
ナオ:私もです。だから、両方なんですよね。わざわざ作品作りのために自分が幸せになるのを拒むことはないと思うし。それに、自分が幸せじゃないと、人のことを幸せには出来ないと思うんです。荒んでるときにハッピーな歌は歌えないでしょ。荒んでる人に寄り添うことは出来ても、その人を幸せに導いてあげることは出来ないと思うから。荒んでる人に寄り添うためのライブは出来ても、幸せには出来ない。もちろん、その形も必要だとは思う。だからと言って、“自分は幸せになっちゃいけないんだ!”っていう十字架を背負い続けるのは、またちょっと違うんじゃないかな? って思う。みんなも自分も幸せになれるのが1番理想。でもね、バンドをやることによって、必然的に自らの“普通の生活をおくる”という人生は確実に犠牲になってると思いますよ。そこは身を削ってやってたりしますからね。でも、それは自分が選んだ人生なんです。だから、そういう意味で自分の人生を犠牲にしてる感じはあると思うし、それは必要なことだと思うんですよね。自分の事が不幸で、かわいそうな奴なんて、カッコ良くないですもん。貧乏だって、傷付いてたって、我武者羅になれるものがあるってことは一つの幸せのかたちですよね。贅沢は言えない。どこか割り切って生きる必要はあると思いますけどね。
ガラ:なんか妙に説得力あるな、今日。
ナオ:ちょっと、ガラさん〜、やめてくださいよ!
ガラ:いやいや、本当にそうだよね。ついつい自分に対してだけストイックになってしまいがちだったりもしちゃうからね。追い込んで追い込んで、とことん追い込んじゃう。

――そういうところもガラらしいね。これは持論でもあるんだけど、ルサンチマン的感情が自らを奮い立たせる根源となる場合もあると思うんだよね。でも、そこが強過ぎるのも、もちろん問題なんだけど。
ナオ:うんうん。すごく分かる。でもね、それって、さっき言った“荒んでる人に寄り添うこと”だと思うんですよ。でも、俺たちが目指したいのは、“荒んでる人に寄り添って、そこから先にその人も笑顔にしてあげること”だと思うから。そこまでしてあげられないとプロじゃないと思うんです。寄り添うことが出来て、更に笑顔にしてあげられるってことは、自分にも余裕がないとダメだと思うんです。だから、そういう意味でも、自分に余裕がないといけないなって思ってますね。多くの人を幸せにしてるオーバーグラウンドのアーティストさんたちは、きっとそれぞれに思い悩むこともあるかもしれないけど、ちゃんと人を幸せに出来る余裕を持っているんだと思う。
ガラ:そうだね。人を幸せにしてあげられるだけの器を持っている人っていう意味だよね。すごく分かるよ。ただただ自分の幸せを追求しちゃったりしだすと、またそこはバランスが崩れて行くんだろうしね。難しいバランスではあるけど。
ナオ:本当に難しいバランスですよね。バンドマンもアーティストも人間だから、“変わらずに居ること”って不可能だと思うんですよ。
ガラ:分かるよ。人間だから成長するからね。その成長によって歌詞も曲も変化したりするからね。
ナオ:そうなんです。そこで“昔と変わった”って言われても、ずっと成長しないで昔のままでいられるわけもなくて。
ガラ:たしかに。もっと言えば、成長のない奴の言うことに説得力はないからね。
ナオ:そうなんです。求められてない変化は退化と捉えられることもあるけど。そういう意味で言うと、昔からのファンの人たちを11人残らず離さず未来に連れていくことなんて、不可能だと思うんです。突き放した言い方に聞こえちゃうかもしれないけど、そうじゃなくて、“昔と変わらずにいなくちゃ”ってしようとするが為に、バンドが解散しちゃうんです。永遠に昔と全く変わらずに居られることなんて出来ないから。
ガラ:そうだよなぁ、、、、。
ナオ:ロックンロールとして転がり続けるなら、自分の変化も含めて受け入れていかなくちゃいけないんです。生き様を語るならばですよ。転がり続けていかなくちゃいけないって俺は思っているんです。自分の立たされてる境遇も全部受け入れて、ロックに昇華しなくちゃいけない。それが、俺の思うロックバンドの生き方なんです。求められていることをやる、というのは、ビジネスにおいては必要なことなのかもしれないですけどね。
ガラ:そうだね、そこをビジネスと割り切らなくちゃいけない場合はね。ロックバンドを始めたきっかけはそこじゃないからね。自分のためにやってたというか。自分が叫ぶ場所を探してたというか。
ナオ:歌いたくないことは、心を込めて歌えないですからね。そこに気持ちが乗っているから、聴く人は心が動くんでしょ。

■歪でもなんでも 転がり続けてなくちゃいけない

――そうだね。ガラは自らの人間としての成長が、メリーのガラの歌詞を変化させていると感じることはある?
ガラ:そうね、、、。今までは、“こうで、こうで、こうだから、腐ってんだよ!”って投げっぱなしだったけど、最近は“こうで、こうで、こうだから、こうだろ? な、みんなもそう思うだろ?”って投げかけるようになったかな。主張だけじゃなく、“こういう人もいるはず”って思うようになった。そこも一つの余裕なのかな? 言いたいことを言い放って、ただただ叫んできたけど、きっと“こんな風に思う人もいるのかもしれないな”って思えるようになったというのか。言い切ることが少なくなってきた。

――問いかけは同意を求めているの? どういう変化なんだろうね?
ガラ:俺が弱くなったのかな? 何だろうね? どういう変化なんだろう?
ナオ:俺がそこから感じるのは、同意を求めているのではない気がします。
ガラ:そうね。共感を求めているわけじゃなくて。“ほら、これ美味いだろ、ナオ!”ではなくて。“これ、俺はすごく美味いと思うんだけどな”ってこと。未来は明るい。だからみんなで頑張ろうぜ! じゃなくて、未来は明るいだろう。なんだよね。分かりにくいかな? 未来は明るいだろう。だから、ここからの自分の生き方次第で自分たちの未来も変わるんだと思うよ。って感じかな。そこに含ませてるというかね。希望なのかなぁ。
ナオ:人生というものをいろいろと経験する上で、言い切れる事ばかりじゃないというところの気づきだったり。“自分次第なんだよ”っていうところの教えなのかもしれないですね。
ガラ:言い切れる人って強いなって思う。聴き手は、引っ張ってもらえる安心感ってのも求めているところはあると思うからね。俺は自分の歌詞を見返して、決して強くはないなって思うから。俺がこうだったから、お前らも頑張れよ! じゃないんだよね。俺はこうだったけど、お前らにはお前らの生き方があるし、それぞれのゴールと、そこに辿り着くまでの生き方があるんだから、それぞれの進み方で頑張ればいいんだよ、なんだよね、俺の歌詞は。もしかしたら、ゴールは同じところにあるのかもしれないけど、それぞれの人生があって、それぞれの生き方があるから、それぞれなんだよって、聴く側を尊重できるようになったのかな? って思う。言い切れる人を批判している訳ではなくね。
ナオ:表現の違いはあるけど、ゴールは同じなのかもしれませんもんね。導き方の違いなのかな。聴いてくれる人をどうやって奮い立たせるか、ってとこなんじゃないかな。私も暗い曲は暗いまま終わっていた方がいいって思う人間だったんですけど、最近はやっぱり何処かに救いを入れたくなってますからね。
ガラ:分かるよ。どれだけ暗い表現でも、何処かに救いは入れたいよね。一言でいいんだよ。
ナオ:分かります。その救いの一言を入れられるのって、音楽だからこそだと思うんです。
ガラ:そうだね。音楽だからこそ素直に言えるというか。本当に一言でいいんだよ。余計なことは要らない。“頑張れ”よりも、頑張れって言葉が必要そうだなって思ったら“呑みに行こうか”って言ってあげたい。それがみんなに出来たら最高なんだけどね。
ナオ:そうですね。でも、本当に歌詞では余計なことは言わない方がいい。それに、自分が聴き手の立場になったとき、“頑張って”って言われたいときもあれば、“頑張って”を言われたくないときもある。だから聴く人がそこは選んでくれたらいいと思う。
ガラ:たしかに。昔は、全ての人を幸せにしたいと思って叫んでたけど、今は、全ての人を幸せにするなんて無理だなって思うようになった。

――2人の言ってることはすごく納得できるな。じゃあ、オーバーグラウンドの世界で、すごく多くの人たちが共感する“売れる”という現象は、どういうことだったりするんだと思う?
ガラ:決して批判する意味で言う訳ではないけど、歌詞の面で言うなら、多くの人に当てはまる言葉が多いのかもね。光とか、希望とか、そう言う感じの広い表現を使っているからなのかも。
ナオ:たしかにそうかも。もしかしてこの先、私が光とか、希望とかを歌うことがあったとしたら、きっと間違いなく“変わった”って言われちゃうんでしょうね。でも、それが変化なんだと思う。きっと歌えないと思うけど(笑)。
ガラ:自分の中に無いものは歌えないもんね。さっき、ナオも言ってたけど、説得力がそこには無い。それって伝わってしまうからね。
ナオ:そうですね。みんな自分の気持ちに寄り添ってくれる歌や曲を探してるんだと思うんです。
ガラ:でも、ぴったり当てはまる歌詞なんてないからね、きっと。そこに共感はあっても、ぴったり同じってのは本当に稀だと思うから。
ナオ:ですね。それもあって私、普段は歌詞とか分からない聖歌とか聴いちゃってるんです!
ガラ:マジ!? 深いな。それは深すぎる!
ナオ:あははは。でも、そんな私達の変化も込みでバンドを愛してもらえたら嬉しいなって思いますね。
ガラ:そうだね。それも全てバンドの残した足跡だし、人生そのものだからね。

――生きた証だからね。
ガラ:そう。バンドも変化してるからね。もちろん、さっきナオが言ったように、バンドとして一つのバケモノになっていなくちゃいけないって思うけど、音としては、だいぶ意識が変化してきてるところはあって。メリーは、昔の方が、バンドで一つの音を作らなくちゃいけないと言う意識が強かった。今はもっと歌を中心に据えることを第一に考えていて。シングルのカップリングもアコースティックにして、歌を全面に出す様にしていたりもするから。そう思うと、昔の音作りの方がバンドしてたなって思うよ。とにかく、バンドにおいてボーカリストは、中心にいなくちゃいけないし、音の中でも中心にいなくちゃいけないと思うからね。ナオはその点ドラムボーカルだから大変なところはあるか。
ナオ:動けないですからね。その分、そこを意識したセッティングにしているし、後ろまで届く様に極力目線を後ろに置いてライブしてますからね。でも、ドラム叩いてて基本座ってるから、後ろのお客さんから見えずらいから、もうちょっとドラム台が高く出来るといいなとは思うけど。でも、首振りDollsはジョニーとショーンっていうキャラクターの濃いギタリストとベーシストが居てくれて、ガンガンに動きまくるから、ステージでの並びとしては横一列のバランスがすごくしっくりくるんです。

――唐突だけど、バンドって何だと思う?
ガラ:何、その『プロフェッショナル 仕事の流儀』みたいな質問は。

――突っ込んでいこうと思って(笑)。ナオはさっき、バンドは一匹のバケモノだって言ってたけど、バケモノって何?
ナオ:こうしてガラさんと普通にご飯食べさせてもらってるときとかって、すごく自然体なんですけど、バンドとしてステージに立つと一匹のバケモノに変わるんです。

――メリーも健一脱退の発表をしたし、首振りDollsも前のベーシストが脱退して、2019年から現メンバーで始動し始めたでしょ。バンドを1匹のバケモノ、つまり1匹の生き物として例えるなら、それは、体の一部を失うことに繋がることでしょ?
ナオ:うん。でもね、失ったことに変わりはないけど、羽をもがれた気はしない。ウチだったら、そこに加わってくれたショーンは、首振りDollsというバンドの1匹になろうと思って入ってきてくれたわけだから、そこが新しい翼になるし、形を変えながらも、俺たちは1匹なんですよ。私がメリーのことを言うのはおこがましいですけど、メリーもそうだと思うんです。形を変えながらもメリーであることは変わりないし、変わらず1匹のバケモノだと思うんです。メリーが続く限り、首振りDollsが続く限り、それが1匹のバケモノに変わりはないんです。ファンの方の中には、昔のメンバーが良かったとか、5人の方が良かったって言う人もいるかもしれないけど、俺たちは、今の形で1匹なんですよ。そうやって形を変え続けながら、世界一のロックンロールバンドになったのが、ローリングストーンズだと思うんですよ。
ガラ:なるほど。ナオ、いいこと言うね。
ナオ:ジョニーがメンバー変わった頃に言ってたんです。本当にそうだと思うんですよ。もちろん、メリーとは長さも格も違うから、本当に一緒にするのはおこがましいんですけど、俺もショーンが入る前にメンバー脱退を経験してるから、本当にメンバー脱退の際の気持ちって分かるつもりなんです。でも、俺たちは本当にショーンという宝を迎え入れれたことで、バンドとして転がり続けることが出来た。だからこそ、そのときに思ったんです。とにかく、歪でもなんでも転がり続けてなくちゃいけないんだって。さっきも話したけど、バンドとしたら1匹のバケモノだけど、そのバケモノを作っているのは1人1人の違った個性と人生を持った人間だから、歪な丸になるのは当たり前なんですよ! 『スイミー』みたいなもんで、いろんな事情を抱えてて、いろんな人生がある1人1人が集まって1匹を作ってるんだから、歪なのは当たり前で。だから、一緒に進んでいけなくなることだってあると思うんです。それは仕方ないと思う。でも、ステージに立ったら1匹なんです。それでいいんです。そのまま転がり続けることが大事なんです。私はそう思うんです。
ガラ:転がり続けなくちゃいけないってことだね。
ナオ:どんな形になろうともです。ロックンロールって岩だから、歪でいいんです! 丸くなっちゃダメなんです! 歪なのが一緒になって転がり続けてるからカッコいいんですよ、ロックンロールバンドって! 
ガラ:なるほどね。
ナオ:俺たちは岩だから歪なんです。
ガラ:ナオ、ありがと。それだね。本当にそうだと思うよ。昔はさ、“1人でもメンバーが欠けたらメリーじゃない”って言ってたんだよ。1人でもオリジナルメンバーが欠けたら、そのときは解散だって思ってた。今回も19年も一緒にやってきたメンバーだよ。そのメンバーが抜けるなんて、悲しくないわけがない。ファンの人たちが悲しいのもすごく分かるよ。でも、ごめん、俺の方が悲しいと思う。それに、“1人でもメンバーが欠けたらメリーじゃない”って言ってたじゃないですか、っていう人たちも実際に居るのね。けど、俺たち走り続けてきちゃったからさ。止められないと思ったんだよね。続けていくしかない。諦めきれないんだよね。この先に何かあるかもしれないって。もしかしたら、その先に離れたメンバーとまた一緒に出来る日がくるかもしれない。“もう一回やりたい”って思ったら、またやればいい。その為にも、俺たちはずっと動いて居なくちゃいけないんだなって。ナオの言葉を借りるなら、転がり続けて居なくちゃいけないのかもね。俺がメリー作るって言って作ったからさ。守らないとね。なくしちゃいけないんだよね。転がり続けないと。
ナオ:本当にそうだと思います。俺たちもそうですからね。前のベースが辞めるって言ったとき、そこで辞めてしまっていたら、ショーンが入って来て一緒に見た景色や、新しく出逢えたファンの人たちや、新たに首振りDollsを知って好きになってくれた人達と作ったライブは経験出来なかったってことですからね。本当にやり続けることに意味があるんだと思います。
ガラ:そうだね。転がり続けないとね。なんだろな、俺、先輩なのに教えてもらってる気がするよ(笑)。
ナオ:そんなことないですよ! 俺はいつもガラさんに助けられてます! 東京来て、1番会ってる先輩ですもん。本当にいつも気にかけてもらって感謝してるんです。
ガラ:いやぁ、俺、正直羨ましかったんだよね。俺がちゃんと首振りのライブ観せてもらったのは、2019年の11月に下北沢251でやった土屋アンナさんとの対バン『WHO KILLS BAMBI〜土屋アンナ×首振りDolls』だったんだけど、すごい熱量でビックリして。近くで観てた知り合いに、“首振りっていつもワンマンのときも、この熱量でライブしてんの!?”って聞いちゃったからね。そしたら、毎回そうだっていうから。200%くらいの熱量でライブやってる首振り観たらなんか圧倒されちゃって。俺らにはこういう熱量が欠けてるのかもしれないって思ったんだよね。バンド始めたての頃の熱量みたいな、音楽が好きで好きでたまらない熱量というか、衝動みたいな熱が溢れかえってて。すごいなって思った。そこからいろいろと呑みに行ったりご飯に行ったりして、今年の2月21日にナオがアコースティックのライブに呼んでくれて。ボーカリストとしてもすごく魅力のある声の歌い手だなって再確認して。ナオとか俺は唄で殺していかなくちゃいけないボーカリストだと思うんだよ。ボーカリストにもいろいろとタイプがあって、バンドの一部で居るべきボーカリストの形もあるからね。
ナオ:そんな風に言ってもらえて光栄です! 本当に嬉しい。
ガラ:ナオとなんか、一緒にいろいろとやれることを嬉しく思ったんだよね。自粛中にいろいろな人が立ち上げていた“繋ぎ”でも、ナオは俺に声かけてくれたでしょ。結局、自分が本職としている唄をそこでアップしてしまうのはどうなんだろう? っていう疑問があったりもしたから、ちょっと考えるわ〜ってやらなかったんだけど、そういう考え方をしちゃう自分に対して、つまんない奴だなって思ったりもしたしね。何をやるべきなのか、何を辞めるべきなのか、本当に正解が分からない。今、毎日やってるYouTubeも、喜んでくれる人が居るなら、少しでも求めてくれる人たちの力になれるなら、と思ってやり始めたんだけど、日々自問自答だよね。でもね、ナオが俺に繋ぎたいって思って、俺のことを思い浮かべてくれたんだなって思ったら、本当にすごく嬉しかったんだよね。
ナオ:そんな嬉しいこと言わないで下さい! 私は今、こうしてガラさんと一緒にお話しさせてもらえてることが嬉しいし、本当にこんな風に知り合えたことを感謝してるんですから!

■1枚のレコードを擦り切れるまで 聴くなんてことは、 もう今の時代ないんだろうな

――いい話。そんな良い関係性の話の途中に水を差すようですみませんが、ガラ、最近のナオに一言あるんじゃなかったの?
ナオ:え!? なぁに? なになに? 私、なんかしちゃった!?
ガラ:なんだっけ?

――さっきも撮影しながらそんな話してたよね?
ガラ:あ〜。そうそう。ナオはなに?
ナオ:何と言いますと!?
ガラ:なんなの?
ナオ:何なのと申しますのは!?
ガラ:可愛いキャラ狙いなの? 前髪パッツンにして来ました〜みたいな、可愛い狙いのTwitterアップしてたりしてたでしょ? 何それ。
ナオ:そこ〜!? あはははは(爆笑)。そこですか! ガラ先輩!
ガラ:もっとさ、荒くれ者っぽく気だるく、カッコイイ感じの方がいいと思うけど? 可愛いって言われたいの?
ナオ:あははは。言われたい(笑)。心が乙女なところがありますからね、私(笑)。aikoさんとか大好きだし。
ガラ:ナオ、aiko好きなの? 乙女だわぁ。
ナオ:aikoさんはアーティストとしても、女性としても大好き! ああいうタイプ大好きだし、ピアノを弾く人だから、驚く様なコーラスの入れ方するんですよ! そこが本当に素晴らしいなと思って。曲ももちろん、歌詞も大好き。
ガラ:乙女だわぁ。大きな木に吸い付いてるカブトム的な?
ナオ:そういうの可愛いわよね〜。彼氏を大きな木に例えて、自分はそこに吸い付いてるカブトムシっていう。可愛い。私、そういうとこある。
ガラ:そっちの虫か! 俺はてっきりナオは「蛹化(むし)の女」の方の属性かと思ったのに。
ナオ:ガラさん! 当たり前じゃないですか! 戸川純さんだってもちろん大好きですよ! そっちの蛹化も大好きです!
ガラ:どっちなんだよ! 
ナオ:どっちもです(笑)!
ガラ:今日だってなんなの? バッティングやるよって言ってんのに、何で厚底とか履いてくるわけ? 山登り行くよって言ってんのに、ヒール履いてくる女子みたいなめんど臭さだよね。
ナオ:あははは。何その例え(笑)! めちゃくちゃ面白いんですけど、ガラさん! でも、ちょっと弁解させてくださいよ! 違うんですって! 私、厚底しか持ってないんですよ、靴! あとは、ドクターマーチンのサンダルしかなくて。雨だったし、ガラさんと会うのにサンダルは失礼かなとも思って。
ガラ:まぁ、何でもいいけどさぁ〜。だから球投げる時とかも内股になるんじゃん! 本当に、女子じゃないんだから。何、あのフォーム。
ナオ:あははは。だって、野球経験者じゃないですもぉ〜ん。
ガラ:もぉ〜んじゃないわ。ブラジャーとかしてないだろうね?
ナオ:ブラジャー(笑)!? 
ガラ:最近妙に綺麗で可愛い感じにしてるし、新しいアー写とかもグラムロックだったし、まぁ、あれはいい感じだし、首振りDollsっぽいなって思ったけど、Twitterのぶりっ子具合はどうもね〜。
ナオ:ブラジャーしてないですよ。ノーブラです(笑)。

――お好み? ノーブラ。
ナオ:ノーブラですよ! ガラさん! ノーブラ!
ガラ:え? ノーブラ!?
ナオ:キラキラした目で見ないで下さい!
ガラ:見てないし。興味ないわ。ナオがノーブラでも。まぁ、首振り“DOLLS”だから、可愛いのもいいかもしれんけども、、、、。俺はちょっと荒くれだったナオのが好きだな。てか、脱毛とか行ってないだろうね? そんなん行くくらいだったら、全部毟ってくれ!
ナオ:あははは。毟ってます毟ってます! もともと女子みたいなとこあるの。
ガラ:あるの。じゃないわ! ちょっと俺は、ナオのその“可愛い”に対して睨んでいこうと思ってる。
ナオ:いやぁ〜ん(笑)。でも、実際そうそう可愛くないですからね(笑)。
ガラ:ナオは逹瑯(MUCCのVo)顔だよね(笑)。
ナオ:めっちゃ光栄じゃないですか! 
ガラ:そうなの(笑)?

――ガラと逹瑯の関係性もいいよね。ガラの方が先輩なのに、絶対的なジャイアン感で逆転してる(笑)。けど、そんな中にも逹瑯のガラに対する敬意を感じるところがすごくいい。
ガラ:敬意感じる!? 俺はそうは思わないけどね(笑)。
ナオ:前にラジオでガラさんと逹瑯さんがやり取りしてるのを目の前で見させて頂いたとき、本当にすごいテンポ感で驚いて。本当に仲いいんだなって思ったんですよね。すごく羨ましかった。そんな仲間がいることが、本当に羨ましくて。いいなぁ〜って。
ガラ:そうだね。仲間が居てくれるのは本当に力になるからね。ナオは上京して来てどうなの? 憧れていたものや、感動はあった? これが花の都大東京か! みたいな感覚はあったの?
ナオ:いや、正直音楽やる上でやっぱり東京に居ると身軽に動けるし、いいな! ってくらいですかね。本当にそれ以外ずっと家に居て曲作ったりしてるから。東京に来て良かったって思うのは、人にたくさん会えるのと、仕事しやすくなったっていうことくらいです! 今はそれ以外あんまり求めてないし、興味ないのもありますけど。
ガラ:あ、そう。珍しいな。みんなが憧れて、夢抱いて、夢が敗れて帰って行く。それが花の都大東京ですよ。
ナオ:そういうドラマティックな街なんだろうなって、特に新宿の街を見てると思いますけどね。でも、こうしてガラさんとかが誘ってくれてすぐ呑みに行けるのは、本当に嬉しいです!
ガラ:ナオから誘って来たことないじゃん。
ナオ:いや、そんなことないですよ! 前に夜中に電話したじゃないですか、失礼だと思いましたけど、八十八ヶ所巡礼のかっちゃん(八十八ヶ所巡礼のGのKatzuya Shimizu)と呑んでたとき!
ガラ:あ〜、酔っ払って電話して来たやつね。
ナオ:自分から先輩を誘うのは悪いかなぁと思って、、、、。遠慮しちゃうんです。いいんですか? 誘って!
ガラ:いいよ。まぁ、たしかに、俺も自分が後輩の立場で先輩のこと考えると遠慮して自分からは誘えないんだけど、自分が先輩の立場になると分かるね。ちょっと待ってる自分がいるわ。
ナオ:ガラさん! 可愛い!
ガラ:ちょっと待って。俺はナオみたいに可愛いの狙ってないから、それ要らない(笑)!

――待ってるんだ、ガラ(笑)。たしかに、可愛い(笑)。
ナオ:そういうとこなんでしょうね! ガラさんモテるの分かるわ〜!
ガラ:うるさいわ。
ナオ:うるさいって言われた〜(笑)。でも、2回目に誘ってもらったとき、“すごく飲めるんでしょ? よし。今日はとことん飲もうぜ!”ってなって、2人でコンビニで『ヘパリーゼ』買って飲んで準備してから呑みに行ったんですよね(笑)。楽しかったなぁ〜。
ガラ:また一緒にステージに上がれたらいいね。
ナオ:そんなそんな! 本当に嬉しいです! こちらからお願いしたいところです! 
ガラ:この先のことはまだ見えてないけど、とにかく踏ん張って、ナオが言うように転がり続けていかないとね。ウチらもメンバー脱退のタイミングと重なっちゃったし、首振りDollsも上京して来て、ここからエンジンフル回転で行くはずだったタイミングでコロナだったもんね。
ナオ:そうなんです。首振りDollsとしては、延期になった3月の20日21日22日の3daysが上京して来た首振りDollsが勝負をかけた、起爆剤となるライブでもあったし、ツアーファイナルでもあったので、正直、行く道を閉ざされちゃった感があって。いやぁ、人生甘くないなって思いましたね。いきなり試されてるみたいで。
ガラ:そうだね。試されてるんじゃないかって思うよね。でも、きっと本当に試されてるんだと思うよ、今、俺たちは。この時間を使って何をするか、それで大きく差ができると思うしね。
ナオ:本当にそうですね。
ガラ:何かしてる?
ナオ:バンドとしての動きはいろいろと考えてます。新曲も書きためてますし、個人的には絵本描いてみたり、ずっと形にしたかった映像の編集を改めて勉強してみたりしてます。九州に居た頃、ずっとテレビ局でバイトしてたこともあったんで、もともと映像には興味あって勉強してたんです。
ガラ:俺たちの経験や全ての生き方は全部歌詞に活きて来たりもするからね。絵本も映像も全部繋がっているのかもね。本当に節目だよね。いろいろと世の中が変わって行く。俺、こうなる前までは、ライブがカッコイイのがバンドだって思っていたけど、この先、SNSとかで火が付いたバンドとかアーティストは、この自粛的な流れが完全に開けたとき、いざ生でライブしますって言ったとき、ライブしたことないですっていうアーティストや、ツアー経験ないですっていうバンドが出てくるんじゃないかなと思っていて。
ナオ:そうかもしれないですね。今はみんなが小型のコンピューターを持っている時代ですからね。音楽の在り方も変わって来てますからね。今までサブスクとかやっていなかったアーティストやバンドもどんどんやり始めてたり解禁になってるし、本当に変わって来たなって実感してるんです。
ガラ:昔は探すしかなかったからね。
ナオ:分かります! その探すのも楽しかったんです! 昔小さい頃ラジオでかかった曲を必死で探しましたもん。ガレージのリバイバルが流行った頃だったんで、それを漁りに古いレコード屋さんに行って、そこでまた関連したアーティストを見つけて好きなアーティストを増やしていった時代も、本当にすごくいい時代だったと思うんです。
ガラ:そうだね。よくジャケット買いしてたもん。ジャケットが好きで買ってみたら、思ったのと違ってガッカリした失敗も懐かしい。1枚のレコードを擦り切れるまで聴くなんてことは、もう今の時代ないんだろうな。そう思うとちょっと悲しいよね。今の時代、アルバムのイメージが凝縮されている、ある意味すごく重要なポイントとなるジャケットですらも、必要とされていないんだって思ったら、本当に悲しい。そこも作品つくりのこだわりの部分だからね。
ナオ:本当に昨日まで普通の高校生だった子が、いきなり次の日に大スターになることだって、あり得ますからね。そこも否定しないですけどね。でも、俺はライブで戦えるバンドで居たいです。やっぱりバンドはライブだと思うから。たたき上げというか。俺たちは完全に叩き上げのバンドですからね。でも、そこに今は誇りを持ってます。
ガラ:そうだね。昔はやっぱ叩き上げで、ドラマをたくさん持ってる人がカッコ良かった時代でもあったからね。
ナオ:でも、やっぱりいい音楽って形を変えてもずっと残って行くんだと思うんです。最近、サブスクにあって、飛び上がって喜んだのが、CHAKRAっていうバンド。「めだか」って曲が死ぬほど好きで、それしか聴いたことなかったんだけど、70年代後半に3年くらいしか活動していなかったバンドだからなかなか昔の音源を探して買うことが出来なかったんだけど、サブスクにあったんですよ! その感動たるや半端なくて。アルバム全部聴けちゃうなんて、なんて幸せなの!?って。
ガラ:それは感動だね。それに、40年前の音楽をそうやって聴けるようになったら、またそこから新しくCHAKRAを知ってくれる人もいるってことだもんね。解散してしまってるバンドだからライブを観ることは叶わないけど、それはすごいよ。そういう意味ではサブスクって本当にすごいよね。海外でもどこからでも手に入れることが出来るんだもんね。

――そう思うと、メリーも5人で発した音は永遠に残っていくということだもんね。
ガラ:そうだね。そこは永遠だからね。便利な世の中と、忘れちゃいけないところを共存していけたらいいよね。
ナオ:本当にそうですね。

――メリーはこの先の予定としては、8月1日から始まる『5 Sheep Last Tour』全16公演と、追加として発表されていた、そのツアーファイナルとなる9月19日の日比谷野外大音楽堂公演?
ガラ:そう。5人での最後のツアー。安全面とか最善を尽くして、5人でのツアーをメリーを支えてくれている大切な人たちと一緒にやりたいなと思ってる。最後に5人でツアーまわりたい。本当にそれだけというかね。8月9月のコロナ感染の状況は、今の時点では全く見えないけど、最後に5人でツアーまわりたい。ただただそれだけを願ってる。本当に今はそれを1番願っているかな。
ナオ:素敵なライブになることを祈ってます。ガラさん、本当にありがとうございました!
ガラ:こちらこそ、ありがとうね、ナオ。久々に楽しかったよ。バッティングも。久しぶりに本気で笑えたよ。ありがとう。
ナオ:私もです! 私もガラさんのような素敵な先輩になれるように頑張ります! ありがとうございました!


取材・文:武市尚子
写真・映像:DOLL RECORDS Co., Ltd.



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