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筋肉少女帯、ド派手に締め括ったアルバム『ザ・シサ』リリースツアーの最終公演をレポート

12月9日、メジャーデビュー30周年イヤーに突入中の筋肉少女帯が、東京・マイナビBLITZ赤坂にて『メジャーデビュー30周年記念オリジナルNew Album「ザ・シサ」リリース・ツアー』の最終夜をド派手に締め括った。

10月31日にリリースされた最新アルバム『ザ・シサ』は、頭から尻尾まで筋少らしさ全開の名盤。このタイトルに掲げられた“シサ”は、同じ対象でも見る位置の違いでまったく異なるものに映るという“視差”を意味するのだという。11月より東名阪で繰り広げられた本ツアーの最終地・赤坂も当然のようにソールドアウト。満杯の場内でキラキラと輝く観客の表情が印象的だった。なお、本公演の模様はニコ生で生中継された。

SE「セレブレーション」が高らかに鳴ると、大きな拍手と声援に迎えられて、大槻ケンヂ(Vo)、橘高文彦(Gu)、本城聡章(Gu)、内田雄一郎(Ba)が登場し、配置につく。この日の1発目は大槻ケンヂも出演の映画『緊急検証!THE MOVIE ネッシーvsノストラダムスvsユリ・ ゲラー』の主題歌になっており、個性的なMVも話題となった「オカルト」。中東風のエキゾチックなフレーズと物語性豊かな歌詞が溶け合ったこの名曲を合図に、オーディエンスの気分は高まっていく。続く「暴いておやりよドルバッキー」で、フロアーの熱気は最高潮に上昇。この冒頭の流れだけで、今夜の楽しさは保証されたようなものである。

“赤坂ウェンブリー・スタジアム!”と映画『ボヘミアン・ラプソディ』になぞらえて観客を扇動する大槻。彼のMCは今宵も健在で、次々と披露されるおもしろエピソードや時事ネタの数々に、この場にいる人は皆、ニコニコしっぱなしだ。特に、大槻がフレディ・マーキュリーばりに“デ~オ!”と観衆とのコール・アンド・レスポンスを楽しむ姿が爆笑を生んでいた。『ザ・シサ』から、ファンキーな「I,頭屋」、緻密な構築美の「衝撃のアウトサイダー・アート」、どこか甘酸っぱい気持ちになる「ネクスト・ジェネレーション」が奏でられると、フロアーからは惜しみない拍手が送られる。

大人の男のムードたっぷりの「マリリン・モンロー・リターンズ」、メンバー4人の掛け合いも楽しい疾走曲「ゾンビリバー~Row your boat」に続き、必殺の「イワンのばか」が炸裂すると、ショウの中盤にして、すでにお腹いっぱい。この満足感こそが筋少の醍醐味だ。新旧の楽曲が程よく調和し、彼らの30年の活動の重みが伝わってくる。

本編も中盤へと差し掛かると、筋少のライヴ史上初の光景が目の前に広がった。ステージ後方のスクリーンを使って、先頃実施された『筋肉少女帯メジャーデビュー30周年記念!投票企画~あなたの好きな筋少楽曲に清き1票をお願いします~』の結果発表が行なわれたのだ。ここではまず、アンケート結果の第10位から第5位までが2曲ずつ発表されるという趣向。曲名がスクリーンに現れるたびに、感嘆や共感の声がフロアーのあちこちから上がるのが興味深い。

このサプライズ的な演出を開始するにあたって、大槻がワンコーラスのみ口ずさんだレア曲「人間のバラード」も印象的だった。ワンフレーズだけの披露とはいえ、筋少の30年の歩みを想い、感傷に浸った観客も多いことだろう。第6位「夜歩く」の発表から導かれた「夜歩くプラネタリウム人間」のインストゥルメンタル・ヴァージョンも、内田の“この曲をコーラスしてくれた久保田安紀さんに捧げます”の一言と相まって、情感たっぷりの仕上がり。ここから「なぜ人を殺しちゃいけないのだろうか?」「宇宙の法則」と続いたブロックは、ミステリアスでポップで哀愁漂う筋少の魅力を堪能できる時間帯だった。30年のさまざまな出来事を振り返るとともに、これから先のことを想うロマンティックな空気が場内を支配していた。

本編もいよいよ終盤へ。ここで再び“スクリーン様”が降臨し、2019年6月30日、東京・中野サンプラザホールでの30周年記念イヤーを締め括るファイナル公演の開催が告知される。喜びを爆発させるオーディエンスたちに向けて、先ほどの投票企画のベスト4が1曲ずつ発表されていく。個性豊かな筋少の楽曲群のなかから選ばれた第4位は「サーチライト」、第3位は「釈迦」、第2位は「機械」、そして栄えある第1位は「サンフランシスコ」だった。この発表と同時にイントロのドラムが鳴り響き、華やかな「サンフランシスコ」に突入。続いて「バトル野郎~100万人の兄貴~」「再殺部隊」「釈迦」といった攻撃的チューンで畳みかけると、悲鳴にも似た歓声とヘッド・バンギングがフロアじゅうに広がっていく。圧巻の華麗な光景で本編は幕を閉じた。

まだまだ帰路につきたくないオーディエンスの熱いアンコールに応えて、筋肉少女帯の面々が再びステージに姿を現す。まずは『ザ・シサ』より「パララックスの視差」が披露されると、プログレッシヴな楽曲構成と大槻の描く歌詞世界に観客は放心状態。続いて、筋少特有のダークなきらめきが詰まった「機械」がオーディエンスを陶酔させると、ラストは妖美なアンセム「ディオネア・フューチャー」が咲き乱れる。この曲が着地点に至ると、SE「セレブレーションの視差」の流れる場内には、身も心も吸い尽くされたような観衆の笑顔が広がっていた。

筋肉少女帯メジャーデビュー30周年記念の名盤『ザ・シサ』は、この先も、筋少と彼らを見守る人々を鮮やかに照らしていくことだろう。ロックの歴史のなかでも、これほどまでにユニークで中毒性の高いバンドはあまり見られない。奇抜な着想を次々と実現していくメンバーの技量に感嘆するとともに、常にファンの心に寄り添ってくれる優しさを改めて感じたライヴだった。30周年イヤー真っ只中にして、ますます絶好調。2019年6月30日の中野サンプラザホール公演までに、さまざまな企画も考えられている模様。今後も他の誰にも真似できない歴史を描き、何世代にもわたってオーディエンスを虜にしてほしい。

TEXT BY 志村つくね
PHOTO BY 齋藤明

【セットリスト】
1.オカルト
2.暴いておやりよドルバッキー
3.I,頭屋
4.衝撃のアウトサイダー・アート
5.ネクスト・ジェネレーション
6.マリリン・モンロー・リターンズ
7.ゾンビリバー~Row your boat
8.イワンのばか
9.人間のバラード
10.夜歩くプラネタリウム人間(Istrumental)
11.なぜ人を殺しちゃいけないのだろうか?
12.宇宙の法則
13.サンフランシスコ
14.バトル野郎~100万人の兄貴~
15.再殺部隊
16.釈迦
<ENCORE>
1.パララックスの視差
2.機械
3.ディオネア・フューチャー

【筋肉少女帯メジャーデビュー30周年記念!投票企画 ~あなたの好きな筋少楽曲に清き1票をお願いします~ 結果発表ベスト10】

1位 サンフランシスコ
2位 機械
3位 釈迦
4位 サーチライト
5位 僕の歌を総て君にやる
6位 夜歩く
7位 再殺部隊
8位 いくじなし
9位 詩人オウムの世界
10位 くるくる少女

【ライブ情報】

12月23日(日) 東京・恵比寿 LIQUIDROOM
<2019年>
6月30日(日) 東京・中野サンプラザホール



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