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高中正義、川崎クラブチッタ30周年記念イベントで久保田利伸と来生たかおと共演

10月5日に川崎クラブチッタで行われた『高中正義 SUPER KITTY LIVE』のゲストに来生たかお、久保田利伸が参加し、共演を果たした。

同公演は川崎クラブチッタ30周年を記念して10月4日から4日間行われる『Flying KITTY Party 2018』の一環。クラブチッタ創設時に音楽事務所のキティグループがプロデュースした縁もあり、30周年記念イベントにはキティグループゆかりのアーティストが連日出演。そして、2日目のDAY2は『高中正義 SUPER KITTY LIVE』ーー。

19時4分、ステージ上手からAMAZONSの3人、下手から高中正義が登場しライブが始まった。オープニングは「BLUE LAGOON ’86ver.」。高中を代表する大ヒット曲からのスタートにオーディエンスも大喜び。冒頭2曲ではアップテンポ・ナンバーで客席を沸かせたかと思うと、3曲目の「渚モデラート」ではじっくりと聴かせ、緩急自在のステージを展開。MCでは自身のキティグループとの関わりを話す。高校卒業してサディステック・ミカ・バンド加入するも、食べられなくてスタジオ・ミュージシャン活動していた事も明かした。その頃、井上陽水の「氷の世界」や来生たかおのレコーディングに参加したのが縁で、キティレコードからソロとしてのオファーを受ける。「なんか、凄く前向きの会社だったんだよね。どうせなら前向きの会社とやろうかな」と思ってキティレコードと契約したそうだ。

MCを挟んでの後半は、ちょっと懐かしのダンス&ディスコ調サウンド。「TAJ MAHAL」ではロッド・スチュワートやディープ・パープルのフレーズを挿し入れる遊び心をみせ、高中はボーカルも披露。気がつけば、ここからラストまではすべてキティレコード在籍時のナンバーを演奏。高中のキティ愛に満ちた選曲だ。

8曲目の「EARLY BIRD」の演奏が終わると、20年近く前、井上陽水の六本木STB139のシークレットライヴで「浅い夢」を歌っていた彼に「むちゃくちゃ感動しました! 19年ぶりに会います!」と、来生たかおをステージに招き入れ自身はいったん降りる。高中バンドの演奏をバックにデビュー曲「浅い夢」をピアノを弾きながら歌う。来生は、実はゲストで参加するのは自分のライブより緊張すると話し、「こうして、ご一緒出来るのは、まさに一期一会。このライヴに参加できた事をたいへん嬉しく思ってます」と、高中を再び呼び込む。2人で、来生のデビューアルバムに高中がギターを弾いたこと、来生が高中の2ndアルバムに「APRIL WAVE」を書いたこと、共に映画のサントラ録音に参加したことなど、しばしのキティ時代を懐かしみながらのトーク。そしていよいよ両者の共演。曲は「夢の途中(セーラー服と機関銃)」。この共演のためにキティ創業時からアレンジャーとして支えた星勝が編曲。あの有名なイントロから高中のギターが炸裂。さらに来生のボーカルに呼応するようにギターも唸りをみせ、歌とギターの見事な競演を果たした。この後の「スローモーション」「GOODBYE DAY」では高中に替わって石成正人がギタリストで参加。来生メロディに色を添えた。

「よく、あんなソフトで艶っぽい声が出せるね」と来生のボーカルを称え、高校時代のアメリカンスクールの学生とバンドをやっていたことを話し出す。オーティス・レディング、J・ブラウン、マーヴィン・ゲイやスティービー・ワンダーといったR&Bアーティストの曲をカバーしていたっこと。ちょうどニュー・ジャック・スイングが流行した頃、出てきたのが久保田利伸。おまたせしましたと久保田が呼び込まれると会場は総立ち。曲は「ジェフ・ベックとスティービーみたいにやろうぜ!」と高中のリクエストでスティービー・ワンダーの「迷信/Superstition」。原曲のクラビネットのイントロを高中のギターリフが奏で、久保田のボーカルが入り、やはりキティグループ出身のAMAZONSのコーラスが続く。3者が一体となったコラボレーションは鳥肌がたつほどの格好よさ。高中正義のキティレコード在籍期間は1984年まで。久保田は翌85年にキティミュージックと契約したので、同じ事務所ながら接点はなく、今回のステージが初共演だ。「僕の前に井上陽水さん、小椋佳さん、来生たかおさん、玉置浩二さんと恐ろしいぐらいの才能の方が会社に居らしゃって。そして高中さんも居る。そんな高中さんに”俺のバンドで一緒にやる?”って言ってくれたんですよ。恐れ多いですよ、今日は」と高中との共演に感激。続いては「キティ在籍時代の曲です」と紹介し「雨音」につなぐ。高中と久保田の唯一の接点は1980年代後半、ツアーのキーボードメンバーが同じだったこと。久保田のサード・アルバムを高中が褒めていた事は耳にして「僕だけ勝手に近しい気持ちでやらせて貰っていました」と先輩へのリスペクトの思いを語る。そして両者の歴史的共演ラストは「You were mine」。久保田のボーカルに高中がレスポンスする両者のスリリングな掛け合い、間奏では久保田のカウントで高中がギターソロに入る箇所など、1曲丸ごとがゾクゾクするシーンの連続。スティービーの「Another Star」をミックスさせたコーラス・パートでは、オーディエンスも右腕を大きく左右に振って応えた。

久保田利伸の後は再び高中正義のステージ。ロックテイストも溢れる「TROPIC BIRD」「READY TO FLY」と続く。随所にメンバーのソロも披露され、会場も総立ちの大興奮の中、本編は終了。 アンコールでは、高中が「虹伝説 THE RAINBOW GOBLINS」に出てくるゴブリン・マスクを被って登場。名盤中の名盤と呼ばれる同アルバム収録の「THUNDER STORM」が演奏されるや、会場から大きな歓声が上がる。

そして、ラストナンバー。両サイドから来生たかお、久保田利伸が再びステージに戻る。曲は来生メロディの美しさが際立つ名曲「シルエットロマンス」。アレンジは「夢の途中」に続き、星勝が手がけた。まずは来生のピアノ弾き語りで始まり、間奏部は高中の爪弾くギターが静かに唸る。2コーラス目は自身のコンサートでもカバーした事がある久保田利伸。サビではAMAZONSに、オーディエンスも加わっての大合唱。キティグループ出身者が集結し全19曲、2時間超にも及んだ川崎クラブチッタ30周年イベント『Flying KITTY Party 2018』の2日目が終了した。

photo by 畔柳ユキ

【セットリスト】

■高中正義

1.BLUE LAGOON ’86ver.

2.SHAKE IT

3.渚モデラート

4.MAMBO NO.5(DISCO DANGO)

5.TAJ MAHAL

6.SAUDADE

7.FINGER DANCIN’

8.EARLY BIRD

■来生たかお

9.浅い夢

10.夢の途中with 高中正義

11.スローモーション

12.GOODBYE DAY

■高中正義 with 久保田利伸

13.迷信/Superstition

14.雨音

15.You were mine(“Another Star”mash up ver.)

■高中正義

16.TROPIC BIRD

17.READY TO FLY

■アンコール

18.THUNDER STORM

19.シルエットロマンス / 高中正義、来生たかお、久保田利伸

バンドメンバー: 斉藤ノヴ(Per)/岡沢章(Ba)/宮崎まさひろ(Dr)/宮崎裕介(Key)/井上薫(Key)/AMAZONS(大滝裕子、吉川智子、斉藤久美)/石成正人(Gt)

Supervisor:星勝

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